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2006/05/13

未来の船・プロヴァンス号 - アルセーヌ・ルパンの逮捕(1-1)

関連作品:アルセーヌ・ルパンの逮捕(1-1)、映画の啓示(12-4)

100年前のフランス雑誌ということで「ジュ・セ・トゥ」の記事をを紹介しているブログがある。「ジュ・セ・トゥ」はアルセーヌ・ルパンシリーズが掲載された雑誌なので、たびたび読んでいるのだけど、5月5日の記事で大西洋航路のプロヴァンス号の処女航海について取り上げている。プロヴァンス号はアルセーヌ・ルパンが初舞台を飾った場所である。

ちょうど100年前のフランス雑誌瞥見 大西洋航路の「プロヴァンス」号
(元になっているのは「ジュ・セ・トゥ」1906年6月号の記事)
http://france100.exblog.jp/2049153/


解説を見て驚いた。解説に拠れば1906年4月21に処女航海を行ったとあるのだけど、プロヴァンス号が舞台のルパン初登場の短編「アルセーヌ・ルパンの逮捕」の発表は1905年7月号だから。モーリス・ルブランはまだ未完成の船を舞台として選んだのだ。

建造開始は1905年3月。実は「ジュ・セ・トゥ」の1905年4月号で「プロヴァンス号の開始」として、記事が掲載されている。雑誌「ジュ・セ・トゥ」でも扱われているのだから、各種の新聞でもプロヴァンス号の建造について取り上げていただろう。ルブランは大西洋航路の新たな担い手として期待されていたプロヴァンス号を格好の舞台と思ったのだろう。乗客1500人ということはかなり大きなまさに豪華客船だったようだ。大きさは全長190m、最大幅19m70、喫水から甲板までの高さが8m15。


□乗船期間について
もう一つ面白かったのはル・アーヴル、ニューヨーク間の航海を6日と7時間で成し遂げたこと。私のメモでは「アルセーヌ・ルパンの逮捕」において、ル・アーブルからニューヨークまで7日かかっている。プロヴァンス号の完成前には7日で到着すると宣伝していたのかもしれない。でも実際には6日で到着したのだ。

この当時大西洋航路では、ブルーリボン(Blue Riband)をねらって大西洋横断の最速記録を競っていた。プロヴァンス号は速さを競った船ではないが、十分な速さの船だったと考えられる。
ブルーリボン
http://ww3.tiki.ne.jp/~awata-a/sub1/blue-riband.htm

なお「アルセーヌ・ルパンの逮捕」の時系列は次のようになっている。

  • 1日目 ル・アーブルを出港
  • 2日目 ルパン乗船との無線が入る。フランスからの無線が途切れる
  • 3日目 ルパン探しが始まる。ロゼーヌ氏出頭
  • 4日目 ロゼーヌ氏釈放
  • 5日目
  • 6日目 アメリカからの無線が届き始める。ロゼーヌ氏何者かに縛られる
  • 7日目
  • 8日目 ニューヨーク到着

のべ8日間という期限付きの密室というのがこの作品のアクセントになっている。今なら通信衛星もあるし、連絡が途切れるということは殆どないだろうけれど、この時代では無線電信は最新の設備だった。ルパンシリーズは科学技術の発達とその未来ともにあったのだなあと実感する。


□その後のプロヴァンス号
プロヴァンス号の生涯は1916年第一次世界大戦期に終わる。

La Provence
http://www.greatships.net/provence.html
このサイトによればU35(潜水艦Uボート)に攻撃され沈没させられたらしい。U35の指揮官はアーノルド・ラ・ペリエール(Arnauld de la Pereire)で、皮肉にもプロヴァンス号を建造した会社(CGT)の創設者の遠い親戚だったとある。確かにCGTの創設者もPereireという名字だったようだ。
ローター・フォン・アーノルド・ラ・ペリエール - 通信用語の基礎知識
http://www.wdic.org/w/MILI/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AB
遠洋定期船・French Line編
http://www.interq.or.jp/white/ishiyama/column43-3.htm

ルパンシリーズでは『八点鐘』中の短編「映画の啓示」で、ヒロイン、オルタンス・ダニエルの妹ローズ=アンドレが失踪後予約をしたものの乗船しなかった船として再登場する。この話は第一次世界大戦前が舞台となっているが、発表時(1923年)には既に存在しない船だったのである。

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