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2009/12/13

ソロモン王の裁き(その1) - ジャン=ルイの場合(12-5)

※以下の文章は「ジャン=ルイの場合(12-5)」の内容に触れています。※


子供が一人に母親が二人。それを聞いて大岡政談を思い出す、もしくはソロモン王の逸話を思い出す人がいるかもしれない。それらの話では片方の母親は自分が産んだ子供ではないことを知っていた。母親なら自分が産んだ子供かどうか分からないはずはないからだ。しかし、それが起きてしまったというのがこの「ジャン=ルイの場合」だ。

実は私は「八点鐘」を読む(再読する)前に、ある漫画を読んでいたために、元ネタはこれだったか、と驚きがちょっと減ってしまった。その漫画とは横溝正史の「半分鶴之助」を漫画にした物だった。もう一つ、「八点鐘」の後に読んだ小説で同じシチュエーションのものがあった。モーリス・ルヴェルの「二人の母親」という作品。「ジャン=ルイの場合」と併せて読むとそれぞれ系統が違っていて面白い。レッテルを貼るとすれば、喜劇、人情劇、悲劇となるだろうか。

「ジャン=ルイ」の場合は、出産のため医師の館に身を寄せていた二人の母親が、医師も下男下女も不在の中、看護婦一人の立ち会いの元に同時に出産する。事件を解決するために、出産に立ち会った看護婦が真相を述べるのだが…という話。

「半分鶴之助」は、舞台は江戸。吉原の火事から避難する途中、ごったがえした船の中で出産するが、出産に立ち会った下女はどちらの子供か分からないという。そのうちに鶴之助が姿を消して…という話。真相の部分には「ジャン=ルイの場合」で出た話が使われているし、端々に影響が見て取れる。

「二人の母親」には真相というものは存在せず、母親の愛と悲哀を描いている。第一次世界大戦中のパリで、同じ産室で生まれた子供の一人と助産師が、砲弾の破片を浴びて亡くなってしまうというもの。淡々としてみえる語り口に、実際にそういうことがあったのだろうかという凄みがある。

作品ジャン=ルイ鶴之助二人の母親
子供の年齢27歳16歳4歳
状況医師不在で看護婦一人の医師の館大火事から避難する人々で混雑した船の中戦争で砲火を浴びた産院

この子供の年齢の違いも、各作品の色を変える要因となっているだろう。ジャン=ルイはもう母親の庇護を必要としないのである。


次→ソロモン王の裁き(その2)

※以上の文章は「ジャン=ルイの場合(12-5)」の内容に触れています。※

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