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2005/08/30

ガストン・ルルー「黄色い部屋の謎」長島良三訳

集英社文庫・乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10(2)
http://www.s-book.com/plsql/com2_detail?isbn=4087488306
※「黄色い部屋の謎」は、ポーの「モルグ街の怪事件」とドイルの「まだらの紐」のネタばらしをしているので、両作品を読んでいない人が読むのは要注意です。


ジョゼフ・ ルールタビーユ(本名:ジョゼフ・ジョゼファン…ジョジョ?)は18歳の新聞記者。喫煙しているし、本当に18歳かとちょっと疑いたくなる。初陣は16歳と6ヶ月。事件を解決したことによって現在の職を得たんだけど、その<オペルカンプ街事件の左足>の様子を想像すると怖い。

この少年探偵の存在を受けてルブランが「奇巌城」において少年探偵イジドール・ボートルレを登場させたとされているけれど、ボートルレ少年が初登場時丈足らずの背広を着ているのは少年記者という存在に対するルブランの揶揄なのかも、と思ったり。ただ私はその描写があってこそボートルレを応援したくなったのだけど。

さて内容はというと、前半はひたすら長く感じる。思わせぶりすぎるのと私は推理しながら読むタイプではないから、なかなか明かされない謎にちょっと飽きかけたのもある。話の中で計3つの事件が起きるのだが、途中断片的に出た過去の出来事のいくつについてかの解明がすっきりしているので安心して結末を待てた。最後に明かされたその謎解きについては、私はすっきりした(とはいえ、私の頭の中に浮かんだ可能性の1つだったぐらいなので、拍子抜けする人もいるかもしれない。でもこの作中に流れる悲劇性がトリックを納得させる効果を持っていると思う)。作為的ではないのもよかったと思う。あと、“ヴィドック”という人物の影響がここにもあるのか、と感じた。

最後はすっきりしない雰囲気で終わっている。最後に明かされた事実について、やっぱり…そうだったかと思った。そうだったかと思った部分はどうやら第2作「黒衣夫人の香り」(黒衣婦人の香り)で詳らかになる模様。でも困ったことに現在ハヤカワ文庫の翻訳しか入手できない上、ハヤカワでは「ルウルタビイユ」となってるんだよね。違和感に慣れるかどうか。

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読むのに結構時間がかかりましたが、推理小説好きとしてはぜひ読んでおかねばという使命感にかられて読了しました。 『黄色い部屋の謎』 ガストン・ルルー “推理小説歴代ベス [続きを読む]

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