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2005/10/26

ルパン:柔術

映画「ルパン」では柔術は出てこないので原作のみ。

ルパンは「アルセーヌ・ルパンの脱獄」でガニマール相手に柔術を披露している。他に「カリオストロの復讐」でフェリシアンが柔術を使っている。興味深いことに、「アルセーヌ・ルパンの脱獄」(初出1906年)の時には日本という単語が前後に出て日本の武術だということが分かるようになっているのに、「カリオストロの復讐」(初出1935年)では柔術と言う言葉が単体で使われるようになっている。フランスへの浸透ぶりが見えるかのようだ。

この柔術(日本では柔道という言葉のほうが一般的)は嘉納治五郎によって1889年にフランスにもたらされたらしい。パリ万国博覧会、エッフェル塔の建設もこの年。ということでルパンが柔術を習得しておかしくはない。「カリオストロ伯爵夫人」でルパンがテオフラストから習ったと語った日本流武術が柔術だとすると、テオフラストから習ったとするには少し新しい(テオフラストが亡くなったのは1880年以前と推定される)。「アルセーヌ・ルパンの脱獄」では柔術が一般的になる前に日本の格闘技を教えてた、とあるし。でも、まあ、柔術としたいじゃないですか。だから柔術ということで決定!(私的には)

SportsClick 柔道
http://www.sportsclick.jp/judo/01/index32.html

フランスに於ける柔道普及の経緯についてですが、その基盤は、ひとえに我が日本人柔道家の苦労と努力によって形成されたと言えます。
 柔道の海外進出の歴史を紐解いて見ましょう。その最初の担い手は、明治22(1889)年10月15日、マルセイユに普及の第一歩を記した若き日の嘉納治五郎師範(当時満29歳)、その人でした。その後、普及の拠点はパリに移動しました。


興味深いページを見つけた。
フランス語になった日本語
http://www.geocities.jp/bourgognissimo/Bourgogne/1ARTL/BR_046_2.htm

このページによると、柔術(jiu-jitsu)の初出は1906年。柔道(Judo)の初出1931年よりかなり早い。そして、jiu-jitsuが出てくる「アルセーヌ・ルパンの脱獄」の初出は1906年1月!(むしろ初出をこの用例からとってる?) もちろんそれ以前に口頭では使われていたのだろうけれど当時最新の言葉だったことがわかる。嘉納氏が1889年に柔術を紹介しているからもっと早い用例があるかもしれない。それとも、別の名前で呼ばれていたのだろうか。「アルセーヌ・ルパンの脱獄」では警視庁でも柔術を採用していたとあるし、割と知られているように書かれていると思う。ちなみに空手の初出は1956年でルブランの死後。ルパンは空手を使っていない(※)。


じゃあ、ホームズのバリツは?と思うわけで。
バリツ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AA%E3%83%84

バリツとは、柔道(または柔術)のことであるというのが通説となっている。当時、バートン=ライト(E.W.Barton-Wright)という人が日本の柔術の技法を取り入れた護身術を"bartitsu"と名付けてロンドンで教えており、雑誌に記事を掲載していた。その雑誌にはドイルも小説を掲載していたので、ドイルがその記事を読んでいた可能性は高く、"baritsu"とは"bartitsu"の誤記であるとする説が有力である。

ということらしい。バリツの初出は1903年発表の「空き家の冒険」。バートン・ライトが記事を掲載していたのは1899年から3年間の間だそう。


□2006/05/23追記
※「空手」は原文には存在しないが、日本語訳では存在する。ハヤカワ文庫の「謎の旅行者(1-4)」より

片手で攻撃をかわし、もう一方の手で男の頚動脈に強烈な一撃を加える。いわゆる空手チョップという技だ。男は卒倒した。

この箇所の「空手チョップ」は実は原文では「頚動脈へのフック」となっている。どうして空手と訳したのだろう?と思っていたら、アルセーヌ・ルパンサイトを公開されている方のブログで頚動脈の発音「カロティード」と「カラテ」を掛けて訳しているとあって納得した。フランス語の原文で読んだ感想など書いてあるので参考になる。

ペレンナのアルセーヌ・ルパン・ブログ 《Le Mysterieux voyageur》を読み終えました。 samedi-20-mai
http://vingt.exblog.jp/2234523/

因みに偕成社文庫、岩波少年文庫でも「空手チョップ」、新潮文庫は「頸撃ち」と訳されていて、創元推理文庫はこの言葉を訳していない。ポプラ社文庫版も記述に省略があるが「空手」という言葉を使っている。

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