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2011/08/16

ラ・メユレー駅 - カリオストロ伯爵夫人(13)

「カリオストロ伯爵夫人(13)」で、ラウールがジョゼフィーヌを助けたあと、ジョゼフィーヌの馬車はセーヌ川に向かって進む。

セーヌ川が近くなると、コードベックに下る岸で左に曲がり、サン=ヴァンドリーユの谷を望む丘を抜けて、有名な僧院の廃墟の脇を小川に沿って進み、セーヌ川が見えたところでルーアンにむかう街道に入った。
ほどなく馬車は止まり、セーヌ川を見晴らす小さな森のはずれに二人が降りると、レオナールはそのまま馬車で走り去った。風にそよぐ葦の草地が、セーヌ川と二人を隔てている。
ジョゼフィーヌ・バルサモはラウールに手を差し出し、こう言った。
「ここでお別れよ、ラウール。少し先に、ラ・マユレの駅があるわ」(ハヤカワ文庫「カリオストロ伯爵夫人」P130)

ここでラ・メユレー(ラ・マユレ)駅というのが出てくる。先に一度、ジョゼフィーヌはラウールを駅に誘っている。

「だったら、ドゥドヴィルの駅はすぐそこです。汽車があなたを待っているわ」(ハヤカワ文庫「カリオストロ伯爵夫人」P115)

しかしラウールは別れなかった。そして二度目は…。


ドゥードヴィルに鉄道の駅があることは、現在の地図をみても分かる(ドゥードヴィルは「813(5)」に登場するドゥードヴィル兄弟と同じ綴り)。しかしラ・メユレーには鉄道がないので駅が出てくるのを不思議に思っていた。あるとき廃線となった路線があることが分かった。バランタン = コードベック=アン=コー線である。

Ligne Barentin - Caudebec-en-Caux - Wikipedia(フランス語)
http://fr.wikipedia.org/wiki/Ligne_Barentin_-_Caudebec-en-Caux

ウィキペディアの記事の右上の枠内にある総括部分に、「Schema de la ligne」という項目がある。「Schema de la ligne」の「[derouler]」をクリックすると、路線内の駅一覧が出てきて、「La Mailleraye-sur-Seine」がある。ウィキペディア様様。

ただし、注意が必要なのは、同じ名前を持つラ・メユレー=シュール=セーヌという村が、セーヌ川の対岸にあることである。
La Mailleraye-sur-Seine - Wikipedia(フランス語)
http://fr.wikipedia.org/wiki/La_Mailleraye-sur-Seine

右上か、右上の枠内に、地球マークを伴って座標軸が表示されている。そこをクリックすると、地図サイトへのリンクページが表示され、ジェオポルタイユなり、グーグルなりの地図で見ることができる。いやもうほんとにウィキペディア様様である。ついでにいうと、左の「Autres langues」に「日本語」があると仏和辞書にもなるので重宝している。

村はセーヌ川の左岸にあり、駅はセーヌ川の右岸にあった。詳しい場所は、下記にあげたサイトを見ると、サン・ワンドリーユのゴーヴィルあたりだったようである。ラ・メユレーには渡し場があり、渡し場を通る街道と、ルーアンとル・アーヴルを結ぶ大きな街道との交点に駅があったようだ。ラ・メユレー駅はラ・メユレーの渡し場への入口駅であることからそう名前が付いたのだろう。

LA LIGNE BARENTIN-CAUDEBEC(フランス語。路線図あり)
http://melao.free.fr/train.htm
Sauvetage de la voie ferree Barentin -- Caudebec-en-Caux:Cartes(フランス語。路線図あり)
http://barentin.caudebe.chez-alice.fr/page7.html
1882, ligne de Barentin a Caudebec en-Caux(フランス語)
http://memoire-de-gares.pagesperso-orange.fr/Barentin%20%E0%20Caudebec.htm
Route nationale 313 - Wikipedia(フランス語。ラ・メユレーを通る街道)
http://fr.wikipedia.org/wiki/Route_nationale_313


なお、ウィキペディアでは「La Mailleraye」だけど、ルパンシリーズの原文ではLa MaillerayeとLa Mailleraieの両方の綴りが使われている。ジェオポルタイユに収録されている参謀本部の地図では「la Mailleraie」、18世紀のカッシーニの地図では「la Mailleray」となっていて、綴りに揺れがある。

ラ・メユレーの渡し場は、「奇岩城(4)」に登場する。この時代はセーヌ川の下流、ルーアンから河口のル・アーヴルの間にあり、その間に橋が架かっておらず、渡し船がセーヌ川を横断の主な手段だった。「あらゆる交通網からはずれている」というのは、鉄道の駅や大きな街道から外れていることを指すのだろう。

ボートルレの仮説はこういうものだった。すなわち、あの自動車はたしかに四枚の油絵を持ち去ったのだが、コードベックへつく前に、その自動車は荷物をほかの自動車に、この第二の自動車がコードベックの川上か川下で、セーヌ川を渡ったのだ。川下だとすれば、最初の渡場はキユブーフだが、ここは交通がはげしく、したがって危険である。川上だとすれば、ラ・メユレーの渡場があるが、これはあらゆる交通網からはずれた、孤立した村だった。(岩波少年文庫「奇岩城」P99)

ほかに「映画の啓示(12-4)」の英語版で主人公たちがセーヌ川を渡った場所として出てくる。

They drove through the forest, crossed the Seine at La Mailleraie and struck into the Havre-Rouen road.
(彼らは森を車で走り抜け、ラ・メユレーでセーヌ川を渡り、ル・アーヴル=ルーアン街道に入った。)


コー地方とセーヌ川(その2)
コー地方とセーヌ川(その3)
活動俳優の恋(英語版「八点鐘」)
フランスの鉄道に関するメモ

□2011/08/24
地図でみて、川の左側にラ・メユレーの村がある。ラ・メユレーの村から、川を渡って左上に伸びている街道のつきあたりT字路になっているあたりにゴーヴィルがある。
La Mailleraye-sur-Seine, Gauville - Geoportail(外部リンク)

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