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2005/08/28

「奇巌城」読み比べ(その1)

■読んだ本の一覧

という順番で読みました。昔ポプラ社「奇巌城」(南洋一郎文)、偕成社「奇岩城」(長島良三訳)とを読み、また逢坂版を買ったときにも読んでいるはずですが、結構忘れてました。

■逢坂剛版
謎解き、救出劇、迫り来る警官隊を控えながらの演説などドキドキ感はそのままで、イジドール少年の1人称でかかれています。逢坂版は原作からの改変ありで、1人称だから出来るアレジンを挿入したり工夫されています。文章も翻訳調から離れているので現代の小説になれた人にとっては読みやすいのではないでしょうか。

■集英社文庫版
大筋が頭に入っているから細かいところの描写が面白い。そんなに分かりにくい表現はなくて、じっくり読みたいけど早く先を読みたいという思いに駆られました。この訳で読むとイジドール少年がとってもいとおしい。父親思いで、推理するのが好きで、自分の意見をひけらかすタイプではない、だけど誉められるとやっぱり嬉しいという少年らしさ。つい応援したくなります。捜査の過程で変装してるんですが、背のひょろっとした17歳の少年がまるで12歳に見えるっていうのはどーみても無理かと思います、ええ。変装術は作中で上手くないね、と指摘されるほどの腕です。また、レイモンドのつかの間の、しかし鮮やかな存在感に驚きました。

■岩波少年文庫版
児童書(中学生以上)と言うこともありますが、現在の日本語として違和感のない訳になっています。今のところ完訳としては一番新しい訳ですし。理解できてしまうから、かえって読むのに時間がかかるかも知れません。今回3冊目に読んだので、読み飛ばさずちゃんと読んでしまったし。全体的に分かりやすい文章になっていますが、ルパンの文章中の一人称が小生だったり(基本一人称は「おれ」「わたし」場面によって「ぼく」もある。集英社文庫におけるルパンの基本一人称は「わたし」)、文献の文章が古文調になっているのが古めかしくてダメと感じる人がいるかも。私は「おおせたもう」(お言いになる)なんて書いてあるとぞくぞくするんですけどね。ただし古文調が決して上手くないと感じる表現もあります。

■南洋一郎版
熱い、熱いです。燃えてます。超人扱い過ぎて人間ルパンを読んだ後で読むと笑ってしまう。いわく「あのおそろしい大怪盗王」「あの全世界を恐怖のどん底に落としこんだ大怪盗王」。うーん、すこし間を置いて読めばよかったかも。この作品は旧版では1冊目に配置されていただけあって引き込み力が大きいのかもしれません。原作で後から出てくる事実や結果を入れ替えて先に持ってきたり、ずいぶんすっきりと分かりやすくなっていることに感心します。結末まで一気に読ませてくれました。冒頭のところでも、レイモンドが3階にいるというのは原文では後で分かるところを、先に持ってくることでイメージしやすくなっています。

その2に続きます。

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