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2008/09/17

上田敏のルブラン言及

アルセーヌ・ルパンの名前を最初に紹介したのは上田敏であるということがしばしば言われるが、その内容について知ることが出来た。

「新青年」1935年3月号に木村毅「ルパン伝来録」(大衆小説随講第3回)という随筆が載っている(『「新青年」復刻版』昭和10年(第16巻)合本2、本の友社、1992年)。ここに、ルパンの名を日本に紹介した人として上田敏が挙げられており、「飛行機と文芸」と題する論文からの引用がある。

次のページによると「飛行機と文芸」の発表は1913年であるという。この時期には三津木春影の「大宝窟王」をはじめ複数の翻案作品が出版されており、翻訳よりは遅れをとっている。しかし、これらは名前を日本語風に改めたものであって、原語をそのまま音写したものとしてはもっとも早い時期のものといえるかもしれない。
上田敏 評論・その他 2-2(発表年順)
http://uraaozora.jpn.org/uedaessay2.html
「定本 上田敏全集 第7巻」編注によると、『大阪朝日新聞』大正2年11月30日、12月1日、2日、3日。


「飛行機と文芸」は新学社・近代浪漫派文庫の「土井晩翠/上田敏」に収録されている。短文ながら知識や含蓄に富んで、鋭い分析を見せていて面白かった。タイトルどおりの話で、神話時代から、ダ・ヴィンチ、ヴェルヌ、ウェルズなども扱っている。
近代浪漫派文庫 収録作品・刊行月 新学社
http://www.sing.co.jp/info/book/roman3.html

曰く、

 仏人モリス・ルブランは近頃「アルセエヌ・リュパン」という近世式の義賊を主人公にした数種の小説を書いて非常に喝采を博した。たしかマアテルリンク夫人の兄に当る人だ。此人の作「そらはねが出来た」という小説にも、自転車、自動車、飛行機等を種に随分詳しい器械学の説明を解りよく、又美しく仕遂げている。(「定本 上田敏全集 第7巻」教育出版センター、1980年、P441-442。漢字と仮名遣いは現代のものに改めた。)


マアテルリンクはメーテルリンクのこと。「マアテルリンク」と題する上田の評論が明治39年3月に発表されている(明治大学講演会の演目)ので、その繋がりで名前を知ったのかもしれない。「そら翼が出来た」というのは「Voici des ailes」というルブランの作品(未邦訳。「これが翼だ」と同じ)で、自転車を礼賛した小説だと言われている。未読なので、自動車や飛行機が登場するか定かではない。

「マアテルリンク」は近代デジタルライブラリーで読める。
国立国会図書館 NDL-OPAC:文芸講話 上田敏著
http://opac.ndl.go.jp/recordid/000000502248/jpn


「ルパン伝来録」にはルパンシリーズの最初の邦訳についても触れられているが、覚束ない書きぶりで未確定の情報が多いので引用は差し控えておく。英訳事情については現物を所有しているようなので確かだろうと思う。最後にルパンものでない短編「赤錆びの鍵」が掲載されている(英訳からの重訳。作品自体は同誌昭和2年夏期増刊号に「赤い鍵」という題で翻訳されている)。(以上敬称略)

□2008/09/26更新

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