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2006/04/30

映画「ルパン」:ボーマニャンと王党派

映画「ルパン」に出てくる財宝を狙う一派に王党派がいる。自ら支持する王の子孫を再び王位に付けて、大げさに言うなら国家転覆を図ろうとする集団である。そして、ボーマニャンはその一員である。というよりも協力者というべきだろうか。

これはてっきり映画のオリジナル設定だと思っていたら違っていた。原作のジョゼフィーヌに拠ればボーマニャンは野心家だと言うが、ボーマニャンの野心とは何に対してなのか?財宝を何に使うつもりだったのか?というのははっきり示されていない。しかし最後になって王党派グループと親交があったと明かされるのだ。パリの新聞でこう報道される。(引用はハヤカワ文庫「カリオストロ伯爵夫人」)

王党派の活動家サークルで有名な弁護士ボーマニャン氏が、今朝(略)自殺をとげた。


原作ではボーマニャン自身が王党派というわけではなく、後ろ盾に政治上の大物がいるように書いてある。ボーマニャンの仲間が田舎貴族ばかりなのも後ろに王党派がいるからだと考えるとうなずける。田舎貴族のグループでは指図する立場にいられたけど、王党派の上流貴族に対しては弱い立場だったのかもしれない(というより余程のことがない限り弱い立場だったり、見下されたりしただろう)。しかし、財宝を素直にパトロンに謙譲しただろうか?というとそうは思えない。ついでにボーマニャンが弁護士と発表されているけれどこれも何か裏がありそう。

また、原作はノルマンディという田舎が舞台たけど、映画は主にパリが舞台だ。パリとなると当然親玉の王党派が出てくるわけである。当然といえば当然だけどこういうところ映画「ルパン」は凄いな。原作の細かいところに気づかせてくれてるから。


王党派についてはピンとこないけれど、整理するとこういう歴史がある。まずフランスは18世紀末までは王政(ブルボン朝)だった。

1789年 フランス革命で王政が倒される。→第一共和政
1804年 ナポレオンが皇帝の地位に立つ。→第一帝政
1814年 王政が復活する(ブルボン朝)。→王政復古
1830年 七月革命によりルイ・フィリップが王につく(オルレアン家)。→七月王政
1848年 二月革命によりルイ・フィリップ失脚。 →第二共和政
1851年 ナポレオン三世が皇帝に即位。→第二帝政
1870年 普仏戦争によりナポレオン三世失脚。→第三共和政

映画「ルパン」と原作「カリオストロ伯爵夫人」の時代は19世紀末。以上のように19世紀は目まぐるしく政治のトップ(政治形態)が変わっていて、トップから転落したあとでも、それぞれの支持勢力がひしめいていた。王政支持者は王党派(ブルボン王朝支持とオルレアン家支持に分かれている。映画に出てくる王党派は後者)、ナポレオン支持者はボナパルト党という風に。もちろん共和国政府はそれらの存在を疎ましく思っているわけで(映画にも少し描かれてる)。これ以外にも社会主義の台頭やアナーキストの存在があって、後者は時折爆破テロを起こしていたらしい。映画のジョゼフィーヌはこの勢力になるのだろうか(彼女の思惑は分からない)。原作だと政治の裏(ブーランジェ事件など)に関わっているようにも書かれているが、実体はどうだったのか分からない。

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