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2007/05/06

「奇岩城」探求(附録2) - 誘拐のルート

※以下の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※


「奇岩城」探求(附録1)の続き。ポプラ社版には半分架空の地名が登場すると書いたけれど、他にも実在のフランスとは異なる地理が描かれている。ボートルレがシャトールーで得た目撃証言は次のとおり。

「一台の自動車が軍港町のほうから来て、あの森かげでとまっていると、十時ごろ、一台の馬車がやってきて、自動車からひとりの男を乗りうつらせていきましたよ。」(ポプラ社文庫版P122)

「軍港町」というのはシェルブールのことである。けれど、原作に拠ればシェルブールとシャトールーの距離は「500キロ近く」ある。これは東京大阪間より遠い。その距離でシェルブール方面から来たと言うはずがない。


2地点がどれくらい離れているかと地図を見てみると、実際かなり離れているのだけど、次のことが分かる。このあたりの地方は、街から街道が放射線状に伸び、その一つが別の街につながり、その街から放射線状に伸びた街道がまた別の街につながり、という形で街と街道が発展している。そして目に付くのが、ル・マンやトゥールという街。

そして気づいた。シェルブール駅の女性職員のセリフ、「ル・マン、トゥール経由で?」これは読者へのヒントだ(ただし原文テキストでも省略されている版がある)。シェルブールからシャトールへ行くにはかつては直線ルートのシェルブール=ル・マン=トゥール=シャトールーだった。でも今は鉄道があり、パリに吸い寄せられ各地へ一気に押し出される。鉄道ならダイヤによってはシェルブール=パリ=シャトールーのほうが早い。けれど、車なら直線ルートのほうが早いわけである。


原作では聞き込みの結果トゥール街道から来た車の存在を割り出している。

その日の午後、たしかな証言によって、一昨日一台のリムジンが、トゥール街道を走り、ビュザンセ村を、つづいてシャトールーも通りぬけ、街を出たところの、森のはずれでとまった、ということを知った。(岩波P190)

シェルブールから急いできたのなら、十中八九ル・マン、トゥールを通るに違いない。だからこの車がルパンの部下のものであると目星をつけた。ビュザンセはトゥールとシャトールーの間、シャトールーに近いところにある村である。つまりルパンの部下は、シェルブール=ヴァローニュ=ル・マン=トゥール=ビュザンセ=シャトールーという経路をとったに違いないのだ。

フランスの地理を知らないと架空だろうと実在だろうと関係なくて、直接シェルブールから来たとするほうが分かりやすいのは当然だけど、実際の地図と照応することができないし、適切な解説を加えればいいだけで、地理を歪める必要はないと思う。


前→「奇岩城」探求(附録1) - 県の名前
次→「奇岩城」探求(附録3) - 塀の高さ

※以上の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※

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