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2005/11/21

「ルパンに喰われた男 モーリス・ルブラン」2005年11月18日放送

「世界・時の旅人」というシリーズでNHK・BSハイビジョンで放送。
予告→NHK・BSで「ルパンのいたパリ-モーリス・ルブラン-」放送予定
R
同内容が11月23日23:00からBS2でも放送されます。

家ではBS見られないので某家電量販店で見た。10時閉店だったのでエンディングは最後までは見られなかった。(後ろに店員さんが控えていたのでね。私がずっと見てた薄型テレビは売れ筋賞品らしい。確かにいいなあとは思ったけど)

旅人は豊川悦司さん。ルパン派だそうで、確かにルパン好きなんだなーと思った。服装がなんとなく「奇巌城」に出てくるイジドール・ボートルレ(高校生探偵。紅顔の美少年)のイメージだった。ボートルレは姿なきアルセーヌ・ルパンを追いかける役だから、姿なきモーリス・ルブランを追うという点で一致するし、途中で自転車に載ってやっぱりボートルレだと思い、エンディングで(ありきたり演出だけど)ルパンが出てきてボートルレ決定的になって嬉しくなった。


最初に訪れた品揃えがいいという古書店はモーリス・ルブランの棚があって「ジル・ブラス(Gil Blas)」紙(この新聞名は「ハートの七」に出てくる)などがあった。ルブランの投稿タイトルは「死の美学」…ちょっと暗いかも。店内を映したシーンで「L'AURORE」紙の「J'accuse...!(私は告発する!)」の文字が。やはり有名な出来事のだろう(この新聞名は映画「ルパン」に出てくる。同じフォントだった)。この店は店舗はあまり大きく見えないけれど、地下がすごい。どこまでも続いてそうだ。あれを把握している店員さんも凄いな。番組の紹介文に“ルパンシリーズの第一作が掲載された雑誌「ジュ・セ・トゥ」を見つけた”とあったので簡単に見つかるものなの?と思っていたけれど納得。6という数字は通算6号という意味で年月でいうのなら1905年7月号。

豊川さんがインタビューをしていたのはプシャンさんという方。プシャンさんについて調べたらヴィクトル・ユゴーの研究をしててノルマンディー出身と言っていたので、Gerard Pouchainさんでビンゴだろう。「Promenades en Normandie avec Maurice Leblanc et Arsene Lupin」(訳すなら「モーリス・ルブランとアルセーヌ・ルパンと歩くノルマンディーの道」か)という本を出している。アマゾンには本の画像がないけれど、下のURLでは本の表紙が見られる。
Amazon.fr Livres : Promenades en Normandie avec Maurice Leblanc et Arsene Lupin
http://www.amazon.fr/exec/obidos/ASIN/285480354X
SUR LES PAS D'ASENE LUPIN
http://www.sequana-normandie.com/artistes/leblanc.htm


それから古い自転車を借りてきてノルマンディーを旅する。モーリス・ルブランはあちこち自転車で回っていたらしい。若いルパンもボートルレも自転車で走り回っている土地。起伏があって自転車で回るのはつらそうだけど、気持ちよさそう。「人生はすばらしい」と思う気持ちも分かる。

ルブランの生家はルーアンのフォントネル通り2番地。その後何度かルーアンの市内を引っ越したらしい。ルブランが通った喫茶店で、モーパッサンも通ったのがあるのはゴンヌヴィル。喫茶店のオーナーの女性はルブランが通っていた頃を知っているらしい。ゴンヌヴィルは「奇巌城」にもボートルレの通過点として名前だけ出てくる。

ジュミエージュ修道院は映画「ルパン」にも出ていたところ。ルブランの思い出の土地はあのように廃墟なのだけど、映画では現役の修道院として出ていた。ルブランは近くにある叔母の家を良く訪れていたそうだ。修道院は石造りで塀かと思うようなところが実は昔屋根があったとすると、かなり大きかったのでは。廃墟という言葉からイメージするよりは怖くなさそう。ルブランはジュミエージュの廃墟について以下のように書いている。(「アルセーヌ・リュパン 怪盗紳士の肖像」ジャン=クロード・ラミ、大友徳明訳、東京創元社)

廃墟に入り混じる自然の美しさと、自然を現在に結びつける過去の美しさとが、そっくりわたしの目の前に広がっていた。われわれは誰でも、その生涯に、自分の美的感動を呼び起こしてくれるいくつかのイメージを持っている。わたしの場合、自分の感受性の奥底に、ジュミエージュの廃墟ほど目のくらむような威圧的イメージを残しているものはない。


最後に訪れたのはエトルタ。浜辺のあたりは「八点鐘」の「テレーズとジェルメーヌ」の舞台で、浜に立てられた小屋で殺人が起きる。沖はあまり遠浅ではないような感じ。そこから左奥に見えるのが「奇巌城」。夕日をうけた奇巌城はきれいだった。

ルパン荘。エトルタにあるこの建物はもともとルブランが買った別荘で人手に渡っていたものをお孫さんが買い戻したもので一般公開されている。ルブランの書斎が再現されていたり、ルパンの隠れ家を各部屋ごとにコンセプトを分けて再現しているようだ。ダ・ヴィンチのジョコンダ(モナ・リザのこと)も勿論あった。シルクハットとマントも。確かにベッドが小さかったけど、でも昔の人って今のように手足伸ばして寝なかったと聞くし、あの大きさから身長を図らないほうがいいのだろう。豊川さんって186cmもあるのか。きっとルパンはあなたより低かったよ。


ということでノルマンディの旅を堪能してしまった。冒頭で映画「ルパン」のシーンが見れてよかった。番組内で言われていたルブランの執筆状況や生涯についてちょっと懐疑的に思ったところもあるんだけどね、メモ取れなかったので指摘しないけど、ああいうのって言葉のマジックだから。ルブランに関する日本語の本がないのが痛いな。BGMはルパンIII世のが使われてたけど、アレンジが好きじゃないし、パリはまだしもノルマンディーの牧歌的雰囲気や陽気さとミスマッチ。どうせなら金曜ロードショーの曲も流せばよかったのに(夕日で灯台のやつ)。あとナレーションとかぶせているのは聞き取りにくくて戴けなかった(私の視聴環境がよくないせいもあるが)。豊川さんって手がきれいだ。ハイビジョンなのにあの美しさはすごいと感心してしまった。


□2008/01/06追記
番組に登場した古本屋
Toute la presse ancienne, La Galcante(仏語)
http://www.lagalcante.com/

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コメント

はじめまして、私はルパンの研究をしている者です。私もこの番組を観ました。ちょっと不満があるものの、取り上げて頂けたことだけでもあり難く思います。おお!そういえば番組の中で、私とルブランの孫娘のツーショット写真の頭の部分だけが写っていました(笑)。因みに我が家にはルパン資料室があり、「ジュ・セ・トゥ」は販売当時のままの状態でルブランの作品が載った号なら全て3セット収蔵している他、合本ではルパンが掲載されていたころの号は創刊号からあります。初刊本やレオ・フォンタン等が表紙を手掛けた普及版やラッフィット社の表紙絵付き廉価版シリーズも全てあります。この他、ル・ジュルナルやエクセルスィオール、ロート等も結構ありますし、テレビ化作品全作(仏加合作アニメの含む)や仏米のトーキー版ルパン映画も全てあり、公開当時のポスターやスチールも多数所蔵しており、これらの資料を用い、ルパン展をやるはずでしたが、ヘラルド映画の担当者が何度と無く約束やアポイントを守れず、私のほうが怒ってしまい実現しませんでした。そこでせめてものつぐないとして、「ミステリマガジン」に「壊れた橋」のテキストを提供した他、解説も執筆いたしましたし、DVDボックスには書き下ろしで新情報を毎回提供しておきました。解くにボックス5と6にはルパンシリーズの出版史をルブランの生涯も交えて紹介した他、いまでもあたりまえのように語り継がれている(一部は人名事典じまで!)ルブランの間違いだらけの伝説に関してその真実を日本で初めて紹介しましたので、機会がありましたら是非ご一読下さい。

はじめまして。お名前は存じてます。「壊れた橋」はネットで調べてその存在を知っていたので、読めて嬉しかったです。展示企画があったのですね。流れてしまったのは残念でした。もっともそれら資料は今の私には猫に小判な存在かも知れません。現在ルパンシリーズの面白さを再発見したところなので、ルブランについても少しずつ知っていければいいなと思っています。

DVDボックスというのはジョルジュ・デクリエールのテレビシリーズのことですよね。見かけることはあるのですが値段的に手が出せなくて、表紙を眺めるにとどまってます。過去の邦訳書などに断片的にある情報は信頼できるのか図りかねて困っていたので、余裕が出来たら5,6を中心に購入したいと思います。

そうです、そうです。デクリエールのDVDです。たまたま彼やルブランの遺族と交流があったので書くことになりました。因みに私が書いたのは・・・第1巻の「テレビ・(ルパン・)シリーズの歴史」(ルパンのテレビ・シリーズを手掛けたプロデューサーの苦労話や放送当時の逸話に加え、テレビドラマ化された作品について書きました)、第2巻の「ルパンのモデルたち(1)」、「ルパン荘の歴史」、第3巻の「ルパンのモデルたち(2)」、第4巻の「南洋一郎とルパン」(南洋一郎がルパンを手掛けた頃の逸話の他、ルパン全集以前に南が自作にルパンを登場させた幻の作品等を紹介)、第5巻の「アルセーヌ・ルパン シリーズの歴史(1)」、第6巻の「アルセーヌ・ルパン シリーズの歴史(2)」、「ルパン、ルブランの伝説とその真実」、「デクリエール・ルパン・グッズ紹介」で、この他、各DVDのコンテンツとして役者の紹介や、私が撮影した写真等が収録されています。また、ルパンのモデルたちで紹介した怪盗ラッフルズの邦訳本の3冊目「最後に二人で泥棒を」にルパンもからめた16ページの解説も書いていますので、合せて御笑覧頂ければと存じます。

詳しく教えていただいてありがとうございます。購入する時の参考にしたいと思います。
ラッフルズシリーズは現在少しずつ読んでいるところなので、3冊目もぜひ読みます。

ラッフルズ、既に読みはじめておられましたか・・・。しかし、あの翻訳は本当に最悪で誤訳もあれば抄訳箇所もあって、原作の面白さを半減とわ言わないまでも、かなり損なわせてしまっていると思います。昔の田中早苗訳で読んだ方がずっと面白いです。ラッフルズ・シリーズには原作をベースにしながらより面白く脚色したテレビシリーズがあってカナダやイギリスでは既に全話収録のDVDセットが発売されていて、根強い人気があり、是非とも日本でもこのシリーズを放映して欲しいものだと思っているところです。

ラッフルズのドラマが日本でも見られるようになるといいですよね。私は先にルパンを見なくちゃですが。

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