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2008/03/14

「鞍馬天狗」時代小説英雄列伝

大仏次郎著、縄田一男編、中公文庫、2002年

□目次
【鞍馬天狗】大佛次郎
 鬼面の老女
 黒い手型
 西国道中記

【翻訳】大佛次郎
 「夜の恐怖」金扇

【随筆】大佛次郎
 鞍馬天狗と三十年

【解説】縄田一男
「行動する思索者」鞍馬天狗
大佛次郎年譜

□感想
掲載されている小説は、「鞍馬天狗」シリーズの処女作と歳晩期の作品(ラストから3番目、2番目)である。書かれた年代が30年強開いているので、「鞍馬天狗」の位置づけも異なるし、文体も大きく違う。「鬼面の老女」の文章はなかなか面白い。当時の教養が為せる業と言うか、今の時代こういう文体を書ける人はなかなかいないだろうから。

「鬼面の老女」は今回のTV時代劇「鞍馬天狗」の第1回の原作で、小野宗房と鞍馬天狗は原作では別人なのだけれど、TV版は同一人物である。この作品には元ネタがある。ジョージ・ウーリー・ゴフ(Gough, George Wooley)の「夜の恐怖(Terror by Night)」中の一編「金扇」という作品。すなわち、翻訳として収められている作品である。読み比べてみると、確かに換骨奪胎したものといえる。そこに、京都と言う土地柄や時代性、小野宗房という性根のまっすぐな青年や若人の恋の芽生えが散りばめられていて面白かった。「黒い手型」はスタンダードな探偵小説とも言える内容で、同種の趣向をどこかで見たり読んだりした気分になってしまった。「角兵衛獅子」の西郷吉之助は知っていたけれど、「西国道中記」の勝安房は知らなかったので、気づいたときは嬉しかった。


「鞍馬天狗と三十年」という随筆では、鞍馬天狗という自ら生み出したキャラクターを、時に疎ましく思ったり、好ましく思いながら付き合い続けたことや、書くスタンスの変化など、一人歩きしていくキャラクターと付き合うことの苦労について語らていて、ついルパンの生みの親に思いを馳せてしまう。

第1作の構想は「夜の恐怖」だとしても、鞍馬天狗はどこから生まれてきたのか。この随筆ではそのモデルについて語られていない。以下のページに拠れば「あれは『アイヴァンホー』の黒騎士と、ダルタニアンを混ぜたものだ」ということを言ったことがあるらしい。
日本推理作家協会
http://www.mystery.or.jp/kaiho/0301/rohei.html

とすると、アルセエヌ・ルパンとダルタニヤンの名が随筆に出てくるのは全くの無縁ではないと言うことかも。シトロエンを飛ばすというのはルパンのことか。シトロエン社は第1次世界大戦後に設立した会社なので、そのころのルパンならば乗っていてもおかしくはない。(シトロエンを飛ばすというと、もちろん高速でかっ飛ばす意だけど、映画「ファントマ 電光石火」でシトロエンが本当に飛んでいたことを思い出してつい楽しくなった。
シトロエン - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%88%E3%83%AD%E3%82%A8%E3%83%B3


縄田氏による解説も読み応えがあった。鞍馬天狗の作品リストもあり。

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