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2008/10/21

柴田錬三郎「怪人黒マント」

※柴田錬三郎「怪人黒マント」とルパンシリーズ「金三角(9)」の内容に触れています。※


偕成社、1950年6月

主人公の少年は、両親を亡くし日本少年団という施設で過ごしている、ある日、隣の屋敷に住む少女が誘拐されそうだと聞きつけ、待ち伏せて救う。少女もまた両親を亡くし、愛情のない男に引き取られているのだった。という話から始まるのだけど、実は「金三角(9)」の翻案。

二人とも同じ紫水晶の珠数を持っていたり、少女と一緒に住む男性が金貨のありかを白状するよう脅されたり(ストーブで足裏を焼かれる)、挙句その男が亡くなったりと、ストーリーの流れはほぼ原作のまま。ルパンの代わりに登場するのは「日本ルパン」こと東京紳士。


 東京紳士!
 この奇妙な名前の人物は、最近でこそ、新聞に書きたてられるような活躍をしませんが、昨年あたりは、十日にいっぺんぐらいの割で、「日本ルパン」だ、と新聞でさわぎたてられたものです。
 東京紳士は、日本ルパンといわれるように、探偵ではありません。探偵どころか、盗賊もやるのです。たとえば、ある大会社の社長が、さんざん悪事を犯して巨額の財産をつくっていると、東京紳士は、あらかじめ、何月何日何時に参上すると警告を発しておいて、いかなる警戒網をも突破してのりこんでゆき、金を奪って、しかも、その金を、貧しい人びとにばらまいてやる、といった調子で、胸のすくような活躍をするのでした。(P90)

 盗賊にして名探偵! 善良な市民たちの力強い味方! 現代の英雄「日本ルパン」東京紳士!(P170)


東京を舞台として少年少女の話に変えているので設定は変わっている。「金三角」は「金貨の丘」、名前については原作を流用することが出来ないので、幸夫兄さんと可奈子ということにして、兄-娘、妹-息子とクロスさせている。金貨の出所が国民政府軍と共産党軍との衝突があった南京であるあたり時代を思わせる。


東京紳士が活躍する作品は複数書かれていて、同時に借りた「スパイ第十三号」もそのひとつ。こちらはルパンシリーズとは関係なくて、原子爆弾の爆発をふせぐ新化学薬をめぐり、新科学薬の発明者の息子を守る東京紳士と助手の少年が、マダム・十三号が率いるスパイ団とゴリラ男率いるスパイ団と3つ巴の争奪戦を繰り広げる。戦闘機を操縦したり、猛虎と対峙したりとすごい活躍ぶり。

山本周五郎氏の「猫眼石殺人事件」(山本周五郎探偵小説全集2『シャーロック・ホームズ異聞』末國善己編、作品社、2007年)を読んで調べているうち、他にも「日本ルパン」ものがあるらしいというので借りてみたのだけど、「本人」に出くわすとはおっかしいなあ(笑) 借りられるうちから、一番古いものと新しいものを選んだのだけど、どうやら正解だったようだ。おそらく2作目以降独自のストーリーとキャラクターになっていったのだと思う。

ちなみに、「スパイ第十三号」で東京紳士は華麗に英語でやりとり(文章は日本語)しているが、東京紳士は英語ではトーキョー・マンというらしい。


●東京紳士ものリスト
□単行本
『怪人黒マント』偕成社、昭和25年6月
『妖魔の黄金塔』ポプラ社、昭和29年4月
『三面怪奇塔』偕成社、昭和29年6月…「少女サロン」昭和27年9月号-28年12月号
『黒衣の怪人』ポプラ社、昭和29年10月
『スパイ第13号』偕成社、昭和30年3月…「中学生の友」昭和29年1月号-12月号
こののち、偕成社の「ジュニア探偵小説」シリーズに『怪盗紳士』『スパイ13号』『三面怪奇塔』が収録されている。『スパイ13号』は『スパイ第13号』の改題、『怪盗紳士』は『怪人黒マント』の改題。

□雑誌掲載のみ
「赤い悪魔」…「中学生の友」昭和30年1月号
※この作品は「赤い怪盗」と言う題で、ホームズものに改作された(柴田錬三郎ほか著、北原尚彦編『日本版シャーロック・ホームズの災難』論創社、2007年)
「太陽はのぼる」…「小学六年生」昭和31年4月号-12月号

□参考文献・参考Web
・『柴田錬三郎選集 第18巻』所収「著作年譜」、集英社
・少年探偵小説・作家別リスト:さ行~た行
http://www2s.biglobe.ne.jp/~s-narita/new/shonen-sa-ta.htm


※柴田錬三郎「怪人黒マント」とルパンシリーズ「金三角(9)」の内容に触れています。※

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