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2006/06/28

山口仲美「日本語の歴史」

岩波新書、2006年5月
岩波新書 日本語の歴史
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0605/sin_k301.html

上古から現代までの日本語の歴史。日本語をどう表してきたかとか、言文一致運動とか。

目から鱗なことがいっぱいあった。「土佐日記」では大半はひらがなだけど、ところどころ漢字が入っている。当時漢字で表すのが当然と思われていたものが漢字表示なのだけど、京(きょう)とか白散(びゃくさん)とか拗音を表す方法がなかったからというのもあるらしい。

現代語につながるのは江戸時代だと位置付けておられるのだけど、江戸時代に現代でも使う一人称(わたし、わし、おれ等)、ニ人称が出揃っていて、それぞれ少しずつ位置付けが変わっているのが面白かった。

「ル・モンド」紙の記事:ルパン氏の生まれた土地で

ル・モンドのサイトの記事について内容を少し紹介します。フランス語はわかりませんのであくまで翻訳でなくて、メモです。なんかぐずぐずしていたら、ル・モンドのサイトから記事が消えて、有料記事になってしまってました。

Le Monde.fr : Au pays de monsieur
http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3246,36-681838@51-672256,0.html
http://www.lemonde.fr/cgi-bin/ACHATS/acheter.cgi?offre=ARCHIVES&type_item=ART_ARCH_30J&objet_id=912824
それで、探したのが以下のページです。参考まで。
http://blogs.ya.com/petite-charlotte/files/articles_141004.htm


これは、インフォシーク翻訳がフランス語に対応したので、自動翻訳を通して知ったことなどのメモです。仏英、英和と2つ通したほうが、分かりやすい文章になったりしますが、やはり直接翻訳してくれるのはうれしい。他にも仏和自動翻訳サイトを知っていますが、どうも動きが不審だったのでインフォシークの仏和対応はありがたい。<1><2>は段落番号です。


◆ルパン氏の生まれた土地で◆(Au pays de monsieur lupin)

<1>
冒頭はやはりレギュイユ・クルーズですね。激しく波に打ち寄せられる断崖のそばにあるエトルタ、消えたルパンを研究すために必要な場所でした。上手くいけば燕尾服姿の怪人に出会うかもしれません。彼は100年前の1905年7月に現れました。

<2>
かつてルブランは、測量したり、ルパンは本当にフランスの宝を返したのか?というのを調べていたフィラデルフィアの学生たちとすれ違ったそうです。現在でもこの地にルパンマニアがやってきます。「lupinophiles」と言うらしい。ヨーロッパから日本からに並んでブラジルからも来ているようです。

インフォシーク翻訳はポルトガル語にも対応してくれたので、力を借りつつ調べると、ブラジルではコートの泥棒という名前で出版されているようです。検索するとヒッチコックの映画「泥棒成金(TO CATCH THE THIEF)」も同じタイトルで引っかかります。

<3>
ルブランの名前はクロード・モネやウジェーヌ・ブーダンの間に現れます。作家ルブランはフロベールとモーパッサンに囲まれることを好んだのではと推測できますが、現在ギ・ド・モーパッサン通り(ギ・ド・モーパッサンはモーパッサンの本名)にゆかりの場所があります。この土地は1918年にルブランが購入し、厚顔無恥のドン・キホーテたるルパンにちなんでルパン荘(クロ・ルパン)と名づけられたのでした。

モネもブーダンも印象派の画家でエトルタを描きました。オンフルールにウジェーヌ・ブーダン博物館があります。フロベールは作家ギュスターヴ・フロベール。とモーパッサンは作家。記事に関係ないけれど、「ラ・マンチャの男」って「ドン・キホーテ」(の作者)ことだったんですね。

<4>
この段落はルブランの孫フロランスさんの証言です。ルパン荘はルブランの死後1952年に人手に渡ることになり、家族でお別れのキャンプをしたそうです。1998年に祖父を忍ぶ博物館を建設するため買い戻したのでした。

<5>
ルパン荘は1999年の開館以来12万人の人が訪れているそうです。ヘッドフォンでジョルジュ・デクリエールの声が案内してくれます。そうやってルパンの宇宙、47の偽名と多彩な変装の世界を探査していくわけです。

Don Luis Perrennaって“r”が一個多い。デクリエールはフランスで制作されたTVドラマで主役を務めた方ですね。

<6>
モーリス・ルブランは1864年11月11日に、ルーアンの富裕な石炭の貿易商と早くになくなった母(ルブランが21歳のときに死去)の息子として生まれました。ルブランの出産を取り上げた医者はギュスターヴ・フロベールの兄弟アシル・フロベールでした。

<7>
高校卒業後いったんは工場に勤めますが、文学を志しパリに上京し、小説や心理的な小説を発表します。「夫婦たち」「ある女」「これが翼だ」これらの作品はジュール・ルナール、レオン・ブロワ、アルフォンス・ドーデの賞賛を呼びましたが、世間の関心は引き起こしませんでした。1901年に発表された自伝的な小説「熱狂」もサッパリでした。

ルナールは「にんじん」「博物誌」を書いた作家。ドーデは「最後の授業」を書いた作家。ブロワも作品が日本語訳されています。

<8>
あるとき、パリ行きの夜行列車を待っていると、モーパッサン、ゾラ、エドモン・ド・ゴングールがルーアンのフロベールの胸像の除幕式のためにルーアンに行くと分かりました。ルブランはその列車に乗り込みますが、期待に反して3人とも眠ってしまったために、巨頭たちの会話は聞けませんでした。

さてルブランはパリでアルフォンス・アレ、デザイナーのスタンラン、マラルメと交際します。妹であり女優のジョルジェット・ルブランの相棒であるベルギー人で将来のノーベル賞詩人モーリス・メーテルリンクの干渉のおかげでした。

ゴングールも作家で浮世絵の歌麿の研究本を出したりもしています。アルフォンス・アレは作家、マラルメは詩人のステファヌ・マラルメ、スタンランはテオフィル・アレクサンドル・スタンラン。モーリス・メーテルリンクは「青い鳥」などの劇作家でもあります。

<9>
1905に月刊誌「ジュ・セ・トゥ」の編集者であったピエール・ラフィットは、イギリスのシャーロック・ホームズの成功と競うことができる小説を希望します。それが彼の運命を決定付ける「アルセーヌ・ルパンの逮捕」でした。パリの市会議員アルセーヌ・ロパンから借りた名前でした。

<10>
ラフィットはフィユトン(新聞小説)の強盗が流行となることを保証します。2年後、「怪盗紳士アルセーヌ・ルパン」が刊行されます。すぐに「アルセーヌ・ルパン対エルロック・ショルメス」(コナン・ドイルの抗議により、アナグラムになりました)と有名な「レギュイユ・クルーズ」が続きます。神話は生まれます。16の長編、37の短編、4幕劇、そして多数の映画化作品。著者と進化したキャラクターの生気を失わせる危険がありました。

長編16は以下のとおり。金髪の夫人とユダヤのランプはあわせて長編扱いになっているようです。
ルパン対ホームズ(2)、奇岩城(4)、813(5)、水晶の栓(7)、オルヌカン城の謎(8)、金三角(9)、三十棺桶島(10)、虎の牙(11)、カリオストロ伯爵夫人(13)、緑の目の令嬢(14)、謎の家(16)、バール・イ・ヴァ荘(17)、二つの微笑を持つ女(18)、特捜班ヴィクトール(19)、カリオストロの復讐(20)、ルパン最後の事件(21)
短編37は、
怪盗紳士ルパン(1)9編、ルパンの告白(6)9編、八点鐘(12)8編、バーネット探偵社(15)8編、山羊皮服を着た男(A2)、エメラルドの指輪(A3)、壊れた橋(A4)(でしょうか?)

<11>
1つの、超高感度、憂鬱、ディレッタントな完全主義者。偉大なアマチュア芸術家であり、当意即妙な回答や猛烈な皮肉のふざけあい。軽快で世俗的な女たらし。憂鬱が好で家の中に収まる前の姿でした。その高貴な征服者たちはレイモンド・ド・サン=ヴェラン、アンジェリック・ド・サルゾー=ヴァンドーム、有毒なカリオストロ公の女…ルブランはしばしば、非常に機敏な文学のために傾いている彼を抑制しなければなりませんでした。

<12>
急進的な社会主義者と自由思想家であったルブランは、年齢と大戦のおかげで同時代の人が持っていた狂信的愛国主義の傾向をもつようになります。が、この流れは破壊的でなくなり、ルパン刑事のような仕事を行ようになって終わります。

ルパンが、実在の強盗マリウス・ジャコブをインスパイアしたものかどうかたびたび議論されるとのことですが、私は懐疑的です、というかどうもよく分からないんですけど。アレクサンドル・マリウス・ジャコブは「闇の仕事人(les travailleurs de nuit)」という渾名を持つ無政府主義者で、3年間で5000を超える強盗を働き、1903年に逮捕されています。ルブランは影響をうけていないと否定したそうです。
Marius Jacob - Wikipedia(フランス語)
http://fr.wikipedia.org/wiki/Alexandre_Marius_Jacob

ところで、モーリス・ルブランがイタリア系の移民の子孫であるというのは事実ではないようです。もともとその説は妹ジョルジェット・ルブランの回想録の記述に拠っていて、ジョルジェットは執筆時に脚色して書いたということらしいです。

後半は余力があれば…。

2006/06/26

「奇岩城」平岡敦訳

ハヤカワ文庫、2006年5月初版、解説:長谷部史親
奇岩城 ハヤカワ・オンライン
http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/431203.html

去年から「奇岩城」については翻訳翻案含めて10数回は読んでいるのに、読んでいくとこういう表現あったかな?と感じる箇所があって、原文や他の訳で確認してみると今までの自分の読みが足りなかった面もあるし、ハヤカワ版が日本語の文章としてこなれている面もあるのが分かる。他の役と比べても読解しやすいのではないだろうか。

そうやってすいすい読んでいたら「夕闇の屍衣が~」という下りで一気にゆり戻されてしまった。一気に感情が流れ込んできたというか…やっぱり愚かしくて人間的なルパンが好き。このときショルメスは利き手じゃない左手で銃を持っているので、とっさに引き金を止められたかと言うと難しいかも知れない。その少し前のところなぜショルメスが目をそらしてしまったと言うところは岩波少年文庫版より意味がとりやすくなっていた。ここを読む限りショルメスはルパンの本当の正体を知っているようだ。


ところで偕成社文庫版「奇岩城」をふと確かめてみたらこの箇所ショルメス、悪者じゃん!っていう書き方でショックだった。ルパンから目を離すべきじゃなかったのに、ついレイモンドを見てしまった。だけど、悪意を持ってとか意地悪く見たとか少なくとも自分の持っているフランス語の原文にはそういうニュアンスがない。

偕成社文庫は完訳と謳っているけれど時々疑わしいところがあるみたいで、「カリオストロ伯爵夫人」の前書きには「モーリス・ルブラン」と署名がある。これを見たときショックだった。一般に前書きは著者が恩ある人物に献辞を送ったり現実との結びつきが強い場合もあるけれど、ルパンシリーズはルパンが面白がって出張する場所(「カリオストロの復讐」)なので、前書きは作中と結びつきが強く、あくまで「わたし」が書いたものなのだ。再読したときに原作では「わたし」はルブランだと明言していないんだなと思っていたのに、ここに名前があるということはわたし=ルブランということになってしまう。本屋で原文探して書名がないことを確かめるまで不安だった。多少の誤訳や訳の脱落や解釈の違いがあるのは仕方がないけれど、こういういうのは恣意的な改変というべきでは…。

2006/06/25

ネリー・アンダーダウン(Nelly Underdown)

□登場作品
アルセーヌ・ルパンの逮捕(1-1)
遅かりしエルロック・ショルメス(1-9)

□プロフィール
名前:ネリー・アンダーダウン
年齢:-
髪・目の色:金髪黒目
出身/国籍:アメリカ
家族構成:父、母

□解説
父はシカゴの大富豪、母はフランス人で母とともにパリで育った。太平洋横断の汽船でシカゴの父の元に向かう途中ルパンの逮捕時に居合わせ、のちの話でルパンと偶然再会する(推定約1年後)。ミス・ネリーと呼ばれることから、フランス娘というよりはアメリカ娘なのだろう。

ルパンシリーズのヒロインたち

ルパンシリーズのヒロインたち

ハヤカワ文庫のアルセーヌ・ルパンシリーズ出版記念&支援企画としてルパンシリーズに出てくるヒロインをハヤカワ文庫の順番に紹介していくつもり。

ここで紹介するヒロインはルパンの恋人という意味ではなく、各作品のヒロインや作中において重要な役割をする女性のこと。女性の登場人物は一作毎に変わることが殆どなので比較的書きやすいかなと思っているけれど、根幹となるネタバレはしたくないのが難しいかも。


○HM312-1/怪盗紳士ルパン
ネリー・アンダーダウン(Nelly Underdown)
アンリエット(Henriette)
○HM312-2/カリオストロ伯爵夫人
クラリス・デティグ(Clarisse d'Etigues)
ジョゼフィーヌ・バルザモ(Josephine Balsamo)
○HM312-3/奇岩城
レイモンド・ド・サン=ヴェラン(Raymonde de Saint-Veran)
○HM312-4/水晶の栓
クラリス・メルジー(Clarisse Mergy)

□2007/02/27更新

2006/06/21

A.デュマ「モンテ・クリスト伯」

A.デュマ「モンテ・クリスト伯」
新庄嘉章訳、講談社文庫、全5巻

うっすらストーリーを知ってたぐらいで読んだことがなかったけれど面白かった。復讐の範囲がどこまでになるかはらはらした。

2巻の最初までは分かりやすく、復讐が始まると話が込み入ってくる。私はたいてい覚えが悪いので、読んでてそうだったそうだったと思いつつ読むのだけど、最初の罠を仕掛けた3人+1人が頭に入っていないと、かなり大変。一番印象に残るのはノワルティエ。全身不随で意思を表現できるのは目だけ。ゆっくり目を閉じれば承諾、まばたきは拒否、この目の動きで知性があることを証明して見せるのだ。

話は1815年から始まっていて、その後約20年にわたる話を書いている。王党派、ボナパリスト、ブオナパルテ(ブオナパルテはナポレオンのもともとの姓で、フランス風にボナパルトと改名したのであえてこの名前を使うことは蔑称となる)、なるほど、この時代だったのか。サラダ籠!(護送車のこと)この時代にもあったとは。

実はこの作品は戯曲「アルセーヌ・ルパンの帰還」を読んでいたら、読みたくなってきたのだった。ルパンシリーズを通して見えるモンテ・クリストはなぞめいた男、時間に正確な男といったものだけど、まさにそんなイメージだった。漫画家の和田慎二はかなり影響受けてるよね。スケバン刑事とか八千代菊の話とか。銀の髪の亜里沙なんてまんまだもの。

「花とゆめ」2006年14号 スキップ・ビート!感想

著者:仲村佳樹

尚のビーグルに対する“お話し合い”は10分でケリがついた模様。後腐れはない感じかなあ。撮影が終わって女性のみのホテル(男性陣は飲みに繰り出した)に戻ることを怖がっていたが、ホテルには蓮が到着していた。こっそり緒方監督に告げられて安堵するキョーコが可愛い。

と言うことで久々のキョーコと蓮の対面です。キョーコの電話がトラブルが起こったことを隠してて、蓮がそれに気づいて心配で社さんを先に寄越した事情は、社さんに筒抜けでした。まあどっちもバレバレですがな。何事もなくてよかったと安心する蓮に、元凶が尚でキョーコを助けたのも尚だということが言い出せない社さんとキョーコ…という場面で尚がなぜか蓮の部屋(社さんとキョーコがオプション化してる)を訪問!? ーー以下次号。

ってここで終わるの?!今回は余り話が進まない回だったので、生殺し…。しかも次の号もその次の号もお休みみたいです。


次は17号(8月5日発売)から再開。仲村さんには十分英気を養ってほしいけど1ヶ月半も待たされるのか…。
「スキップ・ビート!」感想のバックナンバーは「スキップ・ビート!」感想のバックナンバーはこちらから。

2006/06/20

「ファントマ映画祭2006」今夏ロードショー予定

CINEMA TOPICS ONLINE:ファントマ映画祭2006、パリが生んだ伝説の怪盗ファントマ、再び現る!! (2006/06/03)
http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=5228

ファントマの映画が今年劇場公開されるそうです。しかも、1960年代に製作(日本でも公開)された映画です。怪盗ファントマって違和感が…ファントマって“怪人”というイメージがするから…なんとなく。

007もロクに見たこと無いんですよね。第1作はそんな昔の映画だったのかと思う次第。

□今回上映される三作品
ファントマ 危機脱出 -- キネマ旬報DB- Walkerplus.com
http://www.walkerplus.com/movie/kinejun/index.cgi?ctl=each&id=13453
ファントマ電光石火 -- キネマ旬報DB- Walkerplus.com
http://www.walkerplus.com/movie/kinejun/index.cgi?ctl=each&id=13708
ファントマ ミサイル作戦 -- キネマ旬報DB- Walkerplus.com
http://www.walkerplus.com/movie/kinejun/index.cgi?ctl=each&id=13836

ファントマは1913年から1914年にかけて最初にルイ・フィヤードの手で映画化(無声映画で5作品)されましたが、今回上映されるのはリメイクシリーズです。いつものことながら原題と邦題とのギャップがありますね。
ファントマ 危機脱出…原題:Fantomas(ファントマ)、1964年の作品
ファントマ 電光石火…原題:Fantomas Se Dechaine(ファントマ暴れる(?))、1965年の作品
ファントマ ミサイル作戦…原題:Fantomas Contre Scotland Yard(ファントマ対スコットランド・ヤード)、1967年の作品

今回の3つあわせた原題は「Trilogie de FANTOMAS(ファントマ三部作)」ということになってます。
ライズXで3回券3000円の特別鑑賞券が発売中です。
CINEMA RISE MOVIE INFO.
http://www.cinemarise.com/


□原作について
原作はスーヴェストル=アランによって執筆されています。マルセル・アランとピエール・スーヴェストルの共同執筆名で、口述筆記のような形で1911年から1913年の間に32編執筆されました。アランの死後スーヴェストル単独で書き継がれています。

ファントマはシュールレアリストたちに愛好されました。青土社から千葉文夫著「ファントマ幻想」という本が出版されています。ファントマの本というより、1930年代のシュールレアリストたちの本と言ったほうが正しいかも。1930年代のラジオドラマで「ファントマ哀歌」という作品が放送されて、その作詞家ロベール・デスノス、作曲家クルト・ワイルらに焦点を当てて紹介されていました。

ファントマ (Fantomas)
http://www.aga-search.com/874fantomas.html
以下のブログでロベール・デスノスの「ファントマ哀歌」の一部が翻訳されています。
ファントマ哀歌
http://www.uraxima.com/notes/20060415.html


ところで、1996年にフランスである切手が発売されています。
http://www.trussel.com/detfic/france.htm
「探偵小説(ロマン・ポリシェ)のフランスのヒーローたち」と題して全部で6名描かれていて、丁度3人ずつ怪盗と探偵に分類できます。
怪盗側がロカンボール、アルセーヌ・ルパン、ファントマ
探偵側がルールタビーユ、メグレ、ネストール・ビュルマ
怪盗の3人が似たような服装なのは貴族に扮するからでしょう。ロカンボールは多分映画から、ルパンは単行本の表紙からで、作中で記述された服装とは限らないと思います。ファントマは最初に刊行されたとき、この格好の人物をポスターにして大々的に広告を打ったらしい。ルールタビーユの格子縞のイギリス生地の背広は「黄色い部屋の謎」で事件解明のためアメリカに調査に行くときの格好です。

この切手を見たときに、一通り読みたいと思っていました。現在、ルパンとルールタビーユ(2冊)は読了。メグレとビュルマは1冊ながら入手したので、残りはロカンボールとファントマなんですよね。でも邦訳が手に入らなくて…。何とかならないかなー、折りよく「ジゴマ」がらみの新書が発行されていますし。ロカンボールとファントマは長すぎて読むには不向きな作品かもしれないけれども。

新潮社「怪盗ジゴマと活動写真の時代」永嶺重敏、新潮新書
http://book.shinchosha.co.jp/cgi-bin/webfind3.cfm?ISBN=610172-6
「ジゴマ」は大正時代に映画が日本でも公開され一大ブームを巻き起こし、影響された事件まで発生したため上映禁止が通達されるほど熱狂を生みました。江戸川乱歩や横溝正史もこの映画を見たとか(怪人二十面相はルパンよりジゴマやファントマじゃないかと思う)。現場に「Z」の文字を残すというのは「ゾロ」より「ジゴマ」のほうが先です。「ジゴマ」も原作はフランスの新聞小説で、ルパンやファントマ、ルールタビーユと同時代に発表されています。これも今は邦訳が入手できません。


□2006/07/29追記
ライズエックスでの上映は9月2日(土)~29日(金)に決定したようです。公式HPもオープン(準備中多いけど…)。
CINEMA TOPICS ONLINE:”FANTOMAS ファントマ映画祭2006”初日決定!
http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=5364
ファントマ映画祭2006
http://www.fantomas.jp/fantomas.html

ポプラ社「文庫版 怪盗ルパン」シリーズ

1999年に、同社から発行されていた怪盗ルパンシリーズ全30巻が改訂され、装丁も新調されて全20巻となった。これはそれを文庫化したシリーズ。翻訳とは違い子供向けに内容が改められている。
「作品No.」は「アルセーヌ・ルパン」作品リストに従う。

巻数収録作番号ポプラ社版タイトル作品No.タイトル
1-怪盗紳士1怪盗紳士ルパン
1-1大ニュース・ルパンとらわる1-1アルセーヌ・ルパンの逮捕
1-2悪魔男爵の盗難事件1-2獄中のアルセーヌ・ルパン
1-3ルパンの脱走1-3アルセーヌ・ルパンの脱獄
1-4奇怪な乗客1-4謎の旅行者
1-5ぼくの少年時代1-5王妃の首飾り
2-ルパンの大失敗--
2-1ルパンの大失敗1-7アンベール夫人の金庫
2-2大探偵ホームズとルパン1-9遅かりしエルロック・ショルメス
2-3消えた黒真珠1-8黒真珠
2-4ハートの71-6ハートの7
3-ルパン対ホームズ2ルパン対ショルメス
3-1金髪美人2-1金髪婦人
3-2ユダヤの古ランプ2-2ユダヤのランプ
4-奇巌城4奇岩城
5-消えた宝冠3戯曲アルセーヌ・ルパン
6-813の謎5813
7-古塔の地下牢7水晶の栓
8-七つの秘密6ルパンの告白
8-1日光暗号の秘密6-1太陽のたわむれ
8-2結婚指輪6-2結婚指輪
8-3三枚の油絵の秘密6-3影の合図
8-4地獄のわな6-4地獄の罠
8-5赤い絹マフラーの秘密6-5赤い絹の肩掛け
8-6さまよう死神6-6さまよう死霊
8-7古代壁掛けの秘密6-7白鳥の首のエディス
9-ルパンの大作戦8オルヌカン城の謎
10-黄金三角9金三角
11-三十棺桶島10三十棺桶島
12-虎の牙11虎の牙
13-八つの犯罪12八点鐘
13-1古塔の白骨12-1塔のてっぺんで
13-2ガラスびんの秘密12-2水瓶
13-3海水浴場の密室殺人12-3テレーズとジェルメーヌ
13-4映画スターの脱走12-4映画の啓示
13-5実の母がふたりある男12-5ジャン=ルイの場合
13-6殺人魔女12-6斧を持つ貴婦人
13-7雪の上の靴あと12-7雪の上の足跡
13-8マーキュリー像の秘密12-8メルキュール骨董店
14-魔女とルパン13カリオストロ伯爵夫人
15-緑の目の少女14緑の目の令嬢
16-ルパンの名探偵15バーネット探偵社
16-1おそろしい復讐15-1滴る水
16-2国王のラブレター15-2ジョージ王の恋文
16-3空とぶ気球の秘密15-6偶然の奇跡
16-4金の入れ歯の男15-4金歯の男
16-5トランプの勝負15-3バカラの勝負
16-6警官の警棒15-8べシュー、バーネットを逮捕す
16-7ベシュー刑事の盗難事件15-5十二枚の株券
17-怪奇な家16謎の家
18-ルパンと怪人17バール・イ・ヴァ荘
19-ルパンの大冒険19特捜班ヴィクトール
20-ルパン最後の冒険20カリオストロの復讐


□メモ
現在の収録順は、原作の発表順に添うよう改められたため、ルブランが登場していることを前提に書かれている「奇怪な乗客」が(「怪盗紳士」に収録)「ハートの7」(「ルパンの大失敗」に収録)よりも先に収録されているなど、一部違和感を感じる順番となっている。短編の収録作品は入替えないで欲しかった。最初に読む1冊には「奇巌城」がお薦め。

このシリーズは原作の抄訳に近いものから創作に近いものがあり、とくにルパンが重大な罪を犯す話などはかなり改竄してある。今読むと偽善的なところや表現がパターン化されていることなどが目に付いて、どうも読みづらい(全部がではないが)。フォントが大きくなったことや、フランス語表記がなくなっていることを含め、旧ポプラ社版より異国情緒が減ってより子供向けになってしまっていることも一因だと思うけれど。

□原作にあって収録されていないルパンもの
麦藁のストロー(6-8)、ルパンの結婚(6-9)、白い手袋……白いゲートル(15-7)、二つの微笑を持つ女(18)、ルパン最後の事件(21)など

旧シリーズにあった贋作が外されたのは仕方がないと思わないでもないが、旧版で入っていた「まぼろしの怪盗(二つの微笑を持つ女)」と「怪巨人の秘密(山羊皮服を着た男)」がどうして外されたのか…「まぼろしの怪盗」はトンデモトリックといわれるけどね…。翻訳だとラウールと金髪のクララのすれ違いが面白い。

□装丁
装丁はすべて藤田新策氏が手がけている。装画ギャラリー(bookcover works)で表紙が閲覧できる。
Illustrater Shinsaku Fujita from Tokyo
http://www.shinsakufujita.com/


※2006年6月現在すべて入手可能。
ポプラ社:文庫版 怪盗ルパン
http://www.poplar.co.jp/shop/kensaku.php?seriescode=8006
ハードカバー版。
ポプラ社:新訂 シリーズ怪盗ルパン
http://www.poplar.co.jp/shop/kensaku.php?seriescode=7640

ポプラ社「怪盗ルパン全集」(旧ポプラ社版のシリーズ)
ポプラ社「怪盗ルパン全集」
「アルセーヌ・ルパン」邦訳一覧(別表)

□2010/03/16 最終更新

2006/06/17

青空文庫に「奇巌城」登場&名作サウンドノベル「探偵小説アルセーヌ・ルパン」

青空文庫:図書カード:奇巌城
http://www.aozora.gr.jp/cards/001121/card46187.html

翻訳者は菊池寛。ストーリーは原作に忠実だが、子供向けに抄訳されている。ボートルレが中学生となっているので、より若いイメージ。ハヤカワ文庫版で「龕灯」となっている箇所が「懐中電灯」となっているのに、判事が乗ってきたのが自動車ではなく馬車となっていたり、言葉とイメージの都合かもしれないけれど、変更されてる進歩が逆方向で面白い。青空文庫の図書カードにはマトーの英訳から翻訳したのだろうとしているが、疑問が残る。マトーの英訳はグーテンベルグ・プロジェクトに格納されているが、英訳からの重訳にしてもフランス語も参照しつつ訳したのではないだろうか。参考にしたとされる保篠龍緒訳が未見なので分からないけれど。

龕灯(がんとう)とは何ぞや?と調べていたら「強盗返し」(がんとうがえし)という言葉を発見した。面白い。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%B7%E7%9B%97%E8%BF%94

現在青空文庫には「探偵小説アルセーヌ・ルパン」(内容は「白鳥の首のエディス(6-7)」)と「奇巌城」(奇岩城(4))の2作品が公開されている。


また、名作サウンドノベル「探偵小説アルセーヌ・ルパン」というのが作られている。青空文庫に入っている「探偵小説アルセーヌ・ルパン」を元に、背景画像を加えて、音楽、効果音をつけてフリーで公開しているもの。もう少し背景素材が豊富だったらなあというのが残念だけど、なかなか面白い試みだと思う。

名作サウンドノベルシリーズ小説アルセーヌ・ルパン(Windows95-98-Me-アミューズメント)
http://www.vector.co.jp/soft/win95/amuse/se389885.html
名作サウンドノベルシリーズ
http://project-lips.net/game/meisaku/index.html

□2007/03/11URL修正

2006/06/16

ソポクレス「オイディプス王」

藤沢令夫訳、岩波文庫
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/32/2/3210520.html

巻頭付録の系図が思いっきりネタバレである。知っている人が多い話だろうとは思うけれど。オイディプスには聞き覚えが無くともエディプス・コンプレックス(エディプス=オイディプス)なら聞いたことがある人も多いだろうし。

文章は簡潔で無駄がない感じがして読みやすかった。過去に起こった悲劇的事実が明らかにされる過程も世界最古の推理小説と言われるのがよく分かる。

作中では語られないが、オイディプスが解いたスフィンクスの謎というのは「朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足」というもの。(答えは「人間」なのだけど、どうしても「超人」が浮かんでしまう。「キン肉マン」の漫画にあったのだ)

2006/06/12

井上宗和「ルパン残影、フォル・ラ・ラッテ城の秘密」

名探偵読本7「怪盗ルパン」榊原晃三編、パシフィカ、1979年所収
http://www.cityfujisawa.ne.jp/~katsurou/read/meitantei/page7.html

□概要
ある日本人が偶然手に入れた古書を手にフォル・ラ・ラッテ城を訪れる。本にはアルセーヌ・ルパンの署名があり、奇巌城を後にしたルパンの足跡が書かれていた。

□感想
どこかで見たことのある名前だと思っていたら、城の本を書いている人(日本城郭協会)だった。道理で。この作品も実在の古城が舞台となっている。口絵に写真もあるのでロケーションはばっちり。ルパン自体は登場しないが、ルパンシリーズ内のあるトリックの変形が出てきたりあまり違和感はない。奇巌城のラストシーンに独自の解釈をつけている。

レイモンド・サン=ヴェランが名前からしてイギリス系というのはどういうことだろう? 別にイギリス系でもないような。レイモンドという名前は英語のレイモンドという男性名と同じ(似た?)発音なので、ジャン(フランスの男性名)という名前の女性(イギリスでの愛称がジャン)が登場するのはそういうところを引っ掛けているのだろう。


□2008/09/26追記
フォル・ラ・ラッテ城は、ブルターニュ地方フレエル岬(Cap Frehel)にあるラ・ラット砦(Fort la Latte)のこと。カーク・ダグラス主演映画「バイキング」のロケ地になった。
Fort-la-Latte - Wikipedia(仏語)
http://fr.wikipedia.org/wiki/Fort-la-Latte
映画 バイキング - allcinema
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=17703
The Vikings (1958)(英語)
http://us.imdb.com/title/tt0052365/

2006/06/10

と学会「と学会年鑑YELLOW」

楽工社、2006年4月
楽工社|出版物 『と学会年鑑YELLOW』
http://www.rakkousha.co.jp/books/ta_03.html
FILE060 書籍『アルセーヌ・ルパンの帰還』著:モーリス・ルブラン、訳:長島良三(岩崎書店。98)

志水一夫氏が「アルセーヌ・ルパンの帰還(A)」を取り上げてました。そういえばこのかたと学会の方だったんですね。

「アルセーヌ・ルパンの帰還」は持っていないのですぐ確かめられないんだけど、確かにずるい作品です。戯曲「アルセーヌ・ルパン」ファン向けの作品で、誰がルパンかすぐわかるようになっている(役者バレってやつですね)。でもそれが余り話に関係ないというか、内容はあまりないというか、こじゃれた芝居を楽しむ感じなのかな。戯曲のほうでもルパンシリーズの読者であれば、出てきたらすぐこいつがルパンだと分かるんですけど。(でも、芝居について指摘してたの「アルセーヌ・ルパンの冒険(A5)」のことなんじゃないかと思った)。

注のところでアルセーヌ・ルパンで本を書きたいとあるのはぜひ実現して欲しいです。

2006/06/09

黒岩涙香「無惨」

青空文庫(Web)
図書カード:無惨
http://www.aozora.gr.jp/cards/000179/card1415.html

日本探偵小説の嚆矢だとか。小倉孝誠「推理小説の源流 ガボリオからルブランへ」で梗概が紹介されていたので読んでみたいとおもっていたら青空文庫に入っていた。作品は1889(明治22)年9月に発表されたもので、句読点がないに等しいので読みにくいかと思ったら、文の調子がいいので読みやすかった。ドバ、ドーバーとか「フ失敬な―フ小癪な―フ生意気な」とか言葉が面白い。

「東洋のレコック」になれというレコックはルコックのことで、作中に出てくる仏国の探偵というのはルコックのことを指していたのだと最後に分かる。少年探偵と言う言葉に反応してしまうけれど、大鞆は25、6歳なので、少年というのは若者という程度。

2006/06/08

柴田三千雄「フランス史10講」

岩波新書、2006年5月
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0605/sin_k299.html

□目次
括弧内は各章の年表にある最初と最後の年代。
第1講 「フランス」のはじまり(600-987)
第2講 中世社会とカペー王国(1027-1328)
第3講 中世後期の危機と王権(1339-1498)
第4講 近代国家の成立(1494-1715)
第5講 啓蒙の世紀(1715-1788)
第6講 フランス革命と第一帝政(1789-1821)
第7講 革命と名望家の時代(1814-1870)
第8講 共和主義による国民統合(1870-1914)
第9講 危機の時代(1914-1944)
第10講 変貌する現代フランス(1944-2003)

□感想
文庫か新書サイズでフランスの歴史についての本が無いかと探してたので、ちょうど出た新刊を購入。社会史的な側面を扱っているので少し難しかったけど、時代ごとに区切っているので、内容を掴みやすかった。いろいろ知ったこともあったし。ヴィシー政権のヴィシーが土地の名前(名水で有名)だというのとか。

2006/06/07

新潮文庫:ルパン傑作集

全10巻。翻訳者は全て堀口大學。文庫にはルパン傑作集I~Xとギリシャ数字で書かれているが、表ではアラビア数字にした。「作品No.」は「アルセーヌ・ルパン」作品リストに従う。

シリーズ番号収録作番号タイトル作品No.
1-8135
2-続813
3-奇岩城4
4-強盗紳士1
4-1アルセーヌ・ルパンの逮捕1-1
4-2ルパン獄中の余技1-2
4-3アルセーヌ・ルパンの脱獄1-3
4-4不思議な旅行者1-4
4-5女王の首飾り1-5
4-6ハートの七1-6
4-7マダム・アンベールの金庫1-7
4-8黒真珠1-8
4-9遅かったりシャーロック・ホームズ1-9
5-ルパン対ホームズ2
5-1金髪夫人2-1
5-2ユダヤランプ2-2
6-水晶栓7
7-バーネット探偵社15
7-1したたる水滴15-1
7-2ジョージ王の恋文15-2
7-3バカラの勝負15-3
7-4金歯の男15-4
7-5ベシューの十二枚のアフリカ株券15-5
7-6偶然が奇跡を作る15-6
7-7白手袋……白ゲートル15-7
7-8ベシュー、バーネットを逮捕す15-8
8-八点鐘12
8-1塔のてっぺんで12-1
8-2水瓶12-2
8-3テレーズとジェルメーヌ12-3
8-4映画の啓示12-4
8-5ジャン=ルイの場合12-5
8-6斧を持つ貴婦人12-6
8-7雪の上の足跡12-7
8-8マーキュリー骨董店12-8
9-ルパンの告白6
9-1太陽のたわむれ6-1
9-2結婚リング6-2
9-3影の指図6-3
9-4地獄罠6-4
9-5赤い絹のショール6-5
9-6うろつく死神6-6
9-7白鳥の首のエディス6-7
9-8麦がらのストロー6-8
9-9ルパンの結婚6-9
10-棺桶島10

□メモ
1959-1964年(昭和34-昭和39)に刊行。2001-2004年(平成13-16)に改版されてフォントが大きくなり読みやすくなった。

雅語を駆使した大仰な表現が嵌る人には嵌るが、少しとっつきにくさもある。最初に読む一冊には「八点鐘」がお薦め。一人称にわしは出てこないし、ちょっと古めかしい文体は恋愛物語に合っている。

※2006年4月現在すべて入手可能。

新潮社
http://www.shinchosha.co.jp/
モーリス・ルブラン|新潮社

「アルセーヌ・ルパン」邦訳一覧

□2010/10/04 最終更新

創元推理文庫:アルセーヌ・リュパン・シリーズ他

創元推理文庫ではリュパンシリーズ以外の作品も出版された。18冊目の「リュパンの冒険」まで「アルセーヌ・リュパン・シリーズ」と銘打たれている。「作品No.」は「アルセーヌ・ルパン」作品リストに従う。文庫番号は「107 ○」の形で表記されているものもあるが、現在の表記「M-ル-1-○」で統一した。

文庫番号収録作番号タイトル翻訳者作品No.備考
M-ル-1-1-怪盗紳士リュパン石川湧1
1-1アルセーヌ・リュパンの逮捕1-1
1-2獄中のアルセーヌ・リュパン1-2
1-3アルセーヌ・リュパンの脱走1-3
1-4奇怪な旅行者1-4
1-5女王の首飾り1-5
1-6ハートの71-6
1-7彷徨する死霊6-6
1-8遅かりしシャーロック・ホームズ1-9
M-ル-1-2-リュパン対ホームズ石川湧2
2-1金髪の婦人2-1
2-2ユダヤのランプ2-2
M-ル-1-3-水晶の栓石川湧7
M-ル-1-4-奇巌城石川湧4
M-ル-1-5-リュパンの告白井上勇6
5-1太陽の戯れ6-1
5-2結婚の指輪6-2
5-3影の合図6-3
5-4地獄の罠6-4
5-5赤い絹の肩掛け6-5
5-6白鳥の首のエディス6-7
5-7麦藁の軸6-8
5-8リュパンの結婚6-9
M-ル-1-6-金三角石川湧9
M-ル-1-7-虎の牙井上勇11
M-ル-1-8-カリオストロ伯爵夫人井上勇13
M-ル-1-9-謎の家井上勇16
M-ル-1-10-緑の目の令嬢石川湧14
M-ル-1-11-二つの微笑を持つ女井上勇18
M-ル-1-12-バール・イ・ヴァ荘石川湧17
M-ル-1-13-特捜班ヴィクトール井上勇19
M-ル-1-14-赤い数珠井上勇-非ルパンもの
M-ル-1-15-カリオストロの復讐井上勇20
M-ル-1-16-オルヌカン城の謎井上勇8
M-ル-1-17-ジェリコ公爵井上勇-非ルパンもの
M-ル-1-18-リュパンの冒険南洋一郎3
M-ル-1-19-綱渡りのドロテ三好郁朗-非ルパンもの
M-ル-1-20-ノー・マンズ・ランド大友徳明-非ルパンもの
M-ル-1-21-三つの目田部武光-非ルパンもの
M-ル-1-22-バルタザールの風変わりな毎日三輪秀彦-非ルパンもの
M-ル-1-23-リュパン、最後の恋高野優(監訳)
池畑奈央子(訳)
22
23-1リュパン、最後の恋22
23-2アルセーヌ・リュパンとは何者か?坂田雪子-エッセイ

□メモ
1-18は先行する東京創元社「アルセーヌ・リュパン」全集を文庫化したもの。1965-1966年(昭和40-41)に1-5と18が、1972-1974年(昭和47-49)に6-17が文庫化。1986-1987年(昭和61-62)に、ノンシリーズの19-22が新たに翻訳されて加わった。

フォントが少し読みにくい。個人的には古いというのを差し置いても石川訳は面白みに欠けると思う。翻訳書になれている人は平気かもしれない。

「リュパン、最後の恋」は原作に忠実ではない。

※2007年5月現在の入手可否状況
19-22の「綱渡りのドロテ」「ノー・マンズ・ランド」「三つの目」「バルタザールの風変わりな毎日」は絶版。出版社品切れ作品は09「謎の家」、10「緑の目の令嬢」、11「二つの微笑を持つ女」、12「バール・イ・ヴァ荘」、14「赤い数珠」、16「オルヌカン城の謎」。いくつかはまだ書店の店頭では見かける。

ミステリ・SF・ファンタジー・ホラー|東京創元社
http://www.tsogen.co.jp/
モーリス・ルブラン|東京創元社

「アルセーヌ・ルパン」邦訳一覧
東京創元社:アルセーヌ・リュパン全集

□2009/08/02 リンク変更
□2010/10/26 更新
□2013/07/30 「リュパン、最後の恋」追加
□2013/09/30 最終更新

2006/06/06

「奇巌城」冒頭比較(続き)

「奇巌城」冒頭比較の続き。長くなったので、分けました。

◆◇抄訳・リライト◇◆

■「大宝窟王」三津木春影訳…1912年

 黎子は不図眼が醒めた。耳をそばだてると、何処からともなく怪しの物音が二度ばかり聞えて来る。ハテ、寂然しん寐鎮ねしずまった真夜中に何の音であろう。……だが、漠然ぼんやりとして居て何の音とも判断がつかぬ。この大きな田舎やしきの壁の中から響くのか。それとも邸園の真暗な繁みの奥から聞こえるのか…………。
 で、彼女はそっ寐台ねだいを放れて窓を明けて見た。

■「名作選・怪盗ルパン2 奇巌城」保篠龍緒訳(講談社)…初出不明
はてな 翻訳小説について質問です。
http://www.hatena.ne.jp/1096729048#a23

 カタリ、コトリ……
 どこからともなく聞こえてくる、あやしいもの音に、ふと目をさましたレイモンドは、そっと、ベッドから起き上がると、寝室の窓の戸を、音のしないようにあけた。ま夜中の青白い月の光が、ひろい庭の芝生の上にながれていた。
 と、その光の中を、ひとりの男が、大きな包みをかかえて、タタタタ……と走りさっていく。おどろいて見おくるまもなく、つづいてまたひとり。早い、じつに早い。ふたりのあやしい男のすがたは、たちまち土べいのなかにきえてしまった。

■「奇巌城」菊池寛訳…1928年
青空文庫:図書カード:奇巌城
http://www.aozora.gr.jp/cards/001121/card46187.html

 レイモンドはふと聞き耳をたてた。再び聞ゆる怪しい物音は、寝静った真夜中の深い闇の静けさを破ってどこからともなく聞えてきた。しかしその物音は近いのか遠いのか分らないほどかすかであって、この広い屋敷の壁の中から響くのか、または真暗な庭の木立の奥から聞えてくるのか、それさえも分らない。
 彼女はそっと寝床から起き上って、半分開いてあった窓の戸を押し開いた。

■「海底水晶宮」横溝正史作(翻案)…1932年
引用元:「横溝正史探偵小説選 I」論創社、2008年

 蘭子は寝ぐるしい夢からふと眼がさめた。
 何かしら、恐ろしい、不気味なものが、ベッドのうえからのしかかって、さんざん自分を打ちちょうちゃくしているような夢だった。
 「ああ、いやな夢だった」そう呟きながら、くるりと寝がえりをして、眼をつむろうとしたときだった。ふいにどこからか、一声たかく、
 「ううん!」という呻声がきこえた。
 蘭子は、ハッとしてベッドのうえに起きなおる。夢かしら――いや、夢ではない。
 たしかにこの声できいたのだ。
 不気味な、断末魔のごときうめきごえ。――彼女はそっとおきあがると、寝着のうえにありあわせた絹の外套をひっかけて、窓のそばへよった。

■「奇巌城」南洋一郎文…初出不明(1958年5月初訳。改訂あり)
引用元:ポプラ社・文庫版怪盗ルパン、2005年

「おやっ。」
 白バラのように美しい少女レイモンドは、三階の寝室で目をさますと、じいっと耳をすました。
「あ、また、きこえるわ。」
 しんしんとさびしい真夜中に、どこからか、あやしい物音が、かすかにきこえてくるのだった。
 古い建物のなかかしら……それとも……ひろい庭の木立ちのおくからかしら……毛布をそっとはねのけて、ベッドからすべりおりたレイモンドは、すらりとした白い素足に上靴をつっかけると、こっそりと窓ぎわにしのびよって、しずかに……しずかに、戸をおしひらいた。

■「奇岩城」久米元一(偕成社・怪盗ルパン選集)…1969年
レイモンドの年齢は原作では不明、念のため。

 「あら、あの音は、なにかしら?」
 二十一才のレイモンド嬢は、はっと目をさました。
 ガタッ。
 あやしいもの音は、ふたたびおこった。どうやら、二階の応接間のあたりらしい。
 レイモンド嬢は、すばやくとびおきて、まどのカーテンをひらいた。

■「怪盗ルパン 奇岩城」久米みのる訳(講談社青い鳥文庫)…1997年初出

「あら、あの音は?」
 レイモンドはベッドに寝たまま全身を耳にした。
 ズシン、ズシン、その音は、たしかに二回くりかえされたのだ。深夜の静けさを感じさせる、さまざまなかすかな音とは、はっきりとちがっていた。あまりにも小さな音だったので、いまレイモンドが泊まっている、ド=ジェーブル伯爵の古い城館の分厚い壁の中からか、外の広い庭園のまっくらな片すみからきこえてくるのか、けんとうもつかなかった。
 レイモンドは、そっと起き上がると、いまいる三階の部屋の窓をぐいとおし開いた。

■「奇巌城」逢坂剛訳(講談社文庫)…1999年8月
はてな 翻訳小説について質問です。
http://www.hatena.ne.jp/1096729048#a23

 スザンヌは、はっと目を覚ました。
 物音が聞こえる。二度、三度。ただの物音ではない。何かを動かし、運んでいくような重い物音だった。しかも、屋敷の中だ。
 スザンヌはベッドの上に起きあがり、じっと耳をすました。胸がどきどきしてくる。
 いったい、だれだろう。父のジェーブル伯爵が、家具でも動かしているのだろうか。でも、こんな夜中に模様替えでもあるまい。
 だとしたら、泥棒か。
 そう考えたとたんに、スザンヌはぞっと体をすくませた。……


◆◇英訳◇◆
■「The Hollow Needle; Further adventures of Arsene Lupin」Alexander Teixeira de Mattos訳…初出不明
英訳です。無料で以下のサイトで読めます。「空洞の針・アルセーヌルパンのさらなる冒険」という題がついてますね。引用するにあたって改行を取りました。(ちなみにこの英訳ではショルメスが“Holmlock Shears”ホームロック・シアーズになっています。)
The Hollow Needle; Further adventures of Arsene Lupin by Maurice Leblanc - Project Gutenberg
http://www.gutenberg.org/etext/4017

Raymonde listened. The noise was repeated twice over, clearly enough to be distinguished from the medley of vague sounds that formed the great silence of the night and yet too faintly to enable her to tell whether it was near or far, within the walls of the big countryhouse, or outside, among the murky recesses of the park.

She rose softly. Her window was half open: she flung it back wide.(略)


◆◇原文(フランス語)◇◆
■「L'aiguille creuse」Maurice Leblanc…1909年

Raymonde prêta l'oreille. De nouveau et par deux fois le bruit se fit entendre, assez net pour qu'on pût le détacher de tous les bruits confus qui formaient le grand silence nocturne, mais si faible qu'elle n'aurait su dire s'il était proche ou lointain, s'il se produisait entre les murs du vaste château, ou dehors, parmi les retraites ténébreuses du parc.

Doucement elle se leva.(略)



□更新履歴
2005/09/12保篠氏の翻訳版を発見したので差し替え、原文追加。
2006/06/06平岡敦、菊池寛、三津木春影訳追加。
2006/11/04久米みのる訳追加。
2006/12/04久米元一訳追加。
2008/09/07横溝正史追加。

2006/06/05

「花とゆめ」2006年13号 スキップ・ビート!感想

著者:仲村佳樹

レイノ←ヒト(キョーコ)の名前を呼び捨てにするなー!
尚←ブラック・ショータロー発動! でも暴力は良くないぞ(一瞬やったれ、とは思ったけど)。 キョーコの不利益になる事はしないで欲しいんだけど、ちゃんと考えてるのかな?
蓮←可愛いところあるじゃないか。キョーコがらみになると可愛いところ露呈するんだけど。社さんに一足先にロケ地に行くよう頼んだようです。理由は言わずとも社さんはキョーコの様子見だと分かってるけどね。

未緒という約を大切に高潔に演じているのに、スキャンダルにまみれたくないというキョーコの態度は立派だと思う。同時に敵に弱みを見せてることになるから涙見せたのはやばかったなー。ちょっと心配。表沙汰になりませんよーに。ファスナー壊されてるのかな。あの服のままホテル帰ったらやばいよ。上着着た社さんが来たのは伏線と思いたい。

毎日新聞夕刊「夢枕獏の格闘塾」ルパン対ホームズ (2006年3月28日-4月25日)

「夢枕獏の格闘塾」というコラムはだいたい隔週ペースで連載しているようで、第47回から49回の3回に渡って「ルパン対ホームズ」を扱っていた。夢枕氏の「本朝無双格闘家列伝」を読んだことがあるけれど(面白かったです)、それと同じように、はっきりしてないところは好きに解釈して楽しんでしまおうというエッセイ。

  • その1 柔道対柔術、達人の闘い(2006年3月28日付)
  • その2 立ったまま“腕ひしぎ”を極める(同4月11日付)
  • その3 第三者に無防備な寝技(同4月25日付)

内容はバリツとウデヒシギとルパン対ホームズについてというあたり。ルパンの関連作品はアルセーヌ・ルパンの脱獄(1-3)、金髪婦人(2-1)、ユダヤのランプ(2-2)。記述は創元推理文庫版を元にしている。格闘技についての知識が無いので描写についてはそのまま飲み込むしかないのだけど、面白く読ませてもらった。映画「ルパン」でテオフラストが相手の気をそらせ、みたいなことを言ってるのを思い出したかな。

□関連記事
ルパン:柔術


□2010/02/11
この連載は夢枕獏『薀蓄好きのための格闘噺』毎日新聞社、2007年で単行本化されています。

2006/06/04

ロマン・デュリスのインタビュー

ロマン・デュリスのインタビューを和訳されてるブログがあります。なかなか興味深かったです。他にもフランス映画に関する情報を扱っているブログのようです。

Virginie Ledoyen et le cinema francais
http://green.ap.teacup.com/ledoyen/
(「インタヴュー和訳」というカテゴリ)


「ロシアン・ドールズ」今TVでCMをやってますね。
聞いててロマン・デュリスてかわいい系の声なんだなーと思ったり。
1作目の「スパニッシュ・アパートメント」より面白かったという評も見たことがありますが、さてどうだろう(未見)。

2006/06/01

「Les aventures extraordinaires d'Arsene Lupin」第3巻購入のこと

しばらく前丸の内OAZOの丸善にも店頭在庫があったのを見たけれど、5000円越えてた気がするんですよね。紀伊国屋のほうが安かった。といっても4000円越え。

この全集は全3巻で、各巻の収録作品については→オムニビュス社の3巻本の全集(洋書)にまとめています。各作品の解題と、巻末にアルセーヌ・ルパンシリーズの目録、映像化作品の解説付き。

2巻より3巻を先に買ったのはこの巻末の付録のため。解説のほかに映画化作品などで演じられた歴代ルパンたちの写真も載っているんです。しかも日本人の写真、ルパンに扮する南光明氏の写真が載っているんですよね。ココニ盗賊紳士居住セリみたいなことが書いてある(「金髪婦人(2-1)」でルパンが壁に残したサイン)。「盗賊紳士」っていうのもいいなあ、ワイルドっぽくて。勿論本家フランスのロマン・デュリスの写真もありますし、DVD「ルパン コレクターズエディション」の特典についていたドキュメンタリー「Arsene」で見た顔も。それぞれ1枚ずつだけれど、こうしてみるとロマン・デュリスは断然若い。


オムニビュス社の3巻本の全集(洋書)

KOBE鉄人PROJECTが発足

戦後の復興を背景に生まれた鉄人28号を、阪神大震災から復興する神戸市長田区のシンボルにしたいというプロジェクトが発足したらしいです。2006年6月17日(土)から7月2日(火)まで新長田アートギャラリーで「神戸から生まれた永遠のヒーロー 鉄人28号特別展」(入場無料)が開催予定。「横山光輝記念館」誘致なども計画にあるようです。

KOBE鉄人PROJECT
http://www.kobe-tetsujin.com/

鉄人28号を復興のシンボルに…阪神大震災の被災商店街 : 経済 科学 ピックアップ : 関西発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/eco_news/ec60525a.htm
産経関西、「鉄人28号」50周年 神戸でプロジェクト
http://www.sankei-kansai.com/a5-yomoyama/yomoyama-052601.htm
「鉄人28号」を復興の象徴に 新長田の地元有志ら
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000037796.shtml


横山光輝氏は神戸市須磨区のご出身です。略歴については神戸新聞の連載で紹介されています。
神戸新聞Web News:行け!鉄人 横山光輝の50年
http://www.kobe-np.co.jp/rensai/200601yokoyama/index.html

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