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2006/09/25

雑誌「マガジンSPECIAL」2006年11号に「鉄人奪還作戦」登場予定

「鉄人奪還作戦」原作/横山光輝、漫画/さとうふみや
「鉄人28号」を元にしている漫画です。2006年5号に第1回が掲載されましたが、その続きがようやく掲載されます。2号連続で登場で、11号は表紙&センターカラーで63Pだそうです。

マガメガ:マガジンSPECIAL
http://www.shonenmagazine.com/php/magazine.php?sbt=2


11号の発売日は発売日は2006年10月20日前後。


□2006/09/29
雑誌を確認しました。11月号の発売は10月20日(金)。

2006/09/21

「花とゆめ」2006年20号 スキップ・ビート!感想

著者:仲村佳樹

今回モノローグが多いなー。蓮の分と尚と分があるからややこしい。昔も今もキョーコにとって「特別」なのは尚だった。仕事もキャリアも違うのに、偶然が二人を巡り合わせる。そんな運命ぶち破ってやると、あわや告白という寸前に割り込む蓮。蓮も尚も互いがライバルだとはっきり認識したようだ。

恭しくキョーコを助けた礼を言って、二人離すためにキョーコを朝食に誘う。っていうか前回食べたばっかなんですけどね。結果胃袋の限界に達してうげろ~な状態で消化剤に頼る羽目に。社おにいさんは沖縄で消化剤のお世話になってたみたい。確かに蓮に食べろと言うけど、食に強そうじゃないな。

尚がオレを落とすチャンスを与えるのはおまえ(キョーコ)だけだ。と蓮に対して宣戦布告を叩きつけました! おー。蓮ももちろん宣戦布告と受け取ってる。(相変わらずキョーコは自分に対して喧嘩売ってきたと思ってるようだけど)

動きが、動きが欲しい、と思ったりして。軽井沢何日目なんだろう今。


次回21号はお休みで22号から再開。
「スキップ・ビート!」感想のバックナンバーはこちらから。

□2006/10/12追記
チェックを忘れてた。単行本14巻は10月19日発売予定。

2006/09/20

映画「UDON」

レイトショーがあるうちにと行ってきました。讃岐富士(飯野山)と池松くんを見に行こうな気持ちだったんだけど、讃岐富士を見に行こうは正解だった。始終映ってたから。升さんがユースケさんをノせるときに稜線をなぞるようにしてのがちょっとうれしくなった。きれいに撮ってましたね。

ご当地映画としてはよくできてた。やっぱ香川といえばマルナカと宮脇書店とこんぴらさんなんだなあと。長年暮らしたけど、ああいう製麺所タイプのうどん屋さんにいったことがなく、生醤油うどんやぶっかけタイプのうどんも食べたことがないので、どこか絵空事。だからブームに関してはああこういうものかと見ていた。うどんはおいしそう。でも頼むとしたら結局いつも同じもの、かけうどんタイプになるだろうなあ。


中身は肩の力を抜いて見れて、ハッピーエンドなのでいいと思う。あまり映画という感じはしなかったのは結構淡々と進んでいくからだろうか。だから途中で長く思ったけど。キャプテンUDONは無駄に金かけすぎ、とは思ったけどOKの範疇だった。

香助(ユースケ)はバラエティ演技なので、最初にああこういうものかと慣れたけれど、父親に和解の言葉を告げようとしたシーンは引っかかった。親父さんの最後のセリフはいらないと思う。表情だけで十分じゃないか。

恭子ちゃんは一応香川っ子という設定だったのか。担任の先生っていうセリフでまさか恭子ちゃんの小学校時代の先生のことだと気づかなかった。メガネはどこに消えた??

池松壮亮くんは高校生でうどん部部長の役だった。名刺読めなかったけど役名は水沢翔太。うどん部の面々はバイトしながらいつか名刺出してやろうと構えてたんだなーと思うとかわいい。池松くんの出番は多くなかったけど、鋭くて、お役立ちな役割で。この間まで小学生役だったのに大学生役までやっちゃたよ。


あまり方言指導はやらなかったみたいで、地元の人以外は普通にしゃべっている。だから妙な温度差があるといえばある。最初讃岐弁がぜんぜん出てこないから、疲れ果てた二人がソウルフード・うどんを発見するところで、おばちゃん讃岐弁だーとなんだか落ち着けた。香助の父と姉は台本に書かれたセリフ上は讃岐弁なんだろうけど、どこか違う。わざとらしくても嫌なのでこれでよかったかも。松本明子さんがしゃべっていた「~していた」(~して頂戴の意)というのは香川でも東の方言なので、自分にはなじみがない。西では「~してつか」となる(若い子は使わない)。

ロケーションは本当によかった。香助の家は映画のために作ったらしいけれど、よくできてる。ため池のそばで、風があるとあんなに水面が動くんだなあとびっくり。柱時計の音がしみじみ。香助の母の遺影は笠置シズ子さん。この方も香川出身で東京ブギウギの人ですね(美空ひばりじゃないよ)。


最後に……フジテレビの内輪ねたいらーん。


UDON - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/UDON

2006/09/18

「ファントマ映画祭2006」に行ってきた

ファントマ映画祭2006
http://www.fantomas.jp/

ABCの順で3回連続で見ました(9/17)。タイトルバックや冒頭で前作を振り返るシーンがあるから、やはりABCの順番で見たほうがいい。小さいのに2階席(内階段で上る)があるという変わった劇場だった。私はどこで見ても(1階でも)割合平気だった。トイレは前方カーテンの向こうにあるトイレを利用したほうがよいようです。カーテン手前のトイレはよろしくないです。上映の合間のときは本屋をチェックしがてらパルコまで行ってました。

売店で「ファントマ映画祭2006」今夏ロードショー予定で触れた1996年にフランスで発行された切手が! どおりで公式サイトで詳しく触れているわけですね(ルールタヴィーユに何かこだわりが?ルールタビーユが正しいけど)。心中小躍りして、ゲットしました。手に入る事はないんだろうなあと思っていたので嬉しい。ロカンボールとファントマだけ読めてない。「ミステリマガジン」でファントマ映画祭について紹介していたけど、ハヤカワ文庫のファントマ復刊はないだろうか…。


作品ごとの感想は後日書きますが面白かった。ファンドール役はジャン・マレー。ジャン・コクトーの書簡ではジャノと呼ばれてた。この映画の時点でマレーは50過ぎなのに…ルパンときたら50手前で泣き言言うんだから、と見てて思った。おじさんたちが活躍する映画です。

ファンドールの恋人エレーヌ役はミレーヌ・ドモンジョ。見た瞬間ドロンジョ様の名前はこの人から取ったの?と思ったけれど、そういう説もあるみたい。小原さんが吹替えを担当したことがあるらしい。ファントマを当てたかどうか知らないけど、たしかに小原さんが担当しそうな金髪美女ですね。ドロンジョ様はヤッターマンで、ヤットデタマンはミレンジョ姫(…縮めてるだけ?)。

ジューヴ警部役(コマセールと呼ばれていた)はルイ・ド・フュネス。彼が一気にこのシリーズをコメディ寄りにしてるような。


アンドレ・ユヌベル監督は、ジャン・ブリュース原作のスパイもの、OSS117号シリーズを映画化している。リオの嵐にはミレーヌ・ドモンジョも出演。その新作が東京国際映画祭に登場するらしい。
Secret Agent Station(“OSS117”“FX-18”シリーズ)
http://miwako-f.hp.infoseek.co.jp/spy/oss117.htm
第19回東京国際映画祭 コンペティション - OSS117 カイロ、スパイの巣窟
http://www.tiff-jp.net/ja/lineup/competition/cp005.html


IMDBをチェックしていたらピエール・スーヴェストルPierre Souvestreの名前が直ってる。数ヶ月前は間違っていた(Emile Souvestre)のに。こういうDBってLeblancもLe Blancだったりするから。日本のDBは訂正前だけど、徐々に直っていくのはいいことだ。
IMDB:Fantomas (1964)←正
ファントマ 危機脱出 -- キネマ旬報DB- Walkerplus.com←誤

Pierre Souvestre ピエル・スーヴェスター -- キネマ旬報DB- Walkerplus.com←誰??英語読み…
Emile Souvestre エミール・スーベストル -- キネマ旬報DB- Walkerplus.com←誤

ピエール・スーヴェストル(Pierre Souvestre) のプロフィール - allcinema ONLINE←正
エミール・スーベストル(Emille Souvestre) のプロフィール - allcinema ONLINE←誤

Maurice Leblanc モーリス・ルブラン -- キネマ旬報DB- Walkerplus.com←正
Maurice Le Blanc モーリス・ルブラン -- キネマ旬報DB- Walkerplus.com←誤


□2006/09/24追記
上で触れた切手について、オンラインショップで売っているところを見つけました。
フランス 推理小説のヒーローたち - 書籍・雑貨・デザイン切手 Petit Grand Publishing オンラインショップ
http://shop.petit.org/?pid=1897068

2006/09/17

大阪府立児童文学館デジタル・ミュージアムの「古城の秘密」紹介

「古城の秘密」は三津木春影が「813(5)」を翻案した作品で、固有名詞は日本風にアレンジされている。ルパンの名前は仙間龍賢(せんまりゅうけん)。「文章」ボタンをクリックすると、文章の一部が閲覧でき、その部分の朗読も聞ける。少々分かりにくいけれど、ジュヌビエーブを連れ去ったパーベリ少佐をルノルマンが追うシーン(だと思う)。

大阪府立児童文学館デジタル・ミュージアム
http://museum.iiclo.or.jp/
(武侠探偵小説)古城の秘密(ぶきょうたんていしょうせつ こじょうのひみつ)
http://museum.iiclo.or.jp/ref_sakuhin_dtl.php?SerialNo=0056


この「古城の秘密」は横溝正史が読んで探偵マニアになったのだと自身の著「探偵小説五十年」の冒頭「三津木春影のこと」の項に書いている。講談社オンデマンドブックスでサンプルを読むことができる。横溝氏は1902年生まれ、1912年出版なので出版後2年ほどたって入手したことになる。これには前篇のみしか入手できなかったとあるけれど、後篇は後年入手できたらしい。

講談社オンデマンドブックス
http://www.dotbook.jp/kd_ondemand/
作家別リスト→や→横溝正史「探偵小説五十年」→sample


□2007/04/17追記
ルパンに関する横溝氏のエッセイについては以下のページが詳しいようです。後編を読むことができたのは、中学3年のときだったらしいです。
横溝正史エンサイクロペディア・わが愛しのルパン -探偵小説マニア、誕生す-
http://homepage3.nifty.com/kakeya/ys_pedia/wanted/ys_wanted_lupin_love.html


□2011/09/29
児童文学館の資料は大阪府立中央図書館に引き継がれたようです。
子どもの本 いま・むかし|財団法人 大阪国際児童文学館デジタル・ミュージアム
http://www.justice.co.jp/museum/ref_index.php
子どもの本 いま・むかし|財団法人 大阪国際児童文学館デジタル・ミュージアム:(武侠探偵小説)古城の秘密
http://www.justice.co.jp/museum/ref_sakuhin_dtl.php?SerialNo=0056

「大宝窟王」(「奇岩城(4)」の翻訳)も蔵書に加わったようです。
大阪府立中央図書館 国際児童文学館 所蔵資料「探偵奇譚 大宝窟王」
http://www.library.pref.osaka.jp/central/jibunkan/oldbook_daihoukutsuoh.html

KOBE鉄人PROJECT特別展「三国志の世界」開催予定

6月に開催された「鉄人28号特別展」に続いて第2弾の特別展が開催されるようです。期間は2006年11月3日(金)~11月19日(日)。

KOBE鉄人PROJECT
http://www.kobe-tetsujin.com/


横山光輝氏といえば「三国志」ですね。昔2日間で読破しました。

2006/09/15

「奇岩城の大嘘」とは?(その4)

「奇岩城の大嘘」は非常に分かりやすく整理されて書かれているけれど、本当の意味で分かるようになった(ピンとくるようになった)の1年後ぐらいだったと思う。針のままじゃ何がいけないのか?と思ったけど、エギーユについて地図や写真を調べたり、奇岩城を精読したり、ルパンシリーズを通読したりして理解が深まってくると、「大嘘」の指摘はやはり重要だと思えた。私はフランス語が分からないので理解不足や誤解している点があるかもしれない。もし間違っているとすれば、それは私の無理解によるものなので、理解するためには、「大嘘」を読むのが一番だと思う。

三宅氏がいうように、英語以外の外国語に対して誤訳を指摘する声が少ないという事実は確かにある。言語習得の裾野も、翻訳される量も段違いだからなのだろう。原作を軽視されがちな(現にされている)この作品に対しての指摘は、一概に誤訳とも言い切れないものを敢えてしている面もあると思う。日本人が読んで分かりやすくするためや、原意を汲むために。三宅氏も個々の誤りを非難しているのではなく、作品の根幹を左右する相対的な判断を間違えていることが重大なのだとおっしゃっている。タイトルの大嘘というのはなかなか面白い。勿論邦訳についていっているのだけど、でも最大の“大嘘”はレギーユがクルーズなこと、なのも知れない。


なお、「奇岩城の大嘘」では戦後の主な翻訳書を挙げてその中で岩波少年文庫版が優れていると書いている。私も岩波少年文庫版がいいと思う。次点でハヤカワ文庫だろうか(総合点ではハヤカワ文庫がよい)。ハヤカワ版では≪(エギーユ)≫となっているが、たぶんレギーユ(l'Aiguille)の見栄え(固有名詞性など)を表そうとしたのだと思う。


引用:
新潮文庫編集部編『百年目』新潮文庫、2000年10月初版
榊原晃三訳『奇岩城』岩波少年文庫、1983年5月初版、2001年7月新版第1刷

前→「奇岩城の大嘘」とは?(その3)

「奇岩城の大嘘」とは?(その3)

※以下の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※


エギーユには辞書的な意味が複数あるけれど、その1に引用したなかで、特にⅢのロ、ハ、ニには注意しなくてはならないといっている。

まず、ニ(建造物)については、

 ある種の建物、ピラミッド、鐘楼、オベリスクの先端、あるいは先端がとがった一定の物体(ラルース『フランス語大辞典』、一九七一年版)

 の意義があって、『奇岩城』のなかの訳語「エギュイ城」とか「針の城」に該当する。(大嘘)

岩波少年文庫では「エギーユの城館」となっている箇所である。作品から引用すると、

月の光がさしこんだので、ほっそりした尖塔のまわりにするどくとがった小鐘楼が並んでいる城館の姿が見えた。おそらく、針(エギーユ)という名前はこの尖塔のために名づけられたものにちがいない。(岩波P211)

つまり、尖塔(エギーユ)があるからエギーユの城館(ル・シャトー・ド・レギーユ)と名づけられたのだ。この尖塔については「針(エギーユ)を象る尖塔」として建てられたとあるが、「大嘘」によると、原文では定冠詞が付いたレギーユで、もしそれが<針>なら不定冠詞をつけたものか複数形になっているのではないかとある。だからル・シャトー・ド・レギーユは「とんがり御殿」とか「尖塔屋敷」ぐらいがふさわしいのではないか、とある。



次に、Ⅲのハ(地質)について、ラルース『フランス語大辞典』は、
「断崖が後退して残った支柱、(広義で)ある一定の岩の先端」
と説明し、エトルタ尖鋒と、結晶水晶頭を挙げ、『ル・ロベール』辞典は、
「尖った岩」
として、アンドレ・ヂッドの『一粒の麦もし死なずば』の一文を示している。(大嘘)

とあるとおり、この部分がエトルタのレギーユ(大岩)にあたる。ジッドの作品は同時代の用例で、新潮文庫堀口大學訳ではP54に確認できた。


最後にⅢのロ(地理)はというと、

 『ル・ロベール』辞典は、<エギュイユ>の項で、「先端が尖った山の山頂」として、レギュイユ・デュ・ミヂ山の山頂を例として挙げており、(中略)  これらの山は、モンブランの北側と北東側に位置し、事実、四十に近い数の「レギュイユ何々」と名付けられた三、四千メートル級の高峰が、いわゆるフランスアルプス山塊を形成している。ふつう、これらの山を「エギュイユ何々」とも呼ぶが、固有名詞としては定冠詞を付けて「レギュイユ何々」と呼ぶのが正しい。地図などでは冠詞を省略しているが、たとえば標高を示すときなどは必ず冠詞を付けねばならない。

 レギュイユ・ド・グラシエ(三八一七m)
 レギュイユ・ド・クレーフル(三七三九m)
 レギュイユ・クルーズ(八〇m)

 第三番目のものは故意に並べてみたのであるが、つまり、『奇岩城』にエギュイユ・クルーズは限定された固有名詞であって定冠詞laが付き、それがリエジヨンしてレギュイユ・クルーズとなっているのである。こうした呼称の山や岩や塔は、モンブラン付近だけでなく他の地方にもある。(大嘘)

「奇岩城」に登場するエギーユという言葉は実に92%が定冠詞付きです。定冠詞のついているということは固有名詞の響きがあるため、レギーユという言葉を聞いたときに<針>じゃなくて、まず尖った山を想像するのではないかと言っています。山じゃなくても岩や塔かも知れない。それが<針>を意味するなら不定冠詞が付くのではないかということです。



 だから、この小説を原文で読むフランス人は、まず小説の題名を見て、
 ――空洞の先鋒、奇妙な山だな。
 くらいに思い、暗号解読の段階では、無冠詞のエギュイユに<針>を感じ、物語が進展して、ル・シャトォ・ド・レギュイユの場面になると、<尖った鐘楼や尖塔の屋根がある屋敷>を想像し、「針の城」というようなイマーヂュは湧かないと思う。そして、いよいよ話が大詰ちかくなると、尖鋒というのが実は尖った大岩であることが判明する。(中略)
 もともと、エギュイユという言葉は、エギュ(鋭い、先がとがった)という形容詞から派生したもので、語原のラテン語の詳細はさて措き、「針」という語から尖鋒や尖岩という義が派生したのではない。とにかく、山でも塔でも岩でも、尖っているという意義が支配しているのだから、「針のように尖った岩」とするのもよかろうが、最初に針と断定したので、それに引きずられて<針岩>とか<針が空洞>だとするのは滑稽である。(大嘘)

長々と引用してしまったけれど、どれも重要だし要約できなかった。タイトルの「L'AIGUILLE CREUSE」をどう訳すか。作者の意図としてはエギーユという多義の言葉に惑わせたかったわけだから、最終の答えで訳すわけには行かないし、日本語には置き換えられそうにない。タイトルだけじゃなくて各場面のエギーユにしても、それぞれの意味を明らかにして欲しいけれど、でもそれぞれの意味で翻訳してしまうと、言葉の意味や、キーワードとしての連続性が失われてしまう恐れがある。それに、たぶん表面的な理解で終わってしまう。だからこの問題は注釈や解説という形で説明するほうがよいかもしれない。いずれにせよ日本人でも分かるような形で一度「奇岩城」を読んでみたい。


前→「奇岩城の大嘘」とは?(その2)
次→「奇岩城の大嘘」とは?(その4)

※以上の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※

2006/09/13

「奇岩城の大嘘」とは?(その2)

※以下の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※


ここからは作品の内容に触れるので項を改めてみた。

物語の終局であらわされる、保篠氏が「奇巌城」と名づけた岩はフランス北部セーヌ=マリティーム県のエトルタに実在する。中が空洞でそこに通じる道があるというのは作者の作り話なだが、“令嬢たちの部屋”と呼ばれる岩も実在している。なお、映画「ルパン」のクライマックスでアルセーヌが十字架を持って、欄干のある橋のようなものを渡って入っていた岩が令嬢たちの部屋(外観のみ)、そして十字架を使って入っていた先がエギーユ(これも外観のみ)である。中はいずれもスタジオのセットだろう。念のために書いておくと、原作の「カリオストロ伯爵夫人」自体が「奇岩城」前史となっているので映画ではそれを取り入れたものと思われる。

その1に挙げたエギーユという言葉の使用度数のうち、定冠詞を伴った3のレギーユ、書名になっている4のレギーユ・クルーズは、最終的にこのエトルタの沖に存在する巨岩を示す。冠詞という概念が分かりづらいので、1と2の例について三宅氏の言葉を引用させてもらう。

作者は、これを、謎の暗号後として読者に投げかけ、それを次第に明らかにしていく手法をとっている。無冠詞のもの1は、暗号解読時の単語として、その他は、ただ一カ処、<松葉>という構成語として使われているだけである(ガリマール版六五頁)。不定冠詞を伴ったもの2は、れいの大岩を特定しない場合に使われている。(大嘘)


エトルタの巨岩は作中で次のように描写されている。

 彼の真正面の沖合いに、ほとんど断崖の高さと同じ高さで、八十メートル以上もある巨大な岩がそびえていた。水面すれすれのところに見える花崗岩の大きな台座の上に、この巨大なオベリスクが垂直につっ立っていたのだ。それは、てっぺんへいくほど細くなり、まるで海の怪物の巨大なきばのようだ。このおそろしげな一枚岩は、断崖と同じように白いが、それはよごれて灰色がかった白色だった。(岩波P302)
<アヴァルの門>と呼ばれている、海底の岩の中に根をはって枝を断崖の上にそびえさせている巨木のような、堂々たるアーチがある。そこから四、五十メートルはなれたところに、とほうもなく大きな円錐形の石灰岩がそびえていた。(岩波P305)

作中でかかれたとおりの位置に岩は存在する。写真で確認してみると、見る角度によって形は換わって見えるが「針のように尖った岩」ではない。単独で立っていて80メートルというのはかなりの大きさである。針というとまうと小さいイメージがあるし(針小棒大)、胴体が細いイメージがある。形状からすれば針よりも角という感じがする。三宅氏が「そんな大岩を<針>と表現する者は誰もいまい」というのもごもっともな岩なのだ。日本語で表現するなら、先端が尖った大岩、尖峰岩となるだろうか。しかし、訳者たちは最初に「針」としたので、それに縛られてしまっているとしている。

しかも「奇岩城」のエギーユはこれだけではない。
(その3に続く)


前→「奇岩城の大嘘」とは?(その1)
次→「奇岩城の大嘘」とは?(その3)

※以上の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※

「奇岩城の大嘘」とは?(その1)

※以下の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※


「奇巌城」や「奇岩城」という名で知られるモーリス・ルブランの作品「L'AIGUILLE CREUSE」(レギーユ・クルーズ)。タイトルにもなっている“エギーユ”(またはレギーユ)とは何か。これはなかなか厄介かつ面白い問題である。私はそれを三宅一郎氏の「奇岩城の大嘘」という文章で気づかされたので、その内容を紹介していきたいと思う。

本来なら「奇岩城の大嘘」自体を読んで欲しいけれど、「奇岩城の大嘘」(以下「大嘘」と略す)を収めた本や雑誌が入手困難であること、ルパンシリーズに適切な注釈書がないことから、「大嘘」の詳細や「奇岩城」謎解きの解釈についても言及することにする。「大嘘」ではaiguilleをエイギュイユと表記しているが、最近の翻訳にあわせてエギーユとしたいので、この記事内では混在している。

まず「奇岩城の大嘘」の概要から。

三宅一郎「奇岩城の大嘘」
収録単行本:新潮文庫編集部編「百年目」新潮文庫、P347-370
初出:「小説推理」2000年8月号
ビーケーワン:百年目(目次)
http://www.bk1.co.jp/Sakuhin.asp?ProductID=1931677

□見出し


  • 七十年来の大錯覚
  • 奇岩城
  • エギュイユとは?
  • 実在のレギュイユ
  • 空洞の針
  • 第三義
  • 針か峰か?


「L'AIGUILLE CREUSE」の、とくに「Aiguille」(エギーユ)という言葉がこの作品の重要な鍵を握るのだけど、大正年間に初めて日本語翻訳されて以来、そこに大きな錯覚があるとしている。「奇岩城」や「奇巌城」という邦訳書名は保篠龍緒が大正中期(1919年)に「奇巌城」として出版したのが始まりであり、原題の訳語ではない。翻訳以前には翻案の「大宝窟王」が出版されている。

エギーユという言葉をフランス語の原文ではどのように意義づけているか、三宅氏の調査結果は以下のとおりとなっている。テキストは1981年ガリマール版で、署名を除き目次をふくめたとある。

1. aiguille…3回(無冠詞)
2. une aiguille…5回(不定冠詞を伴ったもの)
3. L'Aiguille…59回(定冠詞を伴ったもの)
4. L'Aiguille creuse…34回(定冠詞を伴ったものに、形容詞を添えたもの)

実に101回用いられている。この作品の規模だと多いのではないだろうか。定冠詞が着いたL'Aiguilleと言う形での例が多い。だから、定冠詞のついた3や4を解明すれば、自然と用法と語義が明らかになるだろうとしている(日本語話者には冠詞と言う概念は分かりにくい。英語だとaが不定冠詞でtheが定冠詞にあたる)。辞書ではこの言葉はどのように説明されているか。「大嘘」からそのまま引用する。



では、辞書はこの語をどう説明しているかを前掲の『ル・ロベール』辞典を例として示すと、

Ⅰ 鋼鉄の小さな線条で、一端が尖り(サキ)、他端(アタマ)に一つの穴(眼またはメド)を設け、そこに縫うための糸を通す物。
Ⅱ 先端が尖った種々の金属条。
Ⅲ 先端が尖った種々の物体。

 と大別しているが、Ⅰは、なんのことはない縫い針のことで、この項目を<針>と総称してもよく、この項目に縫い針以外の色々な針、刺し針、留め針、鍼針などをふくめている。Ⅱには、磁石針、時計針、注射針などを例として挙げ、Ⅲには、

イ、動植物(蜂の針、魚の名称、松葉など針葉樹の葉)
ロ、地理(先端が尖った山頂および尖鋒を持つ山など)
ハ、地質(尖った岩、尖礁など)
ニ、建造物(尖塔、鐘楼、オベリスクなど)

 としていて、エギュイユの第一義は<針>で、フランス語者にとっては、エギュイユ(針)、エパングル(ぴん)、エピン(とげ)などは、とくに辞書をひもとくまでもない日常の用語である。ルブランの、この小説を最初に和訳した保篠氏は、エギュイユを<針>だと直観し、その後七十年間も<針>が尾をひき現在に及んでいる。(大嘘)


大きめの辞書を確認したところ、白水社仏和大辞典ではほぼ同じ分類だった。原本が確認できていない状態で孫引きすると各翻訳者の意図を損ねてしまう恐れがあるので引用はしないけれど、「大嘘」にはエギーユ=針を利用して翻訳されている例が並んでいる。針とすると何となく不自然または違和感を与えそうな箇所をエギーユなどカタカナだけにしたり、カッコを付けて説明している例もある。なお、クルーズは、

<空洞な>を意味する形容詞クルーやクルーズ(女性形)、<掘る>を意味する動詞クルーゼは、フランス人が、ふつうに使っている日常語(大嘘)

だそうである。エギーユが女性名詞なので形容詞も女性形でレギーユ・クルーズとなる。次から作品について話を進めたいと思う。


次→「奇岩城の大嘘」とは?(その2)

※以上の文章は「奇岩城(4)」の内容に触れています。※

2006/09/09

曽祢まさこ「曽祢まさこ傑作集(1) 死の影の家」

ぶんか社ホラーM コミック文庫
収録作品
・少女心中
・死の影の家
・スペア -予備の物語-
・かなたの日記
・もう1人のわたし
・魔利絵
・蜜の部屋

前半4作品が雑誌「ミステリーボニータ」掲載で単行本未収録だったもの。曽祢さんの漫画を知ったのはこの頃のミスボニだったのでこうやって単行本になるのは嬉しい。久々に読んでも面白かった。

とりわけ気になっていたのが「かなたの日記」。作品自体も印象的だけど、掲載時にミスがあって母親がかなたを呼ぶ肝心なところが「はるか」となっていたから。その後雑誌を処分するときに確認したら予告時には「はるかの日記」だった。やはり「かなた」のほうが合っていると思う。

2006/09/05

「花とゆめ」2006年19号 スキップ・ビート!感想

著者:仲村佳樹

巻頭でスキップ・ビート!のキャッチコピーコンテストみたいなのの結果が発表されてた。そのグランプリのコピーに合わせてカラーなのだけど、うーん、夜の帝王度いまいち低し?

ドリーマーでキュートなキョーコに内心くらくらしてる蓮は、ストーカーに見つかったら危ないとか口実を見つけつつ朝のお散歩を切り上げ。キョーコには怒っていないと分かってもらえたようでう。要はキョーコが無事なことだもんね。当然だけど。

ホテルで食事後に蓮は、キョーコが尚に助けてもらったことのお礼をするシーンを立ち聞きするはめに。キョーコの顔面怪我にたいする尚の謝罪シーンを垣間見たときのような疎外感を味わう。尚がどうしてキョーコを助けたかというセリフを言いそう。これは…キョーコに告白する? そこまで偶然が重なったらその絆は只者じゃない(キョーコと尚の関係のこと)という社さんのセリフが蓮の心を乱す。


「スキップ・ビート!」感想のバックナンバーはこちらから。

2006/09/04

「ウエスト・サイド・ストーリー」ミュージカル感想 2

ウエスト・サイド・ストーリー 2006年日本公演公式サイト
http://www.westsidestory.jp/
2006/8/16(水)-2006/9/3(日)
Bunkamura オーチャードホール

観劇日:9/2
2度目です。1度目の感想は→「ウエスト・サイド・ストーリー」ミュージカル感想
当日券だったけど出来るだけ真中から見たかったので、2階席の2列目になった。全体見渡せてよかったけれど、舞台が遠くて字幕は読むの諦めた。オペラグラスは前回はオーチャードホールで借りたけど、今回は自分で持っていった。肉感がすごいー。胸でかい(何を見てんだか)。

最後マリアにショールを掛けようとして断られてたのはシャーク団の女の子で、舞台上最後に残ったのはエニバディスでした。彼女はやっぱりコールガールになっちゃうのでしょうか。エニバディスが個々の場面でどういう立ち位置にいるか気になるけれど、1万円も払ってると、どれか一つに集中して見るよりあれもこれもと見ないと勿体無いと思ってしまうんですよね。チケット高い~。


リフ亡き後実質トップなのはアクションでしょうか。顔が覚えられないから間違っているかもだけど、ジェット団のナンバー2は彼らしいので。周囲からイージー、アクション(落ち着けアクション)と言われるトップって何かほほえましい。でも反発は招かないけれど、トップによる自制が効かない分ジェット団は社会への不満をそのまま抱えてしまい(クラプキ巡査)、アニタの暴力に走ってしまうことになるんでしょう。仲間が亡くなっているのにふざけた歌を歌うのは変と言うので映画版ではクラプキ巡査の挿入位置が変わったらしいけれど、舞台は舞台でいいと思う。最初に舞台版を見たときに、映画版をTV放送でしか見たことがなかったから、コミカルなクラプキ巡査にびっくりした。

舞台と映画との違いはいくつかあるけど、この点で大きなのは「アイス」の不在。アイス(ICE)はその名の通り、クールを歌うための人物なのかも。映画は歌部分が吹替えであることは有名だけど、リフの歌の吹替えはアイスで、ジェット団の歌を歌ってるのはアイス…かわいそうなリフ。舞台ではリフがクールを主導する。今回はあまり印象に残らなかったけど、前回は決闘の打ち合わせのあとシャーク団が追い出されて、ジェット団がシュランク警部の暴言に指をならすことで堪えるシーンで胸にずしりと来た。リフ自身が抑えきれない憤りを身の内に抱えてたんだと思う。本当はシャーク団のほうがもっと深刻な状態だろうけれど。

大人チームではドクは格別として、グラッドハンド氏が何気に好き(ダンスシーンで輪を作らせる役の人)。ダンスが始まるまでのあのぐだぐだ感がたまらない。シュランク警部がどこかで笑いを誘ってた気がする。


さて2回目を見に行ったのは、前回2階席の左右の迫り出しているところで見たからかも知れないけれど、なんか演奏がいまいちで、クインテット(みんなでトゥナイトを歌う曲)は歌もあまり上手く聞こえなかったから。やっぱりクインテットが印象に残らないとウエスト・サイド・ストーリーを見た気がしない。今回はなんとか合格点に聞こえました。トニーやマリアは言わずもがな。女の子たちのコーラスもきれいで良かった。

劇場ではパンフレットと映画版のサントラ買いました。昔出ていたサントラ盤は不完全で曲も少なかったけど今は完全版となっている。結婚の誓いのセリフや銃声まで入ってたり。私は輸入版持ってるから買う必要ないんだけど、英語が読めない!!ということでライナーノーツのために買いました。歌詞の和訳とか写真とかあったから損はしないけど。マリアって16歳なの?!とちょっとびっくりしてしまった。みんなティーンエイジャーの設定だとは薄々知ってたけど。


□2006/09/11追記
この日見たベルナルドはアンダーのトニー・ゲレロ。1回目に見たときはアナウンスがなかったので、たぶんパンフレットどおりガブリエル・カネットだったと思う。

横山光輝「鉄人28号 原作完全版」第11巻購入のこと

今回は読みきり「怪ロボット・ロビー」ととびだすまんがの「ロビーの逆襲」が収録されてロビー尽くしの一冊となっている。巻末はKOBE鉄人PROJECTの紹介。

「怪ロボット・ロビー」は他の読みきりとは異なり本編と関係があるため、最初に掲載されている。最後はしのびよるムカデロボットで終わって、ページを捲ると「ロビーの逆襲」という上手くいきすぎな構成ですね。でも「ロビーの逆襲」のムカデロボットは本編のムカデロボットとは形は似ていても別物で機能も違うんですよね。


KOBE鉄人PROJECTは、神戸市長田区に「横山光輝記念館」誘致を目指すプロジェクトです。
KOBE鉄人PROJECT
http://www.kobe-tetsujin.com/


見出し一覧に第11巻の収録範囲を追加しました。
漫画「鉄人28号」見出し一覧

2006/09/03

アルセーヌ=ルパン全集 別巻4「真夜中から七時まで」入手のこと

アルセーヌ=ルパン全集の別巻が増刷されたようで、「真夜中から七時まで」を注文して入手しました。本編25巻については去年増刷されて手に入るようになったんですけど、その際に別巻の5巻が対象から外されてたんです。だから古いのは除いてこれだけが入手できなかったんですよね。注文するとき、古い本ですからちょっと入手できないかもしれませんねと言われてしまった。ええ、ですから増刷を確認して注文してるんです、と心の内でつぶやきつつ。

収録作品の一覧は偕成社:アルセーヌ=ルパン全集にまとめています。全集のうち8冊が文庫化されてます。


これが入手できるまで非ルパンもののルブラン作品をお預けにしようと思っていたので、これとかドロテとか赤い数珠とかちびちび読んでいこうと思います。ボワロー=ナルスジャックのルパンものも3冊入手してあるんだけど読むのもったいなくてまだ読んでない。これ以上集めるのは無理だろうし。


KAISEI WEB 偕成社
http://www.kaiseisha.co.jp/

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