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2006/05/08

ドキュメンタリー「Arsene」感想

映画「ルパン」の初回限定版DVD「ルパン コレクターズ・エディション」の特典ディスクに収録されている。このドキュメンタリーは2000年にフランスで制作されたもの。

Fiche programme ARSENE, professionnels de l’audiovisuel, Artepro.(フランス語による紹介文)
http://www.artepro.com/programmes/51624/presentation.htm
A la poursuite d'Arsene Lupin(フランス語による紹介文。上から2つ目)
http://archives.arte-tv.com/thema/arsene/ftext/program.htm
ARSENE LUPIN - TV France International - french tv distributors(英語による紹介)
http://www.tvfrance-intl.com/tvfi/direct_programme.php?cmd=search&id_prog=18590

内容は、
・ルパンの生涯をたどりつつ、作品をなぞり、
・ルパンの過去の映像化作品を織り込みつつ、イメージ映像を作り上げ、
・作家ディディエ・ブロンド(Didier Blonde)、歴史学者ドミニク・カリファ(Dominique Kalifa)両氏の解説がはいる。
といった感じ。解説はちょっと難しめ。


□ルパンの生涯について
ルパンが何年に何をしたかというのは、おそらくはAndre-Francois Ruaud氏の年譜を元にしているんじゃないかと思う。ルパンとルブランが出会った年代などが同じだから。年代についてはいずれ確かめたいと思うけれど、難しいだろうなあ。ルパンシリーズには作品の中で年代が判明しているものと、作品からは分からないものとがあるので。ルパンとルブランが出会う年代は後者。
Arsene Lupin : chronologie d'un gentleman-cambrioleur(フランス語。Ruaud氏のサイト)
http://captainbooks.free.fr/articles/lupin.html
Arsene Lupin Timeline by A.-F. Ruaud (英語)
http://www.coolfrenchcomics.com/arsenelupintimeline.htm

Ruaud氏の年譜は集英社文庫「アルセーヌ・ルパン」に掲載されている年譜と年代が異なる。「アルセーヌ・ルパン」エピソード年表参考。

ドキュメンタリーにはところどころルパンシリーズの引用(朗読)があるけれど、どの本から引用されているのか全部分かったとしたら相当のルパン通かも。全部は分からなかったかなあ。ドキュメンタリー見た後思わず偕成社の「虎の牙」を注文してしまった。ペレンナがアルセーヌ・ルパンについてのインタビューに答える下りは「虎の牙」の偕成社版にあって創元推理文庫にない箇所だから。


□映像について
本物と偽者がない交ぜになっていていい具合にはぐらかされる感じ。イメージ映像やイメージ画像が多いけれど、エトルタの風景は本物。あと、モーリス・ルブランの写真とルパンのいくつかの映画と。映画については見たことがない作品だったので新鮮だった。手品シーンのトランプがハートの7だったりするのも嬉しい。
どの作品が引用されているかについては以下にまとめた。
ドキュメンタリー「アルセーヌ」の引用映像について


□解説について
解説者が2人いるので、いくつかの面から解説されていた。興味があったことも出てきて、いろいろ調べてて良かったと思った。ルパンは「パリの秘密」のロドルフや怪盗ロカンボールなどフランスの大衆ヒーローの系譜を引いていると言ってたけど、この2人を描いた作品読みたいんだよねえ。興味があったので最近「『パリの秘密』の社会史」を読んだけど、作品は現在ではほぼ読めないので復刊希望。ロカンボールは日本では作品そのものより映画のほうが有名かもしれない。翻訳はないはず。

作品の鑑賞の面ではやっぱりフランス語を知らないと分からないこともあるんだなあと思ったり。現代の人間にとってルパンシリーズに描かれる愛国心は理解しがたいものがあるが、過度の描写はないと言っていたが、このドキュメンタリーを見た後、持ってなかった「オルヌカン城の謎」を注文したけれど、確かにそうかもしれないと思った。第1次世界大戦中に書かれたものなのでいろいろ難しい面もあるけれど(「三十棺桶島」のほうがむしろ問題があるかも)。ルパンの変名についてラウール・ダンドレジー的なものとアルセーヌ・ルパン的なものに分かれると言ってたのは面白かった。


□その他
作品のネタバレになってしまうけれど、一箇所誤訳を指摘しておくと、字幕ではジュヌヴィエーヴという名前の女性との間に子供をもうけたようになっていたのが誤りで、生まれた子がジュヌヴィエーヴという名前なのです。

□2006/06/30追記
小倉孝誠「推理小説の源流 ガボリオからルブランへ」や「近代フランスの事件簿」の参考文献にディディエ・ブロンド、ドミニク・カリファ両氏の名前が見える。両者ともベル・エポック期の犯罪小説に関する著書を発表しているようだ。

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