ルパンシリーズ作品関係図を更新

作品関係図

大きく変えたのは「山羊皮服の男(A2)」の位置。フランスでの発表年が1927年であるため第二部にしていたのですが、先行して1912年に「ルパンの告白(6)」の英訳版で発表されているのです。それで最初から迷うところではあったのだけど、内容から見ても「わたし」が登場することからしても第一部に属するほうがふさわしいので第一部にしました。

ルパンシリーズ作品関係図

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きつすぎる上着 - 奇岩城(4)

※以下の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※


彼はたいへん丁寧な口調で、おだやかな話し方をした。背は高く、ごく痩せてはいたが、まだまったく若い男で、短すぎるズボンに、きつい感じの上着を着ていた。娘のようにばら色の顔をしていて、広い額に短く刈った髪、金色をした不精ひげを生やしていた。目は利口そうに、生き生きしていた。彼は少しも取り乱した様子を見せず、べつに皮肉の跡も見せぬ感じのよい微笑を浮かべていた。(集英社文庫「奇巌城」P29)

この描写はイジドール・ボートルレというキャラクターを印象付けるものであるのに、結構解釈が割れる箇所ではないかと思う。短すぎるズボン、きつい上着はもちろん背広の丈が合わないことを言っている。サイズの合わない服を着ているなんて成人男子にはあるまじき醜態(とくにフランス人だったら←偏見)。それなのににこにこしているというのは怪しいわけです。似合わないひげまで生やして。

考えられるのはまず貧乏か変人か。バーネットは後者だけど、ボートルレは違う。かといって貧乏でもなくてどちらかというとぼんぼん(金には困らない家の子)で、サイズが合わないのは単に成長期だからなんだと思う。サイズが合わないというのも見るからにつんつるてんなのじゃなくて、よく見れば変だぞ程度なもので。

母親不在というのもあると思う。母親かもしくは身近に女性(叔母や使用人など)の眼があれば成長に合わせて服を仕立てるだろうし、貧乏だったらなおさら大きめに仕立てて裾上げなどをしてサイズには気をつけるのじゃないのかな。


「アマチュア探偵」と言う言葉にも表れている。無報酬で行っていて、経費は自分持ち。それによって名を挙げようという大それた望みを持っていない。そんなところもぼんぼんらしい。

ジェーヴル伯爵はヴァルメラ親子ともボートルレ親子とも食事を同席しているからそこそこの身分なのでは。サヴォワに住んでいるというのも、妻が無くなり子供も寄宿舎に入ってしまったから引退したとも考えられるし。ジェーヴル伯爵は他の身分の人物に対してあまり偏見を持っていそうな人物ではないので、そう豊かではないブルジョワとも考えられるけれど。

ルパンの書簡がジェーヴル親子を本気で非難していると捉えるのは早計で、金と宝石がたくさんあれば女性の気持ちは変わる、と言いいたいのだ。女性の気持ちを変えるのは劇的な出会いと誠実な付き合い。まあ古典的な筋立てだけど、だからこそ大衆は納得しやすい。そういうシナリオだと思う。


※以上の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※

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雑誌「ネムキ」2008年5月号に「怪盗アルセーヌ・ルパン 八点鐘」掲載

JET氏による漫画化。今回は事件2「水瓶」。

OPENDOORS:雑誌:ネムキ
http://opendoors.asahi.com/nemuki/index.shtml


モリソーの代わりにガニマール登場。ガニマールにしたってことはこれから先何かあるのだろうか。

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怪盗紳士という称号(その5) - 付記

※以下の文章は前半期の作品を中心にルパンシリーズの内容に触れています。※


戯曲「アルセーヌ・ルパン」(ルパンの冒険(3))においては、次の箇所で紳士強盗当肩書きが使われている。

Hein! est-ce assez la revanche de Guerchard! de cette vieille ganache de Guerchard?... Brummell des voleurs en bonnet de prison... Le gentleman cambrioleur sous les verrous!.. Pour Lupin ca n'est qu'un petit ennui, mais pour un duc, c'est un desastre... ("Les aventures extraordinaires d'Arsene Lupin" Vol.1 P525-526 OMNIBUS)

「(略)どうだね? ゲルシャールにとっては……君があざけった、おろかでまぬけな老いぼれのゲルシャールにとって、すばらしい復讐じゃないか? 囚人帽をかぶった、いかさまの伊達男! 監獄入りの泥棒紳士め! ルパンにとってはそんなことはなんでもないだろうが、ひとりの公爵にとっては災難だ!(略)」(偕成社文庫「ルパンの冒険」P320)

偕成社文庫は英語ノベライズ版からの翻訳なので少し内容が違うけれど、分かりやすいので引用した。ゲルシャールは、ルパンが普段紳士強盗と名乗っていることを皮肉って「監獄入りの紳士強盗!」と言っているのである。(監獄入りというのは未来に起こることを言っているので、め、とつけるとニュアンスが違うかな)

なお「gentleman cambrioleur」は英語ノベライズ版では「gentleman-burglar」となっている。英語の「burglar」もフランス語の「cambrioleur」と同じく押し込み強盗の意味。ブランメル(Brummell)は実在の人物で、ここでは伊達男、ダンディの代名詞として使われている。ダンディやスノッブという言葉は、小説にはなく戯曲だけに現れる言葉ではないかと思う。ルパンがダンディかどうかは別として。ルパンの肩書きがゲルシャールの口から発せられることを含めて、小説と戯曲ではいくつかの差異が感じられるため最初の考察からははずした。


ルパンの先達であるラッフルズの単行本タイトル「The Amateur Cracksman」は、ラッフルズの出自がジェントルマンであり、アマテュアのクリケット選手(cricketer)であることを表している。しかし、盗みの動機には困窮、生活資金の不足がある。しかし紳士強盗は金に困ることがないし、盗みをしなくても生活できる。アルセーヌ・ルパンの出自はジェントルマンではない。
ラッフルズとルパン

余談として、紳士強盗で検索して引っかかる映画「ブランケット&マクレーン」のGentleman Highwaymanは、「礼儀正しい追い剥ぎ」を意味するようだ。
CINEMA TOPICS ONLINE|プランケット&マクレーン
http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=431
James MacLaine - Wikipedia, the free encyclopedia(英語)
http://en.wikipedia.org/wiki/James_MacLaine


前→怪盗紳士という称号(その4) - 対義語あるいは類義語

※以上の文章は前半期の作品を中心にルパンシリーズの内容に触れています。※

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怪盗紳士という称号(その4) - 対義語あるいは類義語

※以下の文章は前半期の作品を中心にルパンシリーズの内容に触れています。※


「謎の家(16)」には紳士航海士(gentleman navigateur, gentilhomme-navigateur)、紳士探偵(gentleman detective, gentleman-detective)という肩書きを持つ男が登場するが、この肩書きは一見すると自己パロディと言える。しかし航海士、探偵が趣味であることに嘘は少ない。紳士(ジェントルマン)ということは、金銭を得るために働く必要がないということであり、アマチュアであることを表す。アマチュア探偵(detective amateur)と名乗っている男も「エメラルドの指輪(A3)」で登場する。いずれも紳士強盗の隠れ蓑であり、プロの強盗であることが見え隠れしている。探偵行為は無報酬で(ないときもあるが)、本職としていないというのは確かなので面白みがない。紳士強盗は確かに趣味でもあるが、プロの強盗だから名乗る意味があるのだ。また、普通にアマチュア探偵と名乗るより、報酬“は”頂きませんという我流解釈を掲げるほうが面白い(「バーネット探偵社(15)」)。

アマチュア探偵と名乗ってこそいないが、無償で謎解きをするルパンの姿は早くから登場する。もっとも、謎を解くのは探偵の専売特許ではない。人助け、犯罪を暴くという意味での探偵である。「謎の旅行者(1-4)」では書類を奪われて俄か探偵になるし、紳士強盗としてのデビューである「ハートの7(1-6)」も、無償で謎を解く話となっている(後におこぼれを頂戴していることが判明するが、報酬や自己の利益が目的ではない)。職業探偵ではないから報酬は不要だし、依頼をしなくても、自分が危機的状況にあると気づいていなくても、ルパンのアンテナに引っかかれば助けてくれるのだ(「さまよう死霊(6-6)」)。「ルパン対ショルメス(2)」におけるルパンとショルメスの役割は、「金髪婦人(2-1)」では強盗と探偵だが、「ユダヤのランプ(2-2)」ではアマチュア探偵と職業探偵なのである。


探偵行為が本業ではないことはもとより、金銭を受け取らないことは何度か強調されている。

「それで、どことんまでやる気かい?」
「出来れば、その先までもな」
「なぜだ? どんな利益があるんだ?」
「アマチュアとしてだ。それにきさまが<いやだからだ」
(新潮文庫「棺桶島」P447-448/三十棺桶島(10))

アマチュアとして(En amateur)、つまり報酬はいらないということである。少しひねた捕らえ方をすると、趣味、道楽としてということになる。

en amateur ((軽蔑して))道楽で,気まぐれに,いい加減に(「小学館ロベール仏和大辞典」1988)

「それじゃ、お詫びはしません」とパトリスは笑いながら言った。「そのかわり、お礼を申します」
「なんの? あなたの命とコラリーさんを救ったことのですか? お礼には及びません。人を救うのは、わたしにとってスポーツですよ」
(創元推理文庫「金三角」P368/金三角(9))

スポーツ、とりわけアマチュアスポーツのことだろう。この時代、ジェントルマンとアマチュア、スポーツという言葉は不可分の関係にあり、アマチュアスポーツはジェントルマンにのみ許された行為だった。近代オリンピックも、設立時にはアマチュア=ジェントルマンしか参加できなかった。労働者や、プロスポーツ選手、スポーツにより金銭を受け取ったことのある人物は参加することが出来なかったのである。


ルパンにとっては盗みも人助けもスポーツなのかもしれない。何より自らの好奇心にしたがって行動する人間であり、そこに救うべき人がいれば助け、奪うべきものがあれば奪う。そのためのアンテナを広げておくのは、どこにチャンスが転がっているか分からないからだ。そして好機を見つけたらそれに賭ける。それは冒険家(aventurier)と言うことになる。「813(5)」のルパンはヨーロッパの地図を書き換えんとする策謀家であり、敵である男爵との付き合い方のように危険と隣り合わせの状況を愉しむ危険愛好家でもある。

日々の努力を惜しまず、その日その日に悪事を働く一方、遊び好きで情にもろいドン・キホーテのように、持ち前の性格と道楽気分により、善行も施していたのである。
(集英社文庫「アルセーヌ・ルパン」P7/太陽のたわむれ(6-1))

「もう一つある。第三の賭だ。二百万フランが懐に入るかもしれんのだ……そしてほんの手付け金にすぎないその二百万フランを手に入れたら、そこからがぼくの腕の見せどころさ。(略)」
(集英社文庫「アルセーヌ・ルパン」P23/太陽のたわむれ(6-1))

aventurier 1 (手段を選ばず富や権力を得ようとする)策士;山師,ペテン師. 2 冒険家,あえて危険を求める人.(「小学館ロベール仏和大辞典」1988)

そしてこれは紳士強盗を捨てたルパンが墓碑銘に選んだ肩書きなのである(「813(5)」「虎の牙(11)」)。


前→怪盗紳士という称号(その3) - その登場
次→怪盗紳士という称号(その5) - 付記

※以上の文章は前半期の作品を中心にルパンシリーズの内容に触れています。※

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怪盗紳士という称号(その3) - その登場

※以下の文章は前半期の作品を中心にルパンシリーズの内容に触れています。※


この肩書きはいつから登場したか。最初に挙げた6つの用例のうち、最も登場が早いのは「ハートの7(1-6)」(「ジュ・セ・トゥ」1907年5月号)である。「ハートの7(1-6)」が掲載された翌月号に最初の単行本“紳士強盗アルセーヌ・ルパン”の広告が掲載され、実際に発売されている。「アルセーヌ・ルパンの逮捕(1-1)」の“紳士強盗アルセーヌ・ルパン”という言葉は、単行本化の際に書き加えられたものである。「ハートの7(1-6)」の掲載は単行本発売に連動した企画でもあったのだろう。
雑誌「ジュ・セ・トゥ」目録

ルパンシリーズは長期にわたって書かれているため、何度か設定の見直しが行われているが、その中で一番初めで大きなものが、この紳士強盗の肩書きだろう。そしてアルセーヌ・ルパンのイメージが決定付けられたと思う。

私は金のために盗むのではない、紳士強盗だと嘯くことが出来た理由もこの頃思いついたのではないかと思っている。やはり金である。十分に稼いだとするのもいいが、趣味だと豪語できる収入源を別に持っていたとするなら…すなわち「奇岩城(4)」や「カリオストロ伯爵夫人(13)」で語られるものがそれである。すでに雑誌では「奇岩城(4)」のタイトルが発表されている。当初からルパンものにする予定だったかは不明だが、ルパンに紳士強盗の肩書きを付けた時には、レギーユ・クルーズの謎とルパンとを結びつける構想を持っていたと考える。


なお、アルセーヌ・ルパンの名前は最初から紳士強盗(gentleman-cambrioleur)と結びついていたわけではない。最初の肩書きは「金髪婦人(2-1)」の貴族強盗(gentilhomme-cambrioleur)である(「ジュ・セ・トゥ」1907年4月号)。翻訳で対応するのはこの箇所。

まるで記念碑に書きこむような次の文章を書き込んだ。
  二十世紀のはじめ、五年間、ここに怪盗紳士アルセーヌ・ルパン居住せり。
(岩波少年文庫「ルパン対ホームズ」P238/金髪婦人(2-1))

英語のgentlemanはフランス語のgentilhommeの派生語なので、両者は一部において似た意味を持つ。この貴族強盗(gentilhomme-cambrioleur)も紳士強盗とほぼ同じ意味だろう。(gentleman-farmerのフランス語形gentilhomme-fermierで豪農の意味がある)


前→怪盗紳士という称号(その2) - その意味
次→怪盗紳士という称号(その4) - 対義語あるいは類義語

※以上の文章は前半期の作品を中心にルパンシリーズの内容に触れています。※

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怪盗紳士という称号(その2) - その意味

※以下の文章は前半期の作品を中心にルパンシリーズの内容に触れています。※


では、紳士強盗(gentleman-cambrioleur)とはどういう意味なのか。cambrioleurというのはスリや路上荒らしではなく、建物に押し入って盗みを働く押し込み強盗や空き巣狙いを指す。だからこそ予告状を出したり、現場に名刺を残したりできるのだ。しかし、逆に言えば押し込み以外の場面では使えないということになる。gentlemanは英語からの借用語で、仏和辞書には「紳士」としか載っていないが、歴史のある多義の言葉である。長くなるので詳しく述べることはしない。

ここで留意したいのは、皮肉屋で嘘つきであるルパンの自称である以上、額面どおりに受け取ることは出来ないということでもある。そして、自ら名乗る以上ルパンの主張が織り込まれているはずだということである。

確かに紳士にして強盗と捉えても問題ないとは思う。「アルセーヌ・ルパンの逮捕(1-1)」で「fantaisiste gentleman」と書かれているし、紳士なのだろう(この言葉は初出にもあり。ハヤカワ文庫では「芸術家肌の紳士」と訳されている。fantaisisteは「気まぐれな」という意味もある)。しかしハイフンで繋がっている以上、まずは一語として考えたい。その取っ掛かりとなるのは、「奇岩城(4)」の例である。cの箇所は原文ではこうなっている。

Le gentleman-cambrioleur est mort, vive le gentleman-farmer!

「A est mort, vive B」というのは「国王陛下崩御、新国王万歳!(Le Roi Est Mort, Vive Le Roi!)」というのをもじったものである。このフレーズはよく使われるらしく、映画「エディット・ピアフ ~愛の賛歌~」(2007年日本公開)の中に登場する新聞記事でも「子スズメは死んだ、エディット・ピアフ万歳!」という風に使われていた。他にルパンは「金三角(9)」では種明かしの場面で使っている(AがBに摩り替わったことを言っている)。「虎の牙(11)」では「アルセーヌ一世は死んだ、フランス万歳!」なぞとのたまっている。
Le Roi est mort, vive le Roi ! - Wikipedia(フランス語)
http://fr.wikipedia.org/wiki/Le_Roi_est_mort%2C_vive_le_Roi_%21

文字通り訳すなら「紳士強盗は死んだ、紳士百姓万歳!」となるだろう。gentleman-cambrioleurは作者の造語だが、gentleman-farmerは暦とした英語からの借用語で辞書にも載っている。英語の形そのままなので英語の辞書にも載っている。(「綱渡りのドロテ」でも使われていて、創元推理文庫では「ジェントルマンの農園主」(P39)と訳されている。)

gentleman-farmer ((英語))豪農:道楽で農業経営をする名士(「小学館ロベール仏和大辞典」1988)
gentleman-farmer 1(他に財産・収入があって)趣味で農業をする人. 2(自分で労働する必要のない)豪農(「ランダムハウス英語大辞典」第2版、小学館1996)

意味を置き換えると、

  1. (他に財産・収入があって)趣味で強盗をする人
  2. (自分で労働する必要のない)大強盗

となる。ここでいう紳士とは働かなくても食っていける金持ち、盗みは金持ちの道楽というわけである。しかし残念ながら日本語の紳士に金持ちの意味合いは薄い。(イギリスの伝統的なジェントルマン階級は地代などの不労所得があった)


金は十分に持っている、金が目的ではないのだ、と言う主張は主に美術品を盗むことに現れているのかもしれない。しかしこの主張が最も効果的に使われているのは「813(5)」だ。冒頭のやりとりは緊張感があってぞくぞくする。相手はルパンの正体も目的が分からない。だから金で解決しようとするのだが、部下のマルコにこの方がお金を下さるそうだ、とかわし、目的の第一段階を踏んだあとに初めて名刺を出すのである。

私は最初に読んだ(再読)したとき、本当にルパンか?と思った。そして、名刺を出したことが逆に怪しい、とも思った。わざわざ名乗ることに何の意味があるのか。盗みは趣味だといいつつも、強盗という行為は実利を求めるものである。この肩書きを名乗っておいて、金にならないことをするわけがない。しかし強盗殺人を犯したとは聞かない。本物であれ偽者であれ、紳士強盗と名乗ることは、今までのアルセーヌ・ルパンの威を借ることである。安心といっても、どうやら命をとられることはなさそうだという程度の安心なわけで、そこをすかさず突くルパンのセリフがまたいい。

dの箇所は新潮文庫ではこうなっている。最初に読んだときやっぱりこれだと思った。この場所は紳士強盗でないと締まらない。よしんば日本語で言う紳士的の意味だとしても、この名刺を突きつけられて鵜呑みにするのは余程鈍い奴で、たいていは「自分の要求を呑む限りにおいては」という但し書きつきか、「他人にとっては(自分にとっては)少なからず紳士的ではない」という逆説的な意味で受け取るだろう。

彼はポケットから一枚の名刺を取り出し、読み上げた。
「アルセーヌ・ルパン、紳士強盗」(新潮文庫「813」P31)

原文ではこうなっている。

Et, tirant une carte de sa poche, il prononca:
- Arsene Lupin, gentleman-cambrioleur.

「Arsene Lupin, gentleman-cambrioleur」これは最初の単行本タイトルと全く同じである。のみならず、a、b、eでも同じ並びで書かれている。特別な書き方ではないようだが、意識して書かれているのだろう。名前と肩書きのバランスは重要な要素である。ではfだけハイフンの付かない、冠詞の付いた「le gentleman cambrioleur」なのは別の意味があるのかもしれない。


前→怪盗紳士という称号(その1)
次→怪盗紳士という称号(その3) - その登場

※以上の文章は前半期の作品を中心にルパンシリーズの内容に触れています。※

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怪盗紳士という称号(その1)

※以下の文章は前半期の作品を中心にルパンシリーズの内容に触れています。※


アルセーヌ・ルパンの代名詞となったこの言葉は「gentleman-cambrioleur」の訳語である。最初の単行本に選んだタイトルであり、ルパンの肩書きでもあるあるこの言葉は、さまざまな日本語で訳されて、さらにその訳語が独立して使われているため、本来の意味、本来の使われ方が捕らえづらくなっていると感じる。私はフランス語も英語も分からないので、意味を断言することは出来ないが、この言葉の忘れられがちな側面について整理してみたいと思う。

なお、「gentleman-cambrioleur」の訳語には紳士強盗という語を使うことにする。(新学社文庫、新潮文庫などでこの訳語が用いられている)


紳士強盗の言葉が原作に出てくるのはそれほど多くない。次の6箇所である。(調査対象は小説のみ)

  1. 《(略)あらためて参上しよう。怪盗紳士アルセーヌ・ルパン》
    ハヤカワ文庫「怪盗紳士ルパン」P11/アルセーヌ・ルパンの逮捕(1-1)

  2. このようにして、(略)怪盗紳士ことアルセーヌ・ルパンその人であると知ったのである。
    ハヤカワ文庫「怪盗紳士ルパン」P234/ハートの7(1-6)

  3. 「(略)怪盗紳士ジェントルマン・カンブリオルールは死んだのだ。百姓紳士ジェントルマン・ファーマーばんざい! というわけさ」
    岩波少年文庫「奇岩城」P371/奇岩城(4)

  4. 男はポケットから一枚の名刺をとりだすと、これを読みあげた。
    「怪盗紳士、アルセーヌ・ルパン」
    偕成社文庫「813」P31-32/813(5)

  5. 〈下名、強盗紳士、元大佐、元下男、元死体、アルセーヌ・ルパンは、(略)〉
    新潮文庫「ルパンの告白」P295/白鳥の首のエディス(6-7)

  6. 『おれだ、アルセーヌ・リュパンだ。昔の詐欺師、怪盗紳士、ここにあり。(略)』
    創元推理文庫「虎の牙」P481/虎の牙(11)

これに加えて、1冊目の短編集のタイトル「怪盗紳士ルパン(1)」がある。なお、fだけハイフンが付かない「gentleman cambrioleur」である。

この使われ方を見るだけで二つのことが分かる。一つは、bを除いてルパンの発言またはルパンが書いた言葉であること。bの語り手はルパンのスポークスマンだから、ルパン公認といえる。紳士強盗というのはルパンの自称なのである。ルパンが自覚し、他人からも指摘される肩書きには強盗(cambrioleur)や詐欺師(escroc)がある。

もう一つは、使用例が初期の作品に限られていること。内容を考慮に入れるとcは引退宣言、dは復活宣言、fは引退後の話であって、現役を謳っているのはa、b、eしかない。第1次世界大戦より前に書かれた、第1次世界大戦が起こる前の時代ベル・エポックを舞台とした作品である。正確に言うと「虎の牙(11)」は大戦後に加筆出版されたが、fの箇所は大戦前の英訳に存在する。また「昔の」という言葉は詐欺師にしか係っていないが、立場的には引退しているし、元強盗(ex-cambrioleur)とも名乗っている。


「紳士強盗」こそシリーズ前半期のキーワードである。だから作品関係図を作ろうと考えて、第1作から「虎の牙」までを線で結んだ。紳士強盗の誕生から引退まで。盗みは終生やめることは出来なかったが、シリーズ後半では紳士強盗を名乗っていない。


次→怪盗紳士という称号(その2) - その意味

※以上の文章は前半期の作品を中心にルパンシリーズの内容に触れています。※

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シャーロック・ホームズ対アルセーヌ・ルパンのアドベンチャーゲームのデモ版公開

ホームズとルパンが対決するアドベンチャーゲームのデモ版が公開されました。北米では「Sherlock Holmes:Nemesis」と改題されているようです。
スペックが合わないので私は残念ながらプレイすることが出来ません

4Gamer.net ― 今度の相手はルパン。推理アドベンチャー「Sherlock Holmes:Nemesis」のデモ版をUp
http://www.4gamer.net/games/040/G004097/20080331006/
4Gamer.net ― Sherlock Holmes:Nemesis[PC]
http://www.4gamer.net/games/040/G004097/


シャーロック・ホームズ対アルセーヌ・ルパンのアドベンチャーゲーム発売
シャーロック・ホームズ対アルセーヌ・ルパンのアドベンチャーゲーム発売(続報)
このゲームは日本にも輸入されています。

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探偵講談「ルパンVSホームズ」上演予定

講談師・旭堂南湖氏の探偵講談は2ヶ月に一回開催されているようですが、次回は「ルパンVSホームズ」をやるそうです。
第40回「名探偵ナンコ」:講談師・旭堂南湖のレポート:So-net blog
http://nanko.blog.so-net.ne.jp/2008-03-26


過去の演目が紹介されています。3月23日(日)に行われた第39回はガボリオ作「ルコック探偵」の翻案だったようです。
探偵講談:講談師・旭堂南湖のレポート:So-net blog
http://nanko.blog.so-net.ne.jp/2008-03-23

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ルパンシリーズ人名リスト

ルパンシリーズの登場人物の名前を、人名リストとして公開しました。

ルパンシリーズ人名リスト


説明は基本的に最初に登場したときの記述を元にしているので、辞書的な使い方はできないと思いますし、原文の綴りの順なので、使いづらいとも思いますが、とりあえず人名を浚ってみるということで。読みについては一部変更しましたが、表記の統一を図っていません。

なお、「カリオストロの復讐(20)」は作業中の状態です。理由が偕成社文庫が手元に見当たらないというちょっと情けないものです。でもいざHTMLにしてみるとぽろぽろとミスを発見してしまうもので、かなり直したものも、たぶんまだ残ってます。戯曲についてはさらに怪しいです。


爵位や役職については整理したいと思っていて、爵位については原文をチェックしてだいたい整理できているかと思います。princeは大公としました。

役職については未整理です。たとえば、ベシュの役職は、「バーネット探偵社(15)」では「inspecteur」で、最後に「brigadier」に昇格。「謎の家(16)」以降は「brigadier」だけれど、「ルパン最後の事件(21)」でなぜか「brigadier」にしてやると言われています。(ルパンのベシュとの会話はどこまで本気なのか分からないので最後のは冗談と受け取っておこうか。)

メモ。「inspecteur」は刑事(私服の捜査官)のことで、刑事、警部etc.と訳されている。他のinspecteurはデュージー、フォランファン、ヴェロなど。「brigadier」は班長という意味なので、他の刑事たちより偉いと思われる。翻訳では部長刑事や巡査部長と訳されている。他のbrigadierは、グレル、マズルー、フォランファン(「ルパン対ショルメス(2)」のみ)。ガニマールは「inspecteur principal」。主任刑事、主任警部etc.と訳されている。ゲルシャールも同じ。「アルセーヌ・ルパンの帰還(A1)」ではinspecteur。


「ふたつの微笑を持つ女(18)」と「アルセーヌ・ルパンの冒険(A5)」の電話交換手はどちらも同じカロリーヌなんですよね。同じ人物かもしれません。

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森元さとる「ミステリー・クラシックス」アルセーヌ・ルパン編(2)発売中

「太陽の戯れ(6-1)」と「十二枚の株券(15-5)」が収録されている。前者は創元推理文庫、後者は偕成社版から。

他に、トマス・W・ハンシューの四十面相のクリークシリーズ「ライオンの微笑」。ガストン・ルルーの「ノトランプ」が収録されています。(1)に入っている「七人のきこり」といい、「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」で攻めるのかな。


講談社BOOK倶楽部 mystery classics 甦る名探偵達 アルセーヌ・ルパン編(2)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=3711250
「太陽の戯れ」
「ライオンの微笑」
「十二枚の株券」
「ノトランプ」
(ルパンシリーズの作品と、それ以外の作品が交互に収録されている)

<既刊>
講談社BOOK倶楽部:mystery classics 甦る名探偵達 アルセーヌ・ルパン編(1)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=370985X

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セルジュ・ド・レンツ

今回は実在の犯罪者の紹介。
ルイ・シュヴァリエ「歓楽と犯罪のモンマルトル(下)」ちくま学芸文庫より

《一九二二年一月十五日、(略)、彼は自分のアパートから、見知らぬきわめて優雅な紳士が大きなスーツケースをもって出てくるのを見て驚いた。彼はあとをつけ、警察を呼んだ。取調べが始まると、すこしもおびえず、じつに優雅に、その見知らぬ男は断言した。「私はセルジュ・ド・レンツ、二十七歳。ヌイイのビノー大通りに住んでいます。私は紳士強盗です。あるいはこう言ったほうがよろしければ、強盗貴族です……」》(P335)

「紳士強盗」の原文はほぼ確実に「gentleman cambrioleur」と思われる。つまりアルセーヌ・ルパンの肩書きである(怪盗紳士と訳されてしまうことが多いけど)。この本にもアルセーヌ・ルパンの再来だと書かれている。

正面玄関をよじのぼり、屋根の上に這いあがり、月明りで美しい眠れる女性、夢を見たと思っている女性の前にあらわれる前に、かならず楽しみとアリバイ作りのためにモンマルトルのキャバレーにあらわれた。そのときにはかならず片眼鏡をかけ、新しい手袋をはめて、美しい女性を同伴していた。(同P336)

なるほど、と思わせる。でもルパンはモンマルトルに縁が薄いような気がする。シリーズ前半では。それゆえに犯罪行為に血生臭いイメージがないのだろうかとこの本を読んで思った。

Serge de Lenz - Wikipedia(仏語)
http://fr.wikipedia.org/wiki/Serge_de_Lenz


この男はその筋では有名らしく、アンドレ=フランソワ・ルオー氏作成の年表にもルブランとルパンシリーズ単行本の表紙絵を手がけたレオ・フォンタンがレンツの裁判を傍聴したらしきことが書いてある。

Arsene Lupin : chronologie d'un gentleman-cambrioleur(仏語)
http://captainbooks.free.fr/articles/lupin.html
「アルセーヌ・ルパン」エピソード年表2

アルセーヌ・ルパンは第1次世界大戦以降紳士強盗という肩書きを使用していない。その理由は時代にそぐわなくなったからだと私は考えているけれど、ケチが付いたから、と考えるのも一興かな。

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「アルセーヌ・ルパン物語 怪紳士」保篠龍緒訳

新学社文庫、1980年初版、1997年重版
□目次
ルパンの捕縛(1-1)
人か魔か(1-2)
脱獄(1-3)
不思議な旅客(1-4)
ハートの7(1-5)
王妃の首飾り(1-6)
アムベール夫人の金庫(1-7)
黒真珠(1-8)
遅かりし大探偵(1-9)

メモのみ。

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雑誌「ネムキ」2008年3月号に「怪盗アルセーヌ・ルパン 八点鐘」掲載

JET氏による漫画化。今回は事件1「塔のてっぺんで」。連載のようなので「八点鐘」全8編をやると思われます。

OPENDOORS:雑誌:ネムキ
http://opendoors.asahi.com/nemuki/index.shtml


いつも「百鬼夜行抄」と「薔薇ノ紡書」を読むのに見逃してました。不覚。


□2008/02/26感想
エーグルロッシュが、殺した男の名前ではなく、殺された男の名前になってました。おそらくその方が成り上がりという様相がハッキリすると思ったのでしょう。でも私は、分かっていて注意をそらしながら本質に迫っていくというそら惚けた会話が好きなので、あっさり風味に思えてしまいます。あおりでは恋愛で引っ張るようですが。最後オルタンスが肩を露出しているっぽい服なのが、気になりました。暫くはケープとか羽織らないのかな。

今回の漫画化の底本は新潮文庫のようです。口調が独特なのですぐ分かる。巻末のコーナーにあらためて新潮文庫を購入したことがかかれてますが、新潮文庫の一人称は改訂されていないと思います。「813」などでは思いっきり「わし」と言っています。貴婦人の前では「僕」になる猫被りなのです。

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シャーロック・ホームズ対アルセーヌ・ルパンのアドベンチャーゲーム発売(続報)

海外からの輸入ゲームを扱う店でも購入できるようです。

Sherlock Holmes versus Arsene Lupin
http://store.shopping.yahoo.co.jp/ifeelgroovy/2104.html
GDEX Online Game Store
http://www.gdex.co.jp/?mode=search&pattern=detail&itemid=101-11831
Sherlock Holmes VS Arsene Lupin 秋葉原アーク(ark)PC
http://www.ark-pc.co.jp/item/Sherlock+Holmes+VS+Arsene+Lupin/code/50100648


検索してみたけれど日本人でプレイしている方もいるみたい。やっぱり英語が難しいとか。リンクはしないけれど、攻略ページ(英語)もできているらしい。Walkthroughという単語で検索できるらしい。


シャーロック・ホームズ対アルセーヌ・ルパンのアドベンチャーゲーム発売

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オペレッタ「銀行家アルセーヌ・ルパン」のニュース映像

「銀行家アルセーヌ・ルパン」公演についてのニュース映像を発見
ルパン役の人の短いインタビューもあり。フランス語なので分からないけど。

''Arsene Lupin banquier'' au Theatre de l'Athenee a Paris - AOL Video-
http://video.aol.com/video-detail/arsene-lupin-banquier-au-theatre-de-lathenee-a-paris/891154450


フランスでオペレッタ「銀行家アルセーヌ・ルパン」が上演予定(続報)

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アニメ「魔法のプリンセス ミンキーモモ」 怪盗ルピン

魔法の国フェナリナーサのプリンセス・ミンキーモモが、魔法で大人になり人々を助けて夢を与えるために頑張るというアニメ。後にリメイク作品が作られたけれど、これは初代の作品。懐かしいなと思って見ていたら、怪盗ルピンというキャラクターが出てきた。タツノコのルパンとキャラクターデザインが似ている気がする。どこがって…髪の色だけかもしれない。


第8話での登場はこんな感じ。
警官に変身したモモに見つかり盗んだ品物を置いていった泥棒、実は怪盗ルピンだった。逃亡中モモの姿が忘れられず引き返し、ヤクザ闘争からなだれ込んだ喧嘩に巻き込まれたモモを助けようと飛び込むが、一網打尽に捕らえられる。
あまり筋には関係しない脇というところ。声は筈見純という方が当てている。

他に12話と41話にも出てくるようだけどなかなか見る機会が無い。ダウンロードレンタルというのができるサイトを見つけたけれど手を出せていない。

魔法のプリンセス ミンキーモモ 第12話 怪盗ルビン大反撃 ダウンロード・レンタルビデオ【ビデックスJP】
http://www.videx.jp/anime/_item/item010801.htm
横に4つ並んだ画像の右から2番目の男がルピン

魔法のプリンセス ミンキーモモ ダウンロード・レンタルビデオ【ビデックスJP】
http://www.videx.jp/anime/_item/item010783.htm


(参考)タツノコのルパン
怪盗ルパン 813の謎 [廃盤/激レア][タツノコプロ]ビデオ・DVD - あるあるビデオドットコム
http://www.aruaruvideo.com/detail/G98507.html
アニメ「怪盗ルパン 813の謎」

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雑誌「マガジンGREAT」2008年1号に「白鳥の首のエディス(リュパンの告白)」の漫画を掲載

森元さとる氏による「ミステリー・クラシックス」シリーズ、今回は「リュパンの告白」中の短編「白鳥の首のエディス(6-7)」。

月刊少年マガジンWEB:マガジンGREAT
http://www.gekkanmagazine.com/great/index.html

<既刊>
講談社BOOK倶楽部:mystery classics 甦る名探偵達 アルセーヌ・ルパン編(1)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=370985X

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川、証拠、泣く、空洞の - 奇岩城(4)

※以下の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※


「奇岩城(4)」で暗号を解こうとするときに、ある単語に対してボートルレが4つ候補を出す。すなわち、fleuve(川)、preuve(証拠)、pleure(泣く)、creuse(空洞の)。


とある本(※)を読んでいて「fleuve 川」という見出し文字を見て浮かんだ。「川」そういえば「奇岩城」に出てくるぞと。全部で4つ合ったはず、「空洞の」はもちろんアレだし、「泣く」…泣いてたなあ。もう一つなんだっけ?と思って確認をしてみたら「証拠」。事件には付き物! ということでこれらのキーワードは全部「奇岩城」に織り込まれている。(※「キリスト教シンボル事典」白水社文庫クセジュ)

…四題噺? でも最初の事件で証拠を強調してみせたのも、相手に年齢の分だけ繊細で感受性の強い少年を持ってきたのもこのことがあってだろうと思う。川はコー地方の一辺。泣くのは少年だけではない。その涙に動揺させられてしまった私としては、意図的に使用していると考えたい。


pleure(泣く)は動詞pleurerの活用形の一つ。同じ形で出てくるのは暗号に触れた所以外では2箇所。

「泣くなよ、ぼうや。君がやったような、頭をさげてたたかいにとびこんでいくようなときには、これくらいの打撃は覚悟しなければならないのだ。(略)」(岩波P158)
Ne pleure pas, petit. Ce sont la des coups auxquels il faut s'attendre, quand on se jette dans la bataille, tete baissee comme tu l'as fait.

彼はもおう泣いていない。泣きたくもないし、ベッドの中で身もだえしたくもないし、二時間も絶望しつづけてきたが、今はそれもしたくない。(岩波P240)
Il ne pleure plus, il ne veut plus pleurer, ni se tordre sur son lit, ni se desesperer, comme il le fait depuis deux heures.


暗号に戻ると、連続した2語なら「空洞の」しか残らないけれど、独立した2語とするなら動詞の「泣く」はともかく、名詞の「川」と「証拠」は活かせそうにも思えるのに、すぐに一つに絞られて、固定されてしまう。そのあたりを考えてもやはり話の主導権を握っているのは少年側ではない。


※以上の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※

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「ミステリーズ!」vol.26 路地裏の迷宮踏査 人騒がせなルブラン

東京創元社|ミステリーズ!
http://www.tsogen.co.jp/mysteries/index.html
杉江松恋 路地裏の迷宮踏査26 人騒がせなルブラン
P314-315(モノクロ2P)、vol.26(2007年12月号)

「ミステリーズ!」は見かけは雑誌だけど書籍扱い。題のルブランはモーリス・ルブランの妹ジョルジェット・ルブランのこと。モーリス・メーテルリンクの長年のパートナーだった女性である。メーテルリンクは著書の「限りなき幸福へ」でジョルジェットに対して称賛の語を交えた献辞を書いているらしい。

□メモ
ジョルジェットがモーリス・ルブランのパリでの活動を助けたことは確かだろう。ジョルジェットやメーテルリンクを通して、アルフォンス・アレやステファヌ・マラルメらと知り合うことになる。
Le Monde.fr : Au pays de monsieur(仏語)
http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3246,36-681838@51-672256,0.html
→(参考)「ル・モンド」紙の記事:ルパン氏の生まれた土地で

アルフォンス・アレは作中でモーリス・ルブランの「これが翼だ」を読むよう薦めている。自転車という新たな移動手段への讃美をなしとげたと褒めているらしい。
Pour cause de fin de bail by Alphonse Allais - Project Gutenberg(作品は仏語)
http://www.gutenberg.org/etext/22111
坂本浩也「自転車をめぐるフィクション 19世紀末フランスにおける速度の詩学と性差のイデオロギー」
http://www.desk.c.u-tokyo.ac.jp/j/books_f010.html

ジョルジェットの生年はWebでは1869年と1875年の両方が流布している。1893年のデビューなら後者が正しそうだけれど、信頼できる情報がないのでどちらとも決しがたい。
Matt & Andrej Koymasky - Famous GLTB - Georgette Leblanc(英語)
http://andrejkoymasky.com/liv/fam/biol1/lebl1.html
Amazon.fr : Georgette Leblanc (1869-1941) Biographie Livres Maxime Benoit-Jeannin(仏語)
http://www.amazon.fr/dp/2871061971

ジョルジェットの主演映画(無声)で、マルセル・レルビエ監督作品の「人でなしの女」は、1980年代に再評価を受けてリマスターされてビデオが出ている。歌の音源も残っていて、「The Record of Singing Volume 2 (1914-1925)」というCDに収められているようだ。Vol.2は廃盤のようで、販売情報が見つからない。
The Record of Singing - Wikipedia, the free encyclopedia(英語)
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Record_of_Singing
Amazon.co.uk - Record of Singing, Vol.3(英語)
http://www.amazon.co.uk/dp/B000038I6K

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「奇岩城」探求(その10) 海のオベリスク

※以下の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※


「奇岩城」ではさまざまな表現を用いてエトルタのレギーユ(エギーユ)を描写している。その中にはちょっと捻った表現もある。例えば、この箇所。

ノートルダム大聖堂の塔よりも高く、都市の中の大広場よりも広い花崗岩の基礎の上に築かれた未知の要塞(岩波P306-307)


ここで言うノートルダムの塔というのはパリのシテ島にあるノートルダム大聖堂のことだろう。パリの街並みから抜きん出て高い建物であり、高さの指標にはもってこいである。ノートルタムの塔(鐘楼)は高さ69メートルで、エトルタのレギーユは約80メートル(77メートル)だから、この記述は正確だ。しかし、ノートルダム大聖堂を実際に見たときに分かるのは、2つの塔(鐘楼)より高く大聖堂の中央に聳える尖塔があるということである。

ImageNotre Dame de Paris by day.jpg - Wikimedia Commons
http://commons.wikimedia.org/wiki/Image:Notre_Dame_de_Paris_by_day.jpg
france-パリ観光名所
http://www.franceinformation.or.jp/paris/guide/guide.html

尖塔(エギーユ)は塔より高い、というわけである。尖塔については「奇岩城」探求(その8)でも触れたとおり。また、ノートルダムの塔は、普通名詞的に捉えることも出来る。ノートルダム大聖堂はフランスには数多くあり、ルーアン大聖堂も正式にはルーアンのノートルダム大聖堂で、尖塔は塔より高い。(尖塔のない大聖堂や尖塔が低い大聖堂もある)


そうなると俄然続きの文章も気になってくる。広場はエギーユと何のかかわりがあるのだろうか。広場にあるエギーユといえば、記念塔やオベリスクではないだろうか。おなじくエジプト由来の石の建造物であるピラミッドが複数の石を積み上げて出来ているのに対して、オベリスクは花崗岩を削り出してできた一枚岩である。エトルタのレギーユは断崖が(断層で切り離されて)削られてできた一枚岩であり、見た目も似ている。「奇岩城」中でレギーユを指してオベリスクと2回言っている。その箇所の一つは「奇岩城の大嘘」とは?(その2)で引用している。

世界のオベリスク
http://members.aol.com/Sokamoto31/obelisk_j.htm
Cleopatra's Needle - Wikipedia, the free encyclopedia(英語)…クレオパトラの“針”
http://en.wikipedia.org/wiki/Cleopatra's_Needle
Aiguilles de Cleopatre, vers 1873, non loin de la place des Consuls.(仏語)…クレオパトラの針が元々立っていたのはエジプト:アレキサンドリアのコンソール広場
http://www.egyptedantan.com/alexandrie/alexandrie.htm
Obelisque d'Arles - Wikipedia(仏語)…アルルのオベリスクはアルルのエギーユとも呼ばれている
http://fr.wikipedia.org/wiki/Ob%C3%A9lisque_d%27Arles

オベリスクは他国に流出することが多く、フランスではコンコルド広場のオベリスクが有名である。また、オベリスクに似せた記念塔も各国で作られた。小学館ロベール仏和辞典のobelisque(オベリスク)の項に「2 (オベリスクを模しておもに19世紀に作られた)方尖塔、記念碑。」とある。アメリカのワシントン記念塔は1848年に着工している。
ワシントン記念塔 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E8%A8%98%E5%BF%B5%E5%A1%94


エトルタのレギーユは、断崖から削り取られた天然の巨大オベリスクと言えるのである。ちなみにエトルタのレギーユは約80メートルであるのに対して、コンコルド広場のオベリスクは高さ約23メートルである。


前→「奇岩城」探求(その9) 海のエギーユ

※以上の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※

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フランスでオペレッタ「銀行家アルセーヌ・ルパン」が上演予定(続報)

上演が近づいたので再投稿。パリのアテネ・ルイ・ジューヴェ劇場というところで、オペレッタ「銀行家アルセーヌ・ルパン」が上演されるようです。期間は2007年12月21日~2008年1月13日。

「銀行家アルセーヌ・ルパン」は1930年に初めて上演されたオペレッタです。主演はルネ・コヴァル。若かりしジャン・ギャバンも出演していたとか。。

Athenee Theatre Louis-Jouvet, Arsene Lupin banquier(フランス語)
http://www.athenee-theatre.com/programmation/fiche_spectacle.cfm/42832_arsene_lupin_banquier.html
Athenee Theatre Louis-Jouvet, Paris(フランス語)
http://www.athenee-theatre.com/

アテネ・ルイ・ジューヴェ劇場の公演が終わった後、巡業もあるようです。
Arcadi Arsene Lupin banquier(フランス語)
http://www.arcadi.fr/artistesetoeuvres/artisteoeuvre.php?id=551


三角マークのボタンをクリックすると試聴できます。
L'Encyclopedie de la Comedie musicale en France (1918-1940)(フランス語)
http://jgana.free.fr/
ECMF (1918-1940) Arsene Lupin, banquier
http://194.254.96.20/cm/FMPro?-DB=cm_oeuvres.fp3&-lay=oeuvre&-Format=cm-rep.htm&cle=13&-Find
ECMF (1918-1940) Arsene Lupin, banquier (Enregistrement complet)
http://194.254.96.20/cm/FMPro?-DB=cm_midi.fp3&-Format=tablemidi2.htm&cleoeuvre==13&-SortField=oeuvre&-SortField=ref&-max=all&-Find


フランスでオペレッタ「銀行家アルセーヌ・ルパン」が上演予定

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Webで読める原作作品

Webでかつフランス語の原文で読める作品の一覧。「壊れた橋」は英語版のみ。Ebooks libres et gratuitsでは「プチグリの歯」を英語版を元にルパン譚として、「ある紳士」「友人のサービス」の2編をアルセーヌ・ルパン登場を予感させるとして準ルパン譚扱いで採用している。(それが妥当かどうかは翻訳がないのでわからない)


表中のA~Cは以下のサイトを指し、収録の有無を○で表した。作品No.は「アルセーヌ・ルパン」作品リストによる。タイトル、並び順はAのサイトに従った。

  1. Ebooks libres et gratuits : Leblanc, Maurice
    http://www.ebooksgratuits.com/ebooks.php?auteur=Leblanc_Maurice
  2. Books in the public domain in Canada - Maurice Leblanc
    http://ca.geocities.com/corpusmortuum/
  3. La Bibliotheque electronique du Quebec
    http://jydupuis.apinc.org/
No.タイトル形式ABC作品No.邦題(角括弧は仮題)
1Qui est Arsene Lupin?エッセイ---[アルセーヌ・ルパンは誰か?]
1933年11月11日「ル・プチ・バール」に発表
2La Comtesse de Cagliostro長編13カリオストロ伯爵夫人
3Arsene Lupin, Gentleman-cambrioleur短編集1怪盗紳士ルパン
4Les Confidences d'Arsene Lupin短編集6ルパンの告白
5Le Bouchon de cristal長編7水晶の栓
6Arsene Lupin contre Herlock Sholmes中編集2ルパン対ショルメス
7L'Aiguille creuse長編4奇岩城
8La Demoiselle aux yeux verts長編14緑の目の少女
9Les Huit coups de l'horloge短編集12八点鐘
10≪ 813 ≫長編5813
11L'Eclat d'obus長編8オルヌカン城の謎
12Le Triangle d'or長編9金三角
13L'Ile aux trente cercueils長編10三十棺桶島
14Les Dents du tigre長編11虎の牙
15L'Homme a la peau de bique短編-A2山羊皮服の男
16L'Agence Barnett et Cie短編集15バーネット探偵社
17Le Cabochon d'emeraude短編-A3エメラルドの指輪
18La Demeure mysterieuse長編16謎の家
19La Barre-y-va長編17バール・イ・ヴァ荘
20La Femme aux deux sourires長編18ふたつの微笑を持つ女
21Victor, de la brigade mondaine長編19特捜班ヴィクトール
22La Cagliostro se venge長編20カリオストロの復讐
23Les Milliards d'Arsene Lupin長編-21ルパン最後の事件
従来単行本では完全なテキストがなかったが、Ebooks libres et gratuits(A)のテキストは単行本化の際に欠けた部分を連載紙より補完している
24Une aventure d'Arsene Lupin戯曲--A5アルセーヌ・ルパンの冒険
25The Bridge that Broke短編--A4壊れた橋
26La Dent d'Hercule Petitgris
(Le Pardessus d'Arsene Lupin)
短編--プチグリの歯
1924年発表。1926年10月7日にアメリカの雑誌「ポピュラーマガジン」に「アルセーヌ・ルパンのオーバーコート」(英訳)として発表されたとき、登場人物がアルセーヌ・ルパンであるとされた。Ebooks libres et gratuits(A)のテキストはその増補部分を仏語訳して補完したもの
27Un Gentleman短編---[ある紳士]
1903年6月25日ロート紙。1904年単行本「赤い口、80頭の馬」所収。アルセーヌ・ルパンの最初のスケッチのようにも見えるとのこと
28Service d'ami短編---[友人のサービス]
1904年4月17日ロート紙。アルセーヌ・ルパン登場の予告のようでもあるとのこと
29Les Contes du Gil Blas短編集---[ジル・ブラス紙の短編集]
19作品。LA VISITE/LE HAI/CENT SOUS/M. ET MME JUMELIN/L'ECHAFAUD/LA CONFESSION DE TANTE LYDIE/LE PARI/UN EFFROYABLE MYSTERE/L'INDESTRUCTIBLE ILLUSION/SPLEEN/LE COCOTTE/ELLE/LE SALUT/LE SAINT D'ARGENT/GLOIRE AUX SAINTS/LE CORRESPONDANT/L'IMPORTUN/L'AMI DE LA LOGIQUE/LA GOUTTE DE SANG
30La Frontiere長編--[国境]
31Les trois yeux長編--三つの眼
32Le Formidable Evenement長編--ノー・マンズ・ランド
33Dorothee Danseuse de corde長編--綱渡りのドロテ
34Le Prince de Jericho長編--ジェリコ公爵
35Le Chapelet rouge長編--赤い数珠
36De minuit a sept heures長編---真夜中から七時まで
37La vie extravagante de Balthazar長編---バルタザールのとっぴな生活
38La foret des aventures長編---[冒険の森]


□2008/02/20作品一覧更新

フランス語の原文が読めるサイト
「アルセーヌ・ルパン」関連サイト

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1932年の映画「アルセーヌ・ルパン」

動画を発見。短いけれどルパンとソニアが見られる。主演はジョン・バリモア。
Arsene Lupin (1932) - John Barrymore & Karen Morley(映像は英語)
http://jp.youtube.com/watch?v=fLCWkAzxolU

1932年の映画なのでパブリック・ドメインに入っているはず。

Arsene Lupin (1932)(英語)
http://www.imdb.com/title/tt0022639/
キネマ旬報DB- Walkerplus.com:アルセーヌ・ルパン
http://www.walkerplus.com/movie/kinejun/index.cgi?ctl=each&id=581
ジョン・バリモア(John Barrymore) のプロフィール - allcinema
http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=38366


現にインターネット・アーカイブにジョン・バリモアの「ジキル博士とハイド氏」(邦題は「狂へる悪魔」)が上がっているので、いずれ見られるようになることがないとはいえない。
Internet Archive Details - Dr. Jekyll and Mr. Hyde(英語)
http://www.archive.org/details/DrJekyllandMrHyde
狂へる悪魔 - allcinema
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=6522


古いルパン映画のうち、フィルムが残っているのはどれくらいあるのだろう。モーリス・ルブランの「赤い輪」の元になった映画はフィルムが消失しているらしい(ルブランは映画を元に小説化した)。でも、日本でも公開された(邦題「赤輪」)らしいので、日本のどこか、世界のどこかには残ってはいないだろうか。

Silent Era PSFL The Red Circle (1915)(英語)
http://www.silentera.com/PSFL/data/R/RedCircle1915.html
The Red Circle (1915)(英語)
http://www.imdb.com/title/tt0005957/
上にはフィルムは失われたとかいてあるし、下IMDBのコメントにももう見られないというようなことが書いてある。


□2007/11/28注記
ローマの休日が(日本で)パブリックドメインに入っているならこれもそうだろうと早合点してたけれど、条件が複雑でよく分からなかった。日本で公開されていればパブリックドメインのはず。アメリカの場合1923年より前の映画ならすべてパブリックドメインに入っているらしい。

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DVD怪盗紳士アルセーヌ・ルパン「奇巌城 ~エギーユの秘密」

なんといっても、エトルタのレギーユ(針岩)が見られるのがうれしい。レギーユを写真や影像に収める場合、どうしても遠景になってしまって、その大きさを実感できない。だけど、人が近づいてツンツン突っついているから、その大きさがよく分かる。旧式の宇宙服みたいな潜水服も面白い(こういう格好漫画の鉄人28号に出てくる)。

ただし内容はあんまりない。原作とは根本から違うし、ボートルレは最後飲んだくれてるし。ショルメスはエルロック・ショルメスと連呼されるだけ。レギーユの発音はエギュイ(-ユ)という感じに聞こえた。堀口版が近い感じ。

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シャーロック・ホームズ対アルセーヌ・ルパンのアドベンチャーゲーム発売

過去に何度か書いたPCゲームが発売されていたようです。

The adventure games of Sherlock Holmes(英語。公式サイト)
http://www.sherlockholmes-thegame.com/
Panogames - Sherlock Holmes vs Arsene Lupin(英語。スクリーンショットとFAQ)
http://www.panogames.com/games/sherlock_holmes_vs_arsene_lupin.htm
Frogwares Game Development Studio Shop(英語。ショップサイト)
http://www.frogwares.com/shop/index.html

日本語の情報
4Gamer.net ― Sherlock Holmes versus Arsene Lupin[PC]
http://www.4gamer.net/games/040/G004097/

シリーズの過去タイトル
シャーロック・ホームズ対アルセーヌ・ルパンのアドベンチャーゲームの公式サイトオープン

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第一次世界大戦前の「虎の牙」(続)

「虎の牙(11)」はフランス本国で出版(1921年)される前に、アメリカで出版(1914年)されたのですが、Webで当時の英訳本を発見しました。

Internet Archive Details The teeth of the tiger
http://www.archive.org/details/teethoftiger00lebliala

Djvu形式、PDF形式の二つの画像があって、文字情報をTXT形式で提供しています。この本は、カリフォルニア大学図書館の蔵書なのですが、元はイザベル・エリスさんという女性が所蔵していたみたいで、彼女の蔵書印が付いていたり、内容以外でも面白いです。

口絵には映画のシーンから撮られた写真があります。特に画像加工ソフトを持っていないので荒いですが、アップしてみました。
A SCENE FROM THE PHOTOPLAY(jpg)
主演はデビット・パウエルと(David Powell)いう人です。

これを見ると、1914年の時点で映画の撮影が完了していたか、映画自体がほぼ完成していたようですね。公開は第一次世界大戦を挟んで1919年になったようです。


さて、このインターネット・アーカイブの信頼度はどれくらいでしょう。基本はOCRスキャンをしているのだろうけど、文字がくっきりしすぎているし、元の文字を薄く消して、文字情報を載っけているようにも見えるのですが、やはり、スキャンしたままのようです。少々加工はしているでしょうけれど。

たとえば、インターネット・アーカイブには「三つの目」も上がっていますが、やはり読み取りミスがあるようです。
Internet Archive Details The three eyes
http://www.archive.org/details/threeeyes00lebliala

○口絵(全体の6枚目)
THE WOMAN OF MYSTERY
表示は「OF」、文字情報は「or」
THE SECRET OF SAREK
表示は「OF」、文字情報は「OP」
EYES OF INNOCENCE
表示は「OF」、文字情報は「or」

○14ページ
He was going through the garden and back to his Yard.
表示は「going」、文字情報は「goin<;」

こんな感じです。「虎の牙」でもギリシャ数字が上手く認識されていないのが分かります。

ちなみに
THE WOMAN OF MYSTERY→「オルヌカン城の謎(8)」
THE GOLDEN TRIANGLE→「金三角(9)」
THE SECRET OF SAREK→「三十棺桶島(10)」
EYES OF INNOCENCE→原題「Les yeux purs」。1902年発表の長編小説。
です。

とすると、文字情報(またはTXT形式)をそのまま信用するとちょっと痛い目にあうということですね。贅沢すぎなのは分かっているけれど、スペルをチェックしたタイプ版テキストも上がっていると嬉しいんだけどなあ。英語分からない者としてはテキストでコピーして翻訳できると実にありがたいので。「虎の牙」の場合はグーテンベルグに、タイプしたものが上がっているけれど、出版や訳者の情報が分かりにくいです。

The Teeth of the Tiger by Maurice Leblanc - Project Gutenberg
http://www.gutenberg.org/etext/13058


第一次世界大戦前の「虎の牙」

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