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2011/04/02

活動俳優の恋(英語版「八点鐘」) - 映画の啓示(12-4)

英語版「八点鐘」がフランス語版の違いに気がついたのは「映画の啓示(12-4)」からである。最後、事件があったブロトンヌの森から去っていく道筋が違うのだ。原文はセーヌ川を渡っていないけれど、英語版はラ・メユレーでセーヌ川を渡っている。それだけはかろうじて分かったが、英語が読めないのでどうしたものかと思っていたところ、英訳からの邦訳があることを知った。博文館から出版された田中早苗訳である。題は「活動俳優の恋」となっている。

フランス語版ではローズ=アンドレはオルタンスの異母妹だが、英語版では、オルタンスのピアノ教師だった女性の娘である。映画を見て懸念を抱いたというだけでは行動するに足りないかもしれないが、知人の娘を妹に替えることで、フランス語版ではオルタンスにより強い動機が加わり、悲喜劇性が増している。


ローズ=アンドレの別荘も、ウール県ではなくセーヌ=アンフェリウール県(セーヌ=マリティーム県の旧称)にある。

セーヌ・アンフェリウル県に小さな別荘を所有もっているので、(博文館「八点鐘」P126)

フランス語版ではウール県(ユール県)。

「(略)僕はローズ=アンドレの消息を聞き合せてみました。お妹さんは夏のあいだは旅行していられたそうですが、その後ユール県所在の別荘で半月ほどすごされたそうです。(略)」(新潮文庫「八点鐘」P164)

セーヌ・アンフェリウール県と、ウール県は、セーヌ川を挟むようにして隣あっている。ダルブレークが潜伏しているのは原文・英訳共にウール県・ブロトンヌの森だから、次のようなセリフが生じている。

「ここはもうセーヌ・アンフェリウル県ですよ。セーヌ河を隔てて、左はブロトーヌの森、右はセーヌ・アンフェリウル県、地図を見てもわかることだ。それだのに僕は河一つのために今いった二つの地点を結びつけることができなかった。僅か百五十ヤードの水だけれど、こうなると、数まいるの地面よりも有効な障碍ですね。」(博文館「八点鐘」P143)


ラ・メユレーでセーヌ川を渡った箇所は次のように書かれている。

自動車はブロトーヌの森を抜けて、ラ・メイユレエの鉄橋をわたり、やがてアーヴル・ルーアン街道へ入って行った。(博文館「八点鐘」P157)

鉄橋というのは日本語訳の際に補われている言葉で、ラ・メユレーには今も橋はない。一行は車とともに船に乗って渡ったのだろう。

They drove through the forest, crossed the Seine at La Mailleraie and struck into the Havre-Rouen road. (彼らは森を車で走り抜け、ラ・メユレーでセーヌ川を渡り、ル・アーヴル=ルーアン街道に入った。)


ほかの作品でも違いがあるが、この「活動俳優の恋」がもっとも異なっている。

もう一つの「八点鐘(12)」(英語版「八点鐘」)

□2011/04/21 最終更新

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