映画「ルパンの奇巌城」が制作決定

公開は2011年予定だそうです。

ルパンの「奇巌城」映画化へ 舞台は日本、備中松山城など登場 - 山陽新聞地域ニュース
http://www.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2010012522512029/

 岡山など地方の映画関係者らが協力し、フランスの作家モーリス・ルブランが生んだ「怪盗アルセーヌ・ルパン」シリーズの代表作「奇巌城」を映画化することが25日、分かった。(略)

 原作は、王家の財宝をめぐりルパンが高校生探偵ボートルレや名探偵シャーロック・ホームズと対決する人気作品。「斜陽」(太宰治原作、09年)など文学シリーズを手掛ける秋原正俊さんが監督と脚本を担当、高松市出身の文豪菊池寛の抄訳版を題材に現代日本を舞台にしたサスペンスへと翻案した。「七色の声を持つ」という声優、俳優の山寺宏一さんがルパンを演じる。


も、もったいなーい。山寺さんがやるなら原作に近い形での朗読とかドラマに関わって欲しかったー。山ちゃんの原作ルパン聞きたいよ。まあ初主演は素直にめでたい! 顔出しの演技は「合い言葉は勇気」しか知らないけれど、このドラマ好きでした。シナリオ本買った。顔はほぼ毎日「おはスタ」で見てますしモノマネも芸達者ですよね。


秋原監督・映画「ルパンの奇巌城」 5月に弘前でロケ by 陸奥新報
http://www.mutusinpou.co.jp/news/2010/01/9975.html

 映画は、江戸時代から続く名家で所有する土偶がルパンに盗まれた事件を、女子大生探偵が解決していくストーリー。ルパンを追い込む探偵に女優の岩田さゆりさん、これを助ける弘前城の管理人と八戸大学教授役には、それぞれお笑いコンビ「ますだおかだ」の増田英彦さんと「キャイ~ン」のウド鈴木さんが抜てきされた。

岩田さゆりさん=ボートルレ(原作は少年)
増田さん=ヴァルメラ
ウドさん=マッシバン
かな。また性別を変えられちゃった。


監督のブログ
新作発表!ルパンの奇巌城 - AKIHARA blog
http://www.kaerucafe.co.jp/akihara/2010/01/post-88.html

初嶺麿代さんって元宝塚で「『A/L(アール)』 -怪盗ルパンの青春-」に出てらした方ですね。
宝塚「A/L」あらすじ(配役表あげています)


信濃毎日新聞[信毎web] 長野にルパン「参上」 映画「奇巌城」6月にロケ
http://www.shinmai.co.jp/news/20100126/KT100125SJI090007000022.htm
山寺宏一「ルパンの奇巌城」で映画初主演 - シネマニュース : nikkansports.com
http://www.nikkansports.com/entertainment/cinema/news/p-et-tp1-20100126-589328.html
山寺宏一「ルパンの奇巌城」で映画初主演 ニュース-ORICON STYLE-
http://www.oricon.co.jp/news/entertainment/72769/
県内ロケ映画に山寺宏一さん主演/Web東奥・ニュース20100126000037
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2010/20100126000037.asp


全国7都市でロケって…
岡山…備中松山城など
兵庫
岩手
長野
栃木
青森…弘前城など
あとはどこだ。


原作にしているのは青空文庫に入っているものだと思います。青空文庫は著作権保護期間が満了した作品を無料で公開しているサイトです。自由に利用できるから半ば口実のようなもので、内容はかなり変わるのでしょう。

こういってはなんですが、青空文庫の「奇巌城」、私は評価できないんですよね。抄訳ということをふまえても。もともとの底本が頭数を揃えるのが目的のような全集本(全百冊近くある)の一冊に収録された物で、菊池寛は企画の責任者です。自身が担当したかどうかは懐疑的に思ってます。「奇巌城」を紹介したというなら三津木春影と保篠龍緒の名前を挙げるべきです。

読むなら翻訳をおすすめしたいのですが、でも、フランス語が分からない日本人には暗号自体理解できないという…。そこのところが分かりやすい翻訳って今のところないなあ。総合点でいうと岩波少年文庫「奇岩城」かハヤカワ文庫「奇岩城」がよいです。


□2010/01/30
制作会社のサイト
カエルカフェ ウェブサイトへようこそ [Kaerucafe official site]
http://www.kaerucafe.co.jp/

スタッフの方が土偶展に行ったようですね。映画では「縄文のビーナス」などの土偶が盗みのターゲットとなっているとニュースに出てましたが。土偶展行こうかな。

国宝「縄文のビーナス」長野県茅野市 - VOX
http://www.kaerucafe.co.jp/vox/2010/01/post-134.html
かわいい。
ところで、山ちゃんは「おっはー」でなく「おーはー」です!


□2010/02/07
秋原監督ら映画ルパンの構想語る-北海道新聞[青森からこんにちは]
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/aomori/213584.html

警部役は俳優で声優の松田洋治さんが務める。

松田さん=ガニマールってことですね。声優の、と紹介されることに驚き。確かにもののけ姫のアシタカ役などを演じていらっしゃいますけれど。

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「アルセーヌ・ルパン」邦訳一覧(別表)をアップ

電子書籍のグーテンベルク21と過去に出版された全集の収録作品一覧です。何のために作ったかというと単に眺めるためだったり。今のところ集める気はないかな。

「アルセーヌ・ルパン」邦訳一覧(別表)

最近の邦訳一覧は以下。
「アルセーヌ・ルパン」邦訳一覧


「戯曲アルセーヌ・ルパン(3)」について、英語の小説版から翻訳されることが多いのですが、戯曲と小説は少しちがう部分があり、私にはその違いこそが決定的なのです。邦訳一覧ではあくまで二次作品という意識で表外に置きましたが、別表では気にする必要がないので表の中に注記しています。(小説版はルブランが目を通していたとしても、赤入れはしていないだろうと思います。)


グーテンベルク21の電子書籍は入手可能な本ではあるのですが、形態が違うので別表にしました。

池田宣政名義のアルセーヌ=ルパン全集は巻末の宣伝では「完訳」と書かれていますが、違います。南洋一郎名義の怪盗ルパン全集より全文に近いとはいえ、アレンジが加えられているし、短編の収録作品も足りません。収録作品が足りないのはページ数の都合もあるのではないかと推測します。

東京創元社のアルセーヌ・リュパン全集の収録作品は、ほとんどが創元推理文庫として文庫かされましたが、いくつかの作品が漏れています。翻訳権の関係です(現在は消滅)。

保篠龍緒氏の全集はたくさん出ていますが、鱒書房版は戦後に出版された全集のうち、もっとも数が揃ったものの一つです。


原作の翻訳(完訳)を読みたい場合は、東京創元社のアルセーヌ・リュパン全集か偕成社アルセーヌ=ルパン全集の2つになりますが、後者は入手可能です。

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翻訳ミステリー大賞シンジケートの翻訳者リレー・エッセイに平岡敦氏が登場

ブログ「翻訳ミステリー大賞シンジケート」の翻訳者リレー・エッセイ「会心の訳文」第7回で、ハヤカワ文庫のアルセーヌ・ルパンシリーズを翻訳されている平岡敦氏が執筆を担当しています。「怪盗紳士ルパン」のある箇所の翻訳について書かれています。


会心の訳文・第七回(執筆者・平岡敦) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート
http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20100104/1262578026
翻訳ミステリー大賞シンジケート
http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/


ハヤカワ文庫からはルパンシリーズが4冊刊行されています。
ハヤカワ・オンライン|早川書房のミステリ・SF・ノンフィクション
http://www.hayakawa-online.co.jp/
ハヤカワ・オンライン:検索結果一覧:アルセーヌ・ルパン

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電子書籍:グーテンベルク21のモーリス・ルブラン作品

「グーテンベルク21」は電子書籍の販売サイト。また、「グーテンベルク21」が提供元(出版社)となり、複数の電子書籍サイトでも販売されている。

グーテンベルク21
http://www.gutenberg21.co.jp/
グーテンベルク21:著者名検索
http://www.gutenberg21.co.jp/search_author.htm

表題番号は「著者名検索」のページの並び順を元にした。備考欄には同一タイトル・翻訳者の書籍について記した。「作品No.」は「アルセーヌ・ルパン」作品リストに従う。

表題番号収録作番号タイトル翻訳者作品No.備考
1-怪盗紳士アルセーヌ・ルパン大野一道1旺文社文庫
1-1アルセーヌ・ルパンの逮捕1-1
1-2獄中のルパン1-2
1-3アルセーヌ・ルパンの脱獄1-3
1-4遅かりしシャーロック・ホームズ1-9
1-5謎の乗客1-4
1-6女王の首飾り1-5
1-7ハートの七1-6
1-8アンベール夫人の金庫1-7
1-9黒真珠1-8
2-ルパンの告白野内良三6旺文社文庫
2-1太陽のたわむれ6-1
2-2結婚指輪6-2
2-3影の合図6-3
2-4地獄の罠6-4
2-5赤い絹のスカーフ6-5
2-6うろつく死神6-6
2-7白鳥の首のエディス6-7
2-8麦わらのストロー6-8
2-9アルセーヌ・ルパンの結婚6-9
3-ルパン対ホームズ野内良三2旺文社文庫
3-1ブロンドの女2-1
3-2ユダヤのランプ2-2
4-八点鐘保篠龍緒12
4-1古塔の秘密12-1
4-2水壜12-2
4-3海水浴場の殺人12-3
4-4映画の表裏12-4
4-5ジャン・ルイ事件12-5
4-6斧を持った女12-6
4-7雪の上の靴跡12-7
4-8マーキュリーの像12-8
5-水晶の栓山辺雅彦7旺文社文庫
6-813(上・下)保篠龍緒5
7-奇巌城水谷準4角川文庫
8-オルヌカン城の謎大友徳明8角川文庫


□購入できるサイト
電子書籍の総合書店 ビットウェイブックス
http://books.bitway.ne.jp/
電子書店パピレス
http://www.papy.co.jp/
紀伊國屋書店BookWeb:電子書籍
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/indexp.html


「アルセーヌ・ルパン」邦訳一覧
「アルセーヌ・ルパン」邦訳一覧(別表)

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JET「怪盗アルセーヌ・ルパン 八点鐘」1・2巻発売予定

雑誌「ネムキ」に連載されていた漫画の単行本。2010年2月5日発売予定。

新刊コミックス一覧│アサヒコミックオンライン・ホラーコミック - ASAHI COMIC Online
http://asahi-comic.com/comics/

収録内容
1巻:塔のてっぺんで、水瓶、テレーズとジェルメーヌ、映画の啓示
2巻:ジャン=ルイの場合、斧を持つ貴婦人、雪の上の足跡、マーキュリー骨董店


十番街通信(JET 公認情報局)
http://www7.pekori.to/~g-zennosuke/
オールバックとひげはあらかじめ編集側からNGと言われたらしい。そういう面でビジュアルに文句がなかった私もたいがい少女漫画脳なのかも(笑)(禁止しなくても…とは思いますが) JETさんのハーレクインのコミックにこの「八点鐘」の広告が載ったらしいけれど、内容的には違和感がないので妥当かな。会社をまたいだ連動広告は最近多いですね。


□2010/01/31
表紙が公開されています。
Amazon.co.jp: 八点鐘 1 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)
http://www.amazon.co.jp/dp/4022131535
Amazon.co.jp: 八点鐘 2 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)
http://www.amazon.co.jp/dp/4022131543

□2010/02/01
朝日新聞出版 最新刊行物:コミック:八点鐘 1
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=11189
朝日新聞出版 最新刊行物:コミック:八点鐘 2
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=11190

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ウージェーヌ・シュー「パリの秘密」とルパンシリーズ

「ルパン最後の事件(21)」でヒロインの息子ロドルフと共にヒロインを助けに行こうとするルパンが、ある人物の名前を口にする。

「よかろう」と彼は笑いながらいった。「ロドルフ君がなにをやるべきか知っているんだから、わたしはきみのいうとおりにすればいいんだよな……いけ、ロドルフ王子。」
「なぜ王子だなんていうの?」と、少年がたずねた。
「それは、ある有名な小説に、ロドルフという名前の王子が出てくるからだ。その王子はね、友を救い敵をやっつけるために、ありとあらゆる困難にぶつかるんだ。(略)」(偕成社アルセーヌ=ルパン全集「ルパン最後の事件」P142/ルパン最後の事件(21))

ロドルフ王子はロドルフ大公(prince Rodolphe)で、ウージェーヌ・シューの小説「パリの秘密」の主人公を指すのだろう。シューの作品は、残念ながら入手できる邦訳がないが、小倉孝誠「『パリの秘密』の社会史」という研究書が出ていて、詳しく紹介されている。(冒頭に「ウージェーヌ・シューとは誰か?」という一説が設けられているが、フランス文学に疎いのにロドルフ王子って誰?というところからこの本に行き着いた私は結構なレアケースだろう)

「パリの秘密」は19世紀に新聞に連載され、大変な人気を博した小説で、主人公のロドルフはドイツの大公という身分を隠してパリの下町に身を潜め、貧民を補助しながら生き別れとなった娘を捜していた。


「虎の牙(11)」でもシューの小説が言及されている。

「これでよしと。おれはユージェーヌ・シューがいうように、大悪人の目は、えぐりとってやらねばならぬとまではいわない。(略)」(創元推理文庫「虎の牙」P540/虎の牙(11))

これは「パリの秘密」で、悪役の「先生」という人物が失明させられることを指している。「『パリの秘密』の社会史」で少し触れられているけれど、アルセーヌ・ルパンはロドルフやモンテ・クリストに連なるヒーローの末裔でだと思う。


一方で「アンチ・ロドルフ」という見方もあるようだ。ロベール・ドゥルーズ「世界ミステリー百科」では次のようにかかれている。

ルブランは主人公を上流階級のなかでしか活躍させないというこで非難された。だがこのアンチ・ロドルフの彼が、庶民のなかで何をするというのだ。ルパンは庶民ではないか。抵抗し、冷やかし好きで、反乱を起こす庶民そのものである。ボワロー・ナルスジャックがこう記している。「偉大なるルパンは、もっとも強いということを、華々しく自分にも我々にも認めさせる弱者なのだ」。そのとおりである。(ローベール・ドゥルーズ「世界ミステリー百科」P50)

これにも同感。庶民と交わっては何もすることはない。ルパンシリーズは徐々に変質していき、シリーズ後半では工場で働く人々やお針子といったささやかな存在にも目を向けるが、基本は弱きものと交わる存在ではない。そこがロドルフ大公とは異なるのである。


また、シューには「パリの秘密」以外に「さまよえるユダヤ人」という作品がある。「さまよえるユダヤ人」はある新教徒の子孫が、何月何日にパリの屋敷に行くように記された謎のメダルを持っている。決められた日に屋敷に行くことができれば莫大な遺産を手にすることができるのである。この作品に言及しているのが「アルセーヌ・ルパンの帰還(A5)」だ。

ジョルジュ その男と最後に会ったのは、チベットで、半年ほど前だった。そのとき、彼はぼくに、こういったよ。きみの屋敷に昼食に伺う。三月一日の、月曜日。時刻は、一時十五分に決めようとね。
ブリザイユ いえよ、君! さまよえるユダヤ人の名は?
ジョルジュ ぼくの最良の友さ!
全員 それは、どうも!
(雑誌「EQ」1989年9月号「アルセーヌ・ルパンの帰還」長島良三訳P184-185/アルセーヌ・ルパンの帰還(A5))

ブリザイユのセリフは「Le nom du Juif errant?」なので「その“さまよえるユダヤ人”の名は?」となる。何月何日何時と刻限を決めてパリの屋敷に行くという点で、「さまよえるユダヤ人」にたとえているのである。約束を決めた人物の名前を教えろと言っているのに、遠巻きの答えだったので、「そいつはどうも(Merci!)」と返すのだ。こういう実のない掛け合いは有閑階級っぽい。

ここでは“自ら定めた刻限通りに登場するはずの謎の男”を待っているという設定自体がデュマの「モンテ・クリスト伯」の見立てになっていて、さらにデュマに影響を与えたシューの作品が登場するという流れになっている。


「さまよえるユダヤ人」との関わりで忘れてはいけないのは、ルブランの非ルパンものの小説「綱渡りのドロテ」だ。「さまよえる」で相続資格者が証として青銅のメダルを持っているように、「ドロテ」でも金のメダルを持っている者が指定された日に指定された場所に行く必要がある。「さまよえる」はメダルの持ち主が悪役に翻弄されるという筋書きが読者の興味をさそっているのに対し、「ドロテ」ではメダルの謎を解くことに主眼が置かれ、新しい物語となっている。


□参考文献
ウージェーヌ・シュー「さまよえるユダヤ人」上・下巻、小林龍雄訳、角川文庫、1951-1952年
A・デュマ「モンテ・クリスト伯」全5巻、新庄嘉章訳、講談社文庫
小倉孝誠「『パリの秘密』の社会史」新曜社、2004年
ローベール・ドゥルーズ「世界ミステリー百科 ミステリーを創った世界の作家たち」小潟昭夫監訳、JICC出版局、1992年

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アルセーヌ・ルパンはシルクハットをかぶっているか

2009年12月19日放送の「世界ふしぎ発見!」で番組終わりに流れた三択問題。いつもかぶっているものは?というものだった。シルクハットを導きたいのだろうが、原作ファン的にはいただけない。


アルセーヌ・ルパンはTPOに合わせた格好をするのでいつもシルクハットをかぶるような正装姿をしている訳ではない。正装が必要な場ならそれにふさわしい格好をするだけのこと。正装姿は、あえていうのなら、上流階級に潜んでいますよ、というしるしとでもいうか。

それに「いつも」というのはとっても乱暴。むしろいつもかぶってるのはレイトン教授でしょう。映画と覚しきシーンが映っていたけれど、ルパンだったら帽子を脱ぐか、脱ぐしぐさをするのじゃないのかなあと思われるシーンだった。


ではなぜ、アルセーヌ・ルパンといえばシルクハットというイメージなのか?というと、単行本でレオ・フォンタンという画家が描いた表紙が、夜会服にモノクルとシルクハットといういでたちだったからと言われている。

もちろん、原作でシルクハットをかぶっているシーンがない訳ではない。シルクハットをかぶっている描写があるのは「アンベール夫人の金庫(1-7)」で、駆け出しのルパンがよれよれのフロックコートと色あせたシルクハットを身につけている。「金髪婦人(2-1)」では、帽子を手に持っているシーンがあるが、燕尾服を着ているので、帽子はシルクハットだろう(室内でご婦人に会うので帽子を脱いている)。「ふしぎ発見」で出てきた小さくたためるオペラハットは、「結婚指輪(6-2)」で脇に抱えて登場する(同じく)。でも服装の描写はあまり多くないし、正装姿はほとんどないと思われる。


なお、ルパンシリーズが初登場の雑誌に載ったときの挿絵はスーツ姿で描かれている(無帽。スーツ姿のときに帽子をかぶるとすればソフト帽だと思う)。他はどういう姿なのかとみてみたけれど、直接姿を現すことが少ないので、挿絵に描かれることも多くないのだった。

翻訳書の状況はコレクターではないのでよくは知らない。ただ私は偕成社アルセーヌ=ルパン全集の挿絵のイメージが強くて、この本ではスーツ姿で描かれることが多い。

偕成社版より昔に読んだポプラ社版の「怪盗ルパン全集」だが、挿絵では正装姿、マント姿は少なかったはず(当時の挿絵は今年発売されたポプラ文庫クラシックの挿絵とは違う)。表紙絵については、幼心に前半の巻と後半の巻では何となく、ちがうなあと思っていた。違って当然。表紙絵の担当者が違うから(前半を牧秀人氏、後半の殆どを岩井泰三氏が担当している)。前半の表紙絵で着ているのは渋い青みがかった服で、後半の服は黒いのだ(それが関係したかどうか分からないけれど後半の作品で読んだのは「ルパンの大作戦」(オルヌカン城の謎(8))くらい)。

表紙絵は以下に展示されている。
南洋一郎「怪盗ルパン全集」の部屋
http://www2s.biglobe.ne.jp/~tetuya/lupin/minami/minami1.html


偕成社版とはちがって、モノクルとシルクハットにこだわっているのは岩波少年文庫の挿絵だ。「奇岩城」では重傷を負っているにもかかわらず、正装でモノクルをして横たわっているというなんのギャグだ状態に(笑) 小説の挿絵はある程度嘘が交じるものだけれど。

モノクルというのは顔の凹凸に直接はめ込んで装着するので、こころもちしかめ面になるし、長時間装着するものではないらしい。体調の悪い時に連続装着するのは辛いだろう。仰向けに寝ているから余計につけづらそうだ。

重傷を負った時の服装は「自動車運転手の服装」となっている。自動車の運転をするときはかぶるのは「ハンチング」。だからハンチングを落としていく。なので、正装姿だとわざわざもってこさせないといけない。(こんなことをいうと身も蓋もないが、風呂入ってないんだから恰好だけつくろっても意味がないよ。)


TBS「世界ふしぎ発見!」2009年12月19日放送 ミステリーはパリで生まれる!

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作品リストの長編2作のタイトルを改めること

作品リストの長編作品2つのタイトルを変更しました。

「アルセーヌ・ルパン」作品リスト

「緑の目の少女」だとロリコンって思っちゃうので(←誰のことだ・笑)、偕成社アルセーヌ=ルパン全集および創元推理文庫に準じて「緑の目の令嬢」とします。意味としては「緑の瞳のお嬢さん」みたいな感じでもいいんじゃないかと思うのですが、その辺は作品リスト試案や各作品の解題を書くときに考えてみたいです。

「ふたつの微笑を持つ女」は創元推理文庫に準じて「二つの微笑を持つ女」に変えました。ハヤカワ文庫から続刊が出版される見込みがなさそうなので、既存本の表記に合わせたほうがよいと判断したためです(こだわりどころではないので)。短編タイトルは現状のままです。


また、邦訳一覧の「バルタザールのとっぴな生活」と「三つの眼」は、偕成社アルセーヌ=ルパン全集のタイトルを使っていましたが、創元推理文庫に準じて「バルタザールの風変わりな毎日」「三つの目」に変えました。

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リーヴル・ド・ポッシュのクイズ:アルセーヌのクイズ

期間限定(たぶん2010年1月限定)のクイズで、成績が良いといいことがあるかもしれないです。

Livre de Poche - Le Quiz du mois au Livre de Poche(フランス語)
http://www.livredepoche.com/quiz/formulaire.php

ひっかけというわけではないのでしょうが、「リーヴル・ド・ポッシュ」のアルセーヌ・ルパンシリーズについてのクイズだと念頭に入れたほうがよいかも知れません。「リーヴル・ド・ポッシュ」収録作品は以下の記事にまとめています。
リーヴル・ド・ポッシュ版のルパンシリーズ(洋書)

以下、問いと選択肢は自動翻訳を元にしています。

  1. アルセーヌ・ルパンというキャラクターの発明者は、
    • モーリス・ルブラン
    • ダニー・ルルージュ
    • ノエル・ルヴェール

  2. アルセーヌ・ルパンの職業は何?

    • 私立探偵
    • 警察の警視
    • 泥棒

  3. 緑の目の令嬢は、

    • アルセーヌ・ルパンのフィアンセ
    • アルセーヌ・ルパンの友人
    • アルセーヌ・ルパンに自由を奪われた者

  4. アルセーヌ・ルパンの作者によって書かれる冒険(1924年発表)で最初のものは、これらの小説のうちどれか?

    • 三つの目
    • カリオストロ伯爵夫人
    • 特捜班ヴィクトール

  5. これらの3つのカバーのうちどれが新しい図形ラインでないか?

    • 怪盗紳士ルパン
    • 虎の牙
    • ルパン対ショルメス

  6. これらの小説のうちの1つの筋は、刑務所で起こらない……どの小説か?

    • アルセーヌ・ルパンの二重生活(「813」の第1部、「813」)
    • アルセーヌ・ルパンの三つの犯罪(「813」の第2部、「続813」)
    • アルセーヌ・ルパンの逮捕

  7. これらの小説のどれかは、行動がブルターニュで起こる。どれか?

    • バール・イ・ヴァ荘
    • 奇岩城
    • 三十棺桶島

  8. アルセーヌ・ルパンの冒険を書いた作者の職業は、何だったか?

    • 泥棒
    • 警察官
    • ジャーナリスト

  9. アルセーヌ・ルパンは、以下の通りであると考えられる。それは、

    • とても内気な
    • 信じられないほど陰謀を企むこと
    • かなりぼんやりした

  10. ほとんどの場合アルセーヌ・ルパンは彼自身をどんな偽名で紹介するか?

    • レイモン
    • レミ
    • ラウール


私は10問中9問正解でした。何が不正解だったかは分かりません。

ル・フィガロの記事:アルセーヌ・ルパンを知っていますか?(クイズ)


□2010/02/06
解答です。
Reponses du quiz des gourmands(フランス語)
http://www.livredepoche.com/annonces/quiz/reponses-quiz-janvier.html

3問目の「La prisonniere d'Arsene Lupin」の意味がよく分からなかったのだけれど、「アルセーヌ・ルパンのとりこ」とでも考えたほうがよいのかも。(私が間違えていたのはこれでした)

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ポプラ文庫クラシック「奇巌城」入手のこと

南洋一郎文、2010年

分厚い分、背表紙の著作・タイトル表示が中心からずれてしまているので、できるだけずれのないものをと選んだ(そうすると、表紙の絵が背表紙にずれこむのだけど)。

これは声を大にして言っておきたい。地図にしっかり「奇巌城」が書かれているけれど、ポプラ社版「奇巌城」に「奇巌城」は出てきませんから! 本来出てこないのが正解なんだけどねえ…。


ポプラ文庫クラシックの怪盗ルパン全集シリーズのテキストは、現在流通している新訂版のルパンシリーズではなく、過去に発行されていた「怪盗ルパン全集」の、それも初版に基づいているらしい。実は、「怪盗ルパン全集」は初期のものと後期のものでは改訂されていて文章が違う箇所があり、「怪盗ルパン全集」と新訂版の違いよりも、「怪盗ルパン全集」初期と後期の違いの方が大きいのだ。


そこで内容を確認してみた。今回のポプラ社文庫クラシック版を「クラシック」とし、「文庫版 怪盗ルパン 奇巌城」2005年初版を「新訂文庫版」とする。

その城は三百年もむかしの国王ルイ十三世式の古い城館で、屋根のとんがった小塔や鐘楼がいくつも立ちならび、その中央に、ひときわ高い、巨大な針のような尖塔が、天をつきさすようにそびえたっている。
「あの大尖塔があやしい。あのなかにとじこめられているのかもしれない」(クラシックP165)

その城は三百年もむかしの国王ルイ十三世式の古い城館で、屋根のとんがった小塔や鐘楼がいくつも立ちならび、その中央に、ひときわたかい、巨大な針のようにとんがった塔が、天をつきさすようにそびえたっている。
「あの塔があやしい。あのなかにとじこめられているのかもしれない。」(新訂文庫版P128)

以前国際子ども図書館に出向いて初期の版(初版かどうか不明)を確認したことがあるが、ここは覚えている。怪盗ルパン全集の初期は「尖塔」で、後期は「塔」だったので、たしかに、初版を元にしているようだ。
「尖塔」と「塔」。一字違いで大違い。「尖塔」というのは屋根の上の飾りで、ふつう人が住んだり入ったりできる大きさではない。(原作は「尖塔」であり、この部分のイジドールの推論はポプラ社版の創作。原作と比較しようとしているわけではないので、これ以上は触れない)


以下、クラシック版を読んでいて気になった箇所、気づいた箇所をあげてみる。比較しようと読んだわけではないので違いのうちのほんの一部だ。

「即死です。短剣のひとつきが致命傷です」
医者がいった。
「客間のマントルピース(壁へはめこみのだんろ)のかざりだなの上にあった短剣ですね。茶色の革帽子とならべてあった」
判事がいった。
「そうです」伯爵がこたえた。
「短剣は小銃などの武器といっしょに、装飾用に客間の壁にかけてあったのです。帽子は犯人のものにちがありません」
「昨夜の兇行当時のようすを、できるだけくわしくお話ねがいたいのですが」(クラシックP32)

「即死です。短剣のひとつきが致命傷です。」
と、医者が説明した。
「昨夜の凶行当時のようすを、できるだけくわしくお話ねがいたいのですが。」(新訂文庫版P23-24)

「茶色」の帽子はほかの箇所では「黄色」。まあ誤差の範囲。こんな風に、現在の新訂版では文章が省略されている箇所がある。このあとしばらく会話だけの文章が続くが、後期のテキストおよび新訂版では判事と伯爵が会話をしているという情報が省略されているため誰と誰の会話なのかが分かりにくくなっている(「伯爵がこたえた。」の後に改行が入らない方が分かりやすい)。また医者の登場シーンが削られているため、唐突の感もある。


四月の太陽はあかるく笑っている。(クラシックP113)

六月の太陽は明るく笑っている(新訂文庫版P86)

六月が正解。


「ぼくは、城内を調べるために、ひとりで夜中に城壁をのりこえて、しのびこもうと思うんです」
「いや、あの高い城壁は、かんたんにはのりこえられません。それに、すごい猛犬が二頭いますからね。ぼくの母が一時あすこに住んでいたことがある。そのとき飼っていたやつが、まだそのまま、いまでもおっぱなしてあるんです」
「犬は毒殺すればいい」
「そいつはかわいそうだが、しかたがない。けれど犬をころしても、建物のなかへしのびこむのがむずかしい。古い城ですから、戸じまりは厳重だし、窓には鉄格子があり、扉はすごくがんじょうです。たとえ、しのびこめたとしても、どこにルパンがいるか、どの部屋にきみの父がとじこめられているか、さがしだすのが大変です。なにしろ、部屋数が八十もあるんですよ」(クラシックP10)

「ぼくは、城内を調べるために、夜中に城壁をのりこえて、しのびこもうと思うんです。」
「いや、あの高い城壁はのりこえられません。秘密のくぐり戸からはいるほかに方法はありません。そこからしのびこんでもどこにルパンがいるか、どの部屋にきみのお父さんがとじこめられているか、さがしだすのがたいへんです。なにしろ、部屋数が八十もあるんですよ。」(新訂文庫版P132)

しかたがないのかよっ。毒殺は穏やかではないので削ったほうがよいだろう。


「坊やさま……坊やさま……」
 乳母のビクトワールが、小さいときにルパンを呼んだとおなじように、そう呼びながら(略)(クラシックP322)

「坊っちゃま……坊っちゃま……」
 ビクトワールが、小さいときにルパンを呼んだとおなじように呼びかけ、(略)(新訂文庫版P242)

坊やさま? 見慣れぬ。


シャロレー(P306)がシャルロー(P307)になっているのは校正ミスだろうか? 一部用語の統一がとれていないものがある。挿絵は奈良葉二氏だが、私には見覚えがない。テキストと同じく「怪盗ルパン全集」の初版の挿絵が元らしい。私が昔読んだ版では中村英夫氏が担当していたらしい。ただし、表紙の題字のフォントは初期と後期で変わっているらしいのだが、今回のポプラ文庫クラシックは初版のものではないらしい。

新訂版で行われている用語の言い換えはないようだ。巻末の用語についての注意書きに「原作者および翻訳者の意図」と書かれているのだけど、あくまで南版は南版だなあと思う。


ポプラ文庫クラシック「怪盗ルパン全集シリーズ」刊行予定

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