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2009/10/04

「奇岩城」翻訳放談

※以下の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※


タイトルどおり。

講談社文庫リライト版より。

 この岩の塔は--針のようにとがったこの奇怪ないわおの城は、中が空洞になっているのだ。そうでなければ、中から人の存在を伝える煙が立ちのぼることなど、ありえないではないか。これぞまさしく、エギュイユ・クルーズ(空洞の針)だ。
 この《奇巌城》こそ、ぼくが捜し求めた《エギュイユ・クルーズ》に違いない!
(講談社文庫「奇巌城」P249)

正直言って意味が分からない。「岩の塔」と「巌の城」とは同じものなのだろうか。巌であり城ということが十分描かれていれば別だが、そういう描写がない。奇巌城とは奇怪な巌の城なのだろうか。それに“いわお”というのは日常使わない言葉(詩語とでもいおうか)で、普通の言葉のように扱うことができるのだろうか。子供向けならなおさらだ(手元にある他の本では“いは<いわ>”はあっても“いわお”は見つからず)。

それ以外も相当変だ。人の存在を伝える煙……狼煙? 「人の存在を伝える煙」なのか「人の存在を伝える“煙というもの”」なのか。人の存在と煙はそうまで結びつくものなのか(原作では「煙」がどういうものなのか説明はない。火に由来するものかも知れないし、熱に由来するものかも知れないし、何かの排気なのかもしれない)。しかも見かけはただの岩なのに。


そもそも「奇巌城」はどこから来たのか。疑問に思って新学社文庫を読んでみたのだが、同様に悩む羽目になってしまった。一部の邦訳でも“奇巌城”が使われているが、唐突で、作中に“奇巌城”という言葉を使うのは無理がある。使うのであれば、エギーユ・クルーズとは何か、空洞の針とは何か、奇巌城とは何かしっかり定義しておかないとと急拵えの三題噺のようなものになってしまう。講談社版はまさにそれだ。なお、児童書に分類されているポプラ社文庫や偕成社アルセーヌ=ルパン全集では出てこない。


※以上の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※

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