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2010/03/20

偕成社「アルセーヌ=ルパン全集」を読もう

偕成社の「アルセーヌ=ルパン全集」は全25巻別巻5巻の合計30巻です。収録作品は、偕成社:アルセーヌ=ルパン全集邦訳一覧にまとめているので、そちらを参照ください。

私がこの全集に初めてふれたのは中学校の図書室ですが、目下のところアルセーヌ・ルパンシリーズの全容をつかむのにもっとも適した全集といえるでしょう。それでも、よいところともうひとつ頑張ってほしところがあるわけです。

いいところ
・ほぼすべての作品が網羅されている。
  これだけの数がそろっているのは偕成社のこの全集だけです。文庫ではシリーズすべてが読めないので貴重です。
・順番に読める。
  作品の並びが発表順になっています。ルパンシリーズは発表順に読む方がよいので理想の順番です。
・装丁が統一されている。
  装丁、フォントを含めてこの全集がいちばん好きです。

もう一声!なところ
・ハードカバー
  それほど重くないとはいえ、持ち歩くのには文庫ほどの機動力はありません。この全集から偕成社文庫(小ぶりのソフトカバー)で8冊が再版されていますのでそちらを読むという手もあります。
・未収録の作品もある
  ルパンシリーズには未発表の作品もあるので仕方がないですね。
・ルパンシリーズではないものも本編に入っている
  なぜ?
・店頭で探しにくい
  大手の書店には置いてあることもあるのだけれど、たいていは注文することになります。


幸いにも2000年以降に増刷されたので、ほとんどの本が入手できます(2010年3月現在)。ハードカバーで発行が古いため、一度、書店で注文したとき、古い本だから在庫があるかどうかわからないですよ、と言われたことがありますが、しっかり入手できました。また、公共図書館でも相互貸借のシステムを導入していればほぼ確実に読めると思います。

翻訳の質については確実なことは言えませんが、通常の翻訳と変わらないと言えると思います。ルパンシリーズのほかの翻訳と比べても遜色がありませんし、比較的最近の翻訳なので、理解しやすいです。この全集は分類上は児童書ですが、偕成社が児童書専門の出版社であり、子供でも読めるよう漢字を開いたりしているだけで、文章は大人向けと変わりません。また、フランス語の原文は、改訂などにより数種類のテキストがあって、偕成社が採用しているのは比較的省略の少ないテキストのようですので、その点でも、良い翻訳だと思います。

なお、翻訳にもいろいろあって、極端にいうと、原文をそのまま直訳する翻訳と、読みやすさを尊重する翻訳があると思います。光文社新訳古典文庫は後者ですね。たとえば「八十日間世界一周」のあとがきに翻訳の方針がいろいろと書かれていますが(方針をきっちり書いてくれるのは本当にありがたい)、それを見ると、翻訳の体裁を整えたり、工夫をこらしているようです。確かに読みやすかったのですが、読みやすいというのは必ずしも原文に忠実とは言えないわけです。(翻ってみると偕成社版はとても忠実な翻訳と言えます。)


さて、この記事は紹介とともに、自分の当面の目標でもあります。シリーズ自体は文庫を中心に読み返しましたが、学生の頃、この全集を読破したいと思っていたことを思い出したので達成してみたいと思っています。あと半分。

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アルセーヌ・ルパン」カテゴリの記事

コメント

偕成社の全集は日本語訳のルパン・シリーズを読むためには、
とてもよい全集ですよね(^一^)
以前、ホームページを作製するためにざっと読んでみたことがありますが、
じっくりと“読みこなした”ことはなかったので、この全集の読破は
わたしにとってもいずれ、やるべき課題(?)のように思っています(^∇^)

じつは今年に入ってから《Je sais tout》に掲載された初出原文をもとにして、
あらためてルパン・シリーズを最初から読んでみているのですが、
(現在、5作目の《Le collier de la reine》に挑戦中!)
ハヤカワ文庫の新訳と偕成社の翻訳とをくらべてみても、
わたし的にはやっぱり、偕成社のほうがいいのではないかなぁ?
なんて思っています(^^;)

もちろん、新訳の平岡敦氏の翻訳も読みやすくていい訳なのですが、
Ko-Akira さんもおっしゃるとおりに、
「読みやすいというのは必ずしも原文に忠実とは言えない」
ように思いました。。

おそらく、ハヤカワ文庫の翻訳も当初の予定どおりに
毎年2冊ずつ本がでていれば、偕成社の全集を越える
翻訳書にもなりえたのでは? と個人的には思っていますが、
いつまでたっても、一般向けの全集本が出版されないのは、
とても残念なことだなあ・・・なんて思っています(^^;)

わたしも来年のルブラン没後70年に向けて、
ホームページでのルブランの小説の“翻訳”を
公開していきたいな、と日々、仏文学習につとめております。

Ko-Akira さんも、これからもルパンの研究を少しずつ進めていって、
また興味深いお話をブログに紹介していってください(^一^)

「ジュ・セ・トゥ」に挑戦しておられるのですね。すばらしいです。いつかその成果を形にされることを、楽しみにしています。

入手できる翻訳はいろいろ読んだのですが、偕成社版には児童書という枕詞は必要ないと思いました。待たれるのは一般書の全集というよりも、文庫など手軽な形で読める全集ですよね。ハヤカワ文庫が中途で終わっているのは本当に残念です。ハヤカワ文庫版でクリアになった部分も多いですし、通して読むことで見えてくることも大きいですから。

これはあくまで私の印象なのですが、偕成社版や岩波少年文庫よりハヤカワ文庫のほうが「子どもでも読める」ということを意識しているのではないかと感じます。ハヤカワ文庫は日本語の文章として通りのよいよう心がけていらっしゃて、読みやすくて面白いと思います。でも、フランス語と日本語の隔たりは大きいですし、ルブランが直截的な表現を好まない場面なども合って、直接の意味を捉えただけでは捉えきれない物が原作にはあるのではないかなあと思うのです。

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