« 「南総里見八犬伝」3巻まで読了 | トップページ | 雑誌「ミステリマガジン」2005年11月号 洋書案内 「Les aventures extraordinaires d'Arsene Lupin」3巻本の全集 »

2006/01/18

ミシェル・ラミ「ジュール・ヴェルヌの暗号」

副題:レンヌ=ル=シャトーの謎と秘密結社
高尾謙史訳、工作舎、1997年
ジュール・ヴェルヌの暗号
http://www.kousakusha.co.jp/BOOK/ISBN4-87502-291-3.html
ジュール・ヴェルヌの暗号/詳細
http://www.kousakusha.co.jp/DTL/verne.html

□概要
ジュール・ヴェルヌの作品を通し、ヴェルヌとレンヌ=ル=シャトーの謎の関係を探る。

□メモ
第3部 第1章の中の『綱渡りのドロテ』の項と、第3部第2章の「ヴェルヌとアルセーヌ・リュパンの秘密」でモーリス・ルブランについて触れられている。

□感想
ジョルジュ・サンドとジュール・ヴェルヌの文学史的な関係など、神秘学的要素を差っ引いても興味深かった。ジュール・ヴェルヌの作品は日本で全部が翻訳紹介されている訳ではないので、こんな作品もあるのかという点で面白かったかもしれない。秘密結社がらみについては理解できなかったが図や写真などが掲載されているのはありがたい。ヴェルヌの作品についてはエッツェルという人物(ヴェルヌの作品はエッツェルの元で出版された)が鍵を握る。

この本を読んでいると、ヴェルヌ作品が読みたくなる。触れられている中では「アンティフェール船長の冒険」が一番読みたい。もともとタイトルから「奇巌城」に出てくる地名のアンティフェール岬を連想していて読みたかったのだけど、より興味を引かれたから。今のところ入手可能な訳本が出ていないのが残念。


ガストン・ルルーの「黄色い部屋の謎」に出てくる「司祭館」の言葉はジョルジュ・サンドの書簡を変えたもののようだ。でも韻を外しているらしい。ちょっと横道をそれるけれど、調べついでにメモ。
・「司祭館」の文句の原文は
"le presbytere n' a rien perdu de son charme ni le jardin de son eclat."
・サンドの原文では「その魅力(son charme)」 ではなく 「その清潔さ(sa proprete)」 という語が用いられていた。
・「老眼鏡(binocle de presbyte)」という言葉と「司祭館(presbytere)」という言葉が呼応している。
フランス・ミステリ通信1
http://www1.speednet.ne.jp/~ed-fuji/X03-frenchmystery1.html
第1作「黄色い部屋の謎」(黄色い部屋の秘密)
http://www.asahi-net.or.jp/~pc4y-ktu/yellow.html


ルパンシリーズのなかで直接ヴェルヌへの言及はないけれど、影響を受けている可能性はあるのだなあと思う。エトルタ(Etretat)という地名の中に国家(etat)のという単語があると考えるのはなかなか面白い。名詮自性。

同種の研究本からの引用として、レンヌの村に「Ad lapidem(略)」と刻まれた石があったらしい。この文句が何かというと「カリオストロ伯爵夫人」に出てくる暗号なのだ。著者はこの情報には懐疑的であるらしく、私もそう思う。尤もこの本自体が注意を要するわけだけど。まじめに捉えるなら可能性として1.以前からあった。2.後になって誰かが立てた。3.もともと存在しない。など考えられるけど2ならルパンファンの仕業だなとほほえましく思う。

それからこの本のおかげかハヤカワ文庫「カリオストロ伯爵夫人」で一箇所誤訳を発見しまして。「女王(Reine)のドルメン」となるべきところが、「レンヌ(Rennes?)のドルメン」となっている。意味深な誤訳だなあと思った次第。


□補足(2006/05/07)
この本で著者は次回作でルパンを扱いたいと言っているが実現していない。しかしレンヌ・ル・シャトーがらみの本は2冊出ているようだ。前者はこの本のあとがきで紹介されている。
・FERTE Patrick
ARSENE LUPIN SUPERIEUR INCONNU, La cle de l’oeuvre codee de Maurice Leblanc.
Ed. Guy TREDANIEL - Paris (1992)
(パトリック・フェルテ「知られざる高位者アルセーヌ・ルパン」)
・FACON Roger
LES DOSSIERS SECRETS DE MAURICE LEBLANC PERE D’ARSENE LUPIN
Ed. SAVOIR POUR ETRE - Bruxelles (1994)
(「アルセーヌ・ルパンの父モーリス・ルブランの秘密ファイル」)

参考リンク
レンヌ・ル・シャトーの謎
http://www.voynich.com/rennes/index.html

« 「南総里見八犬伝」3巻まで読了 | トップページ | 雑誌「ミステリマガジン」2005年11月号 洋書案内 「Les aventures extraordinaires d'Arsene Lupin」3巻本の全集 »

アルセーヌ・ルパン」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/54863/8221088

この記事へのトラックバック一覧です: ミシェル・ラミ「ジュール・ヴェルヌの暗号」:

« 「南総里見八犬伝」3巻まで読了 | トップページ | 雑誌「ミステリマガジン」2005年11月号 洋書案内 「Les aventures extraordinaires d'Arsene Lupin」3巻本の全集 »

案内

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

アルセーヌ・ルパン

スキップ・ビート!

鉄人28号

つぶやき

無料ブログはココログ