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2007/05/20

モーパッサンとエトルタ

ギ・ド・モーパッサン(1850-1893)はノルマンディー地方の出身で、幼少時からエトルタにに何度も滞在し、後年ギェット館という別荘を建てている、エトルタに縁の深い作家である。その作品の中には、故郷ノルマンディーを舞台とするものも多いが、エトルタが登場する作品も何作か書いている。

長編小説「女の一生」では、主人公のジャンヌがエトルタの東、イポールの近くのレ・プープルという地所に住んでおり、エトルタに船に乗って出かけるシーンがある。

モーパッサン「女の一生」新庄嘉章訳、新潮文庫
フランス語の原文は以下のページから。アクサンは省いた。
Une Vie
http://maupassant.free.fr/unevie/unevie.htm
http://maupassant.free.fr/unevie/3.htm

また、はるか前の方には、異様な形をした、丸い、そしてぽっかり穴のあいた岩が、波の中に鼻をつっこんだ巨象よろしくの姿をしていた。それはエトルタの小門だった。(3章P45)

La-bas, en arriere, des voiles brunes sortaient de la jetee blanche de Fecamp, et la-bas, en avant, une roche d'une forme etrange, arrondie et percee a jour, avait a peu pres la figure d'un elephant enorme enfoncant sa trompe dans les flots. C'etait la petite porte d'Etretat.

エトルタの小門とはアヴァルの門のことだろう。モーパッサンがアヴァルの門のことを象にたとえた例は他にもあるので。遠目から見ているので小さな門にみえる。


と、突然、エトルタの大弓門が目の前に見えてきた。ちょうど、海のなかに踏み出した断崖の二本の脚といった格好で、船通れるくらいの高さの迫持になっていた。そして尖塔のように先のとがった白い岩が第一の弓門の前に立っていた。(P46)

Et soudain on decouvrit les grandes arcades d'Etretat, pareilles a deux jambes de la falaise marchant dans la mer, hautes a servir d'arche a des navires; tandis qu'une aiguille de roche blanche et pointue se dressait devant la premiere.

エトルタに近づいたため大きな門に変わった。複数形なのでアヴァルの門とアモンの門を指し、大きさからアヴァルを第一の門としているのだろう。その傍らにエギーユもある。文脈どおり訳すなら、「白くて先のとがった岩のエギーユ」か。


だが男爵は徒歩で「お姫さまの部屋」という、断崖のてっぺんにぶらさがっている洞窟を見物に行っていた。(P50)

Ils revinrent; mais le baron etait parti a pied jusqu'a la Chambre-aux-Demoiselles, grotte suspendue dans une crete de falaise; et ils l'attendirent a l'auberge.

なんと「令嬢たちの部屋」も登場している。まさに観光名所だったわけ。原文ではChambre-des-Demoisellesではなく、Chambre-aux-Demoisellesと書かれている。desもauxも「~の」という意味。


モーパッサンは、クロード・モネとこの地で何度か顔をあわせていたようだ。モネの表現が面白い。(避暑地として賑わっていたエトルタから一気に人がいなくなった様子を表したもので、さすがにネコも人もいるだろうけど。)

美しい夕日と断崖~フランスの小さな旅へ(1) - 海外に住もう!★Paris.Seoul.Ghana.Dubai......and World.... - 楽天ブログ(Blog)
http://plaza.rakuten.co.jp/malangmalang/diary/20051017

秋になって静けさを取り戻した海岸で制作を続けた
モネの1885年の手紙には

「エトルタにはネコ一匹いない。
ただモーパッサンを除いては。昨日彼を見かけた・・・。」と・・・


翌年、モーパッサンは、

「モネは対象を前に、待ち、陽光と影を見つめ、
落ちてゆく光や通過する雲を何筆かでとらえ・・・
すばやくキャンバスの上に置いていった。
私は、彼がそうやって白い断崖の上の
きらめく光が落ちてゆくさまを掴み取り、
この目の眩む光の効果を、
奇妙な踊るべき黄色のトーンに定着してゆくのを見た・・。」


L'evocation des villes normandes(仏語)
http://www.ifrance.com/vincentb/Litterature/GuydeMaupassant/Villes.html
モーパッサンについては以下のサイトが参考になる。モーパッサンの書いたレギーユのスケッチや原文掲載サイトへのリンクもあり。
モーパッサンを巡って
http://www.litterature.jp/maupassant/


□2010/12/24
文面が分かった。
Monet-Maupassant, Etretat - 1885 : ces Horribles travailleurs du reel - Cairn.info(フランス語)
http://www.cairn.info/revue-d-histoire-litteraire-de-la-france-2003-1-page-93.htm

≪ je vais etre enfin seul a partir de dimanche, le susdit Michel part, le temps l’epouvante, ce sera un bien pour moi et je suis certain que je profiterai mieux de mon temps, car il n’est pas piocheur comme moi. Du reste il n’y a plus un chat a Etretat, sauf Maupassant que j’ai vu hier au cafe, il vient d’etre huit jours au lit, du reste il a une fichue sante ≫.

佐々木三雄・綾子/文、山口高志/写真「モネの風景紀行」

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