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2008/04/17

怪盗紳士という称号(その3) - その登場

※以下の文章は前半期の作品を中心にルパンシリーズの内容に触れています。※


この肩書きはいつから登場したか。最初に挙げた6つの用例のうち、最も登場が早いのは「ハートの7(1-6)」(「ジュ・セ・トゥ」1907年5月号)である。「ハートの7(1-6)」が掲載された翌月号に最初の単行本“紳士強盗アルセーヌ・ルパン”の広告が掲載され、実際に発売されている。「アルセーヌ・ルパンの逮捕(1-1)」の“紳士強盗アルセーヌ・ルパン”という言葉は、単行本化の際に書き加えられたものである。「ハートの7(1-6)」の掲載は単行本発売に連動した企画でもあったのだろう。
雑誌「ジュ・セ・トゥ」目録

ルパンシリーズは長期にわたって書かれているため、何度か設定の見直しが行われているが、その中で一番初めで大きなものが、この紳士強盗の肩書きだろう。そしてアルセーヌ・ルパンのイメージが決定付けられたと思う。

私は金のために盗むのではない、紳士強盗だと嘯くことが出来た理由もこの頃思いついたのではないかと思っている。やはり金である。十分に稼いだとするのもいいが、趣味だと豪語できる収入源を別に持っていたとするなら…すなわち「奇岩城(4)」や「カリオストロ伯爵夫人(13)」で語られるものがそれである。すでに雑誌では「奇岩城(4)」のタイトルが発表されている。当初からルパンものにする予定だったかは不明だが、ルパンに紳士強盗の肩書きを付けた時には、レギーユ・クルーズの謎とルパンとを結びつける構想を持っていたと考える。


なお、アルセーヌ・ルパンの名前は最初から紳士強盗(gentleman-cambrioleur)と結びついていたわけではない。最初の肩書きは「金髪婦人(2-1)」の貴族強盗(gentilhomme-cambrioleur)である(「ジュ・セ・トゥ」1907年4月号)。翻訳で対応するのはこの箇所。

まるで記念碑に書きこむような次の文章を書き込んだ。
  二十世紀のはじめ、五年間、ここに怪盗紳士アルセーヌ・ルパン居住せり。
(岩波少年文庫「ルパン対ホームズ」P238/金髪婦人(2-1))

英語のgentlemanはフランス語のgentilhommeの派生語なので、両者は一部において似た意味を持つ。この貴族強盗(gentilhomme-cambrioleur)も紳士強盗とほぼ同じ意味だろう。(gentleman-farmerのフランス語形gentilhomme-fermierで豪農の意味がある)


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次→怪盗紳士という称号(その4) - 対義語あるいは類義語

※以上の文章は前半期の作品を中心にルパンシリーズの内容に触れています。※

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